〜ドラゴンと仲間になりました。そしてルージュの話も聞いた〜
「私はずっと舐められないような態度をとっていた。その結果があれ。呪いのこともあって、相乗的に態度は悪くなった。そしてまた周りの人から恐れられて、嫌われる。負のスパイたる、抜け出そうと思っても、もうその態度は身に付いていた」
「おい、その話は俺が馬鹿じゃね?つってバカにしただろ。またあれを繰り返すのか?」
「ふふ、そうね。私、あの時あまりにも間抜けな顔でバカにしてきたから、畑を一つぶっ壊しちゃったわね」
おい思い出させんな。今でもあれあのままなんだからな!
「でも、それを笑って許してくれた。ダイ、あんたは私に恐れなかった」
「恐れるより先に呆れてんだよ」
「そうやって生意気な口がいえるの、ダイが初めて」
う、なんだこの美少女は。いつもよりもルージュが近くに感じる。
「私、あの場所が心地いいのよ。自由で、豊かで、ダイ以外には誰もいない。私がのびのび暮らせる場所」
こいつ、こんな考えだったからあんなに無茶苦茶なことしてたのか。でも、なぜだろう。
嬉しい。ルージュにそう思われているのが、なぜだか嬉しい。
「だから、それを邪魔する奴は、許せない!!」
ルージュはストラをまた攻撃する。くそ、なんでだ。なんで争うことしかできない!
「待ってくれ!」
俺はルージュを止める。でも、彼女になんて言う?ルージュの言っていることも理解できる。つまりは理解できない、理解されない相手が怖いんだ。今、この状況がこれまでの人生で一番心地いいから、これ以上の変化が怖いんだ。
そんなの、俺だ。
この世界にくる前の俺と同じだ。
一人暮らしの生活が心地いい。働かなくても飯が食える。惰眠を貪りやりたいことだけをやり、自由気ままに生きている。
だが俺は多くを求めなかった。変化を求めなかったのは同じだが、俺の場合は変化というより変わろうとする意思がなかったんだ。
ルージュは、変わりたいと思っているんじゃないか?だが、変わった時、この日々が変わることが恐ろしいんだ。
「ルージュ。安心してくれ」
俺はルージュが求めている言葉がわかった。
「俺がルージュを守る」
そういうとルージュはハッとした顔を浮かべた。
「ストラ、聞いてくれ!」
立ち上がってストラの方に声をかける。彼女はじっと待っていた。
何を彼女にいうべきか。俺たちを無視してくれ?いやだめだ、ストラは納得しない。俺たちの邪魔をしないでくれ?ちょっと無礼すぎる。
ああもう、どうにでもなれ!
「俺と友達になってくれ!」
俺の口から出たのはそんな言葉だった。
「……は?」
「……なんと」
あれ、なんか変なこと言ったような……いや、やっぱり変なこと言ってるって!
「く、くははははは!と、友達とな、くははは!お主、ういやつだなぁ」
ケラケラケラ、腹を押さえて笑うストラ。あ〜、なんか選択ミスったかも〜。
スッと差し出される手。なんだ、これ。
「握手じゃ、握手。よろしく頼むよ」
おお、仲直りの握手か。なんだ、やっぱりいいやつだな。
「あっ」
ルージュが何か言いたそうにしたが、俺はその手を握ってしまった。
「流星のストラ。気軽にストラでいいぞ」
「俺の名前は大地。ダイって呼んでくれ!」
握手を終えるとルージュが心配そうに駆け寄ってくる。
「大丈夫?なんともない?」
「おいおい、握手しただけだぞ?」
「あんたねぇ……今、あのトカゲ野郎の奴隷にされたのよ?」
はい?
「え、ドユコト?」
「あれ、でもなってないわね、おかしいわ」
腕を握って何かを確認するルージュ。
「どうやら、貴様はNPCのようだな。しかし、何やらスキルを持っている……それが我の魔法を妨害しておるな」
「え、ストラさん、何かやったんですかい?」
呆れるルージュ。
「ドラゴンは人間を支配できるのよ?しかも、あんなすごい魔力を持ったドラゴンの支配魔法なんて、絶対かかるはずなのに」
え、え、え?
なになに?俺今ストラに奴隷にされかけてたってこと?あの手を握った瞬間に?
「あは、お兄ちゃん、やっぱり面白い。魔力というより、魔術回廊がないんだ」
ルージュはニヤニヤしながらにぎにぎ俺の手を握る。
なんか、なんか……。
俺だけ置いてかれてる気がするんだけども!