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フロウラの末裔(構想)  作者: みっつっつ
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第10章 西の海 14

 王の挨拶(あいさつ)で一斉に動き出す執事とメイドたち。

 

 王の席には執事長とメイドが一人。下の黒い席にも4人のメイド、内一人はメイド長のようだ。

 お客は100人を超えている。大きなテーブルひとつに10人ほどが給仕に付き、料理の乗った何十台ものワゴンがひっきりなしに行き来して配膳が行われていく。ほんの10メニほどで全ての料理が行き渡った。


 王の食前の挨拶(あいさつ)を皆が待っている。

「最高神アルクトゥールスと女神サフィアゼフィールに感謝をして食事を頂こう」


 トライデネット王が酒盃を掲げ一口飲むと、皆が食事を始めた。


「アリス殿、ミットどの。レントガソールから仔細は聞いております。よくぞ千ケラルの彼方から息子を届けてくれたものと感謝しております」

 ヤンクレーズ伯爵が軽く頭を下げた。


「あの子の語る冒険の数々にはわたくしも引き込まれました。勝手ながらこちらで本にして広める事にしたのです。ご迷惑でなければ良いのですが」


「いえいえ。商会はこれから支店の準備を始めるので良い宣伝になりました。バス路線をこの街まで伸ばすつもりです。今日はその相談も兼ねて来たんですよ」


「ほう。バスがここまで来ると言われるか?」


「うむ。その話はわしもホンソワール男爵より聞いておる。このような席であるが、どのような考えであるか伺いたい。良ければ答えてくれぬか?」

 おっとー、王さまの割り込みだよー。


「えーっと、相談したかったのは支店を建てる土地がどこが良いか。それに道の接続を東門にするなら、狭いので立ち退きが必要かなって事。

 あとはバスの運行は当面80人乗りが2日に1台、途中、ウエスティアに1泊してハイエデンまで走る。ですね」


「ハイエデンまで2000ケラルと聞いている。本当に2日で行けるのか?」


「時間にすると休憩しながらで、17ハワーくらいです。朝出てバスの中で眠って、翌朝到着っていう強行軍もできないことはありませんが、お客さんは大変ですよ?途中の景色のいい所で休みながら行くと良いと思います」


「チューブ列車でさらに遠い所へ行けるそうだな?」


「はい、ハイエデンから別のバスに乗り換えて、ケルヤーク、レクサス、ヤルクツールへ行けます」


「いつ頃の話になるのだ?」


「道は10日以内に繋がります。支店の準備が順調に進めば、あと1月でバスを走らせられるかと思います」


「そうか。それほど早くに始まるのだな。ならばパルザノン王家として早急に視察団を出したい。ヤンクレーズ伯爵。其方が団長として20名選抜せよ。15日で廻れるだけ周り報告を上げるように。

 アリスどの。済まないがバスの手配をお願いできるか?」


「いつ出発しますか?それに合わせて50人乗りバスを1台呼びます。

 それで、あたしたちは明日から西の内海に行くつもりですので、連絡はフラクタルさんにお願いします」


「どうだ、ヤンクレーズ?」


「では3日後の朝出発と言う事でお願いします」


「はい、分かりました」


 話は(まと)まったねー。周りの人たちもてんでの話を始めたから、もうしゃべっても良いかなー?


「ねー、レントは今何してるのー?」


「うふっ。レント……あの子は屋敷の離れで続編を書かせていますわ。画家には見て来た風景を描かせるのに苦労しているようです」


「ふーん?シロルに言ってフォトーをもらえばいーのにー」


「私も何枚か見せてもらったが、あのフォトと言うのはすごいものだな。あのような美しい場所があるなど、世界の広さを思い知るものである」


「うん、すごいよねー。でも人の顔はダメなんだってー。物とか風景だけー」


「ほう。そうであったか。街の風景でもぼんやりとした人の姿しか描かれていなかったな」


「人を描くのは画家さんにお任せだねー」


「ミットどの、我が一家を描いていただいた板を見せてもよろしいか?」


「えー、なにー、フラクタル、自慢したいのー?いーよー」


「されば、ヤンクレーズ伯爵。こちらをご覧あれ」


「うむ、どれどれ。

 ほう、シャルロット嬢は大きくなられたの。ずいぶんと愉快そうに笑っておるわ」


「まあ、ほんとうに」


「ホンソワール。わしにも見せてもらえぬか?」


「はい、トライデネット王。どうぞ」


「うむうむ。見事な絵であるな。ホンソワール、お主ちと影が薄いのではないか?」


「はい、こちらはミットどのが描かれたもので、よく見ておられるものでございます」


「まあ綺麗な絵ですね。でも、こんなに細かく描けるものなのですか?」


「それはー、元は紙に描いた絵を板に移したのー。元よりずっと小さくしてるから細かいんだよー」


「絵を小さくして移した?

 ……まあ、聞くまい。お前たちも見せてもらいなさい。実に見事である」

 板は前に座る5人の間を順に周った。そのまま大テーブルを周り始めたので、あたいはハラハラと見ているフラクタルに、アリスに作ってもらった小さな道具をかざしてみせた。


「戻って来なかったらまた作るから大丈夫だよー」

こんにちはー。ミットだよー。

アリスでーす。


ミ:アリスのおすましさん。クスクスー。

ア:そー思うんなら少しは対応しなさいよー。

ミ:あたいは下々の交渉担当に職替えするよー。

ア:何それ、ずっるーい!

ミ:えへへー。まった見ってねー。

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