表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フロウラの末裔(構想)  作者: みっつっつ
201/300

第11章 サイナス村 3

 今はアリスさまがお風呂を使っており、ミットさまは寝台で何か考えているご様子です。


 あたくしはマノ[さん]からジーナさまとのやり取りを記録した映像を受け取りました。アリスさまが見た光景と音声のファイルです。このようなファイルを受け取るのは初めてのことです。


 再生すると、ハイエデンの上空で3人が現れたようです。

 ミットさまの興奮したご様子、まあいつものことですが、ガルツ商会の入り口をアリスさまの指が指し示すと一瞬で見慣れた裏口へ移動しました。あたくしは思わずファイルの加工をチェックしてしまいます。


 アリスさまがジーナさまにどのくらいのお部屋が欲しいか聞き取りして、直径20メルの球形に50セロの丸窓を6メルほどの間隔で配置する設計を起こしました。アルミの合金が1トンほどになったようですが、やってみたところジーナさまが問題なく運べたとのことで裏口で製作が始まりました。


 元ドルケルのハンスさまが工房から駆り出され、アルミブロックを円形に積み上げ配置した上にナノマシンを散布、いつもの建物作成と同じ手順ですね。

 異なるのは円形窓の取り付けです。アルミの外殻(がいかく)が球形であるのに対し、窓は厚さ5セロの球面ですが裏返しに取り付け縁取り部分を密封します。内側の空気圧でより外殻と密着させるためですが、マシンで自動化はできなかったようです。40個の円窓を外殻の生成に合わせてひとつひとつ取り付けたようです。


 どこにも入り口のない20メルの球体が2ハワーほどで出来上がり、ジーナさまが2人とともに中へ。そのまま静止軌道まで上がってしまいました。窓からは言われた通りの球形の世界が漆黒の闇に浮いているのが見えています。反対側からは強烈な火がつくような熱い光。アリス様が窓に用意していた反射材をかけ(ふさ)いでしまいました。ジーナさまは着いた瞬間はグッタリした様子でしたが、周囲の宇宙線を全て体内へエネルギーとして吸収してしたようで、すぐに元気になります。

 ここでミットさまがジーナさまの指導を受け放射線の変換を行なっています。その後ミットさまが嬉々(きき)として球体内部で瞬間移動する様が記録されています。

 次はミットさまとジーナさまが真空の宇宙空間に並んで手を振る映像。余り離れるとアリスさまに降り注ぐ宇宙線を吸収できないらしく、窓から見える範囲で転移を繰り返します。


 最後に3人でサイナス村にポンっと戻って来ました。


 これはマノ[さん]も手余ししますね。ひとことで言うと非常識。あたくしの常識とは相反するものがあります。

 ですが、これを受け入れてこその従僕(メイド)でございます。あたくしなりに解析し、できることとして受け入れなければなりません。


 アリスさまがお風呂から出て髪を乾かし始めると、入れ替わりにミットさまがお風呂へ行きました。

 あたくしはまずアリスさまのご意見を伺うことにしました。


「今日のジーナさまとミットさまの能力について、どう思われますか?」


「能力?転移の事かな。できる物はできるんだよ。お日様以外のものから別のデンキのような力を取り出して移動ができる。周りの物もこう塊で持って行って逃げないように捕まえていられるんだよ。あたしがやってるのだって、ちっちゃなマシンに物を作り替えてもらったりだしね」


 見事に受け入れておいでです。ですがそうなりますと

「ご存知の通り、現在、衛星は1基しか動作しておりません。昔あったと言われるサーバについても先日見つけた1台のみ。

 マノ[さん]の持つ記録も切れ切れですのでその辺りの修復をして行ってはいかがかと思います」


「衛星って直せるの?」


「さあ?ですが静止軌道まで行けるなら近くを衛星が飛んでいますので、見てくることはできるかと思います」


「面白そうだね。ミットと一緒に衛星修理?」


「はい。衛星には何か記録が残っているかもしれません」


「いいけどサイナス村を先になんとかしないとね。ジーナさんがどう言う役目を負っているのか分からないけど、あの生活はないよ。生きられて50歳って」


「はい、食糧庫には葉物がほとんどありませんでした。放射線の影響で育たないのか、食べられないのか」


「あー、そういえばヤルクツールに移動したのって、ジーナさんの転移と同じじゃないかな?」


「そう言えばそうですね」


こんにちはー。アリスでーす。

ミットだよー。


ア:上の方があんなことになってるなんてね。

ミ:絵本で見たのと結構違ってたよねー。

ア:絵本って?

ミ:世界は神様がかき混ぜて作ったー。ってやつー。

ア:そんなの境界にあったの?

ミ:そう。変な話だよねー。あたい、それ読んだときに大きな声で笑っちゃってさー。シスターさんに怒られたー。

ア:そうなんだ。悪いこと聞いちゃったかな?

ミ:そんなことないよー


アミ:じゃあねー。バイバーイ。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ