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フロウラの末裔(構想)  作者: みっつっつ
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第10章 西の海 10

 部屋へ戻って準備を始めた。あたしはトラクから生地を取って来た。ミットの趣味で猫のいろんな姿勢や丸っこいの、小さいのの型がボードに保存してある。ウサギにクマ、タヌキ、イタチ。レクサスで会った鳥、イワトビザル、西の内海の蛙、ナメクジ、緑グモなんかも丸っこく作ると意外に可愛い。


 そうこうするうちにシャルちゃんがミシェルとアンジェラを連れてやって来た。


「二人連れて参りました。よろしいでしょうか?」


「いいよー。多い方が楽しーしー」


「ミットさん、よろしくお願いいたします」

 アンジェラさん、ちょっと(うつむ)き加減だね。


「まずねー、あたいのって言うかアリスのデザインリストがこの画面(マノボード)に出るから選んでねー。

 こう、ホイホイっと飛ばすと次の絵になってー指一本で回すと向きが変わるよー。指2本で広げるとおっきくなるからー」


「まあ。これ面白いですわ!あら、あたくしこれがいい!」

 シャルちゃんはうさぎさんの立ち姿だね。


「大きさはと色はどうするー?」


「白ウサギ!このくらいでお願いします!」

 抱きしめるようなポーズ。結構大きいね。

 シロルが白のふわふわ生地の裏面にさささっと線を引き始めた。裁断(さいだん)線と縫製(ほうせい)線、合わせの番号も書いて行く。


「まずこの外側の線で切って下さい」

 出来上がった布を見せてシロルが説明している。


 ミシェルは座った丸い感じの猫を選んだ。

「クロネコでお願いしていいでしょうか?」


 高さで15セロくらいだね。シロルはまだシャルちゃんに教えているので、あたしが生地を選んで線と記号を書き込んで行く。アンジェラさんも選び始めた。


「あたくし、こんな可愛いお人形を自分で作れるなんて、夢のようです」

 木こりのミケ、カッコいい立ち姿。難しそうなのを選んだね?ミットが上手に決めポーズを作ってたのを思い出した。

 あれ見たんだな。ミットにミシェルを任せて、あたしはこっちだね。


「大きさはどうします?大きいと芯を入れないと立ちませんよ?」


「30セロではどうでしょうか?」


「はい、良いですよ」

 ミケだと模様の分、布の枚数が増えちゃうんだけど大丈夫かなー?

 まず紙に型紙の絵を描いて行く。模様の色分けで縫い合わせてこの絵の通りに部品を揃えるところから始まるのだ。部品の番号を紙に書き込むと、次は4色の布の裏に線を描き込んでいく。身体の色が3色、ズボンと靴が黒いからそれで4色だ。

 描き終わると次は芯材。足裏に厚めの鉄板を使いアルミの太線を繋いで手足を動かせるように結ぶ。

「部品はこれで全部です。まず布を外側の裁断線で全て切り離します。それをこの型紙図に並べていき、型紙通りになるように()い合わせます。

 そこまでできたら足から縫って行きます。(かかと)のところは芯材を中に入れたまま縫うので少し面倒ですが、他は裏返しで縫えます。この針金は手で簡単に曲げられるので、表に返す時にうまく腕に入れ込んでください。ワタの詰め口は手足と胴体の5箇所。

 チェンソーは別に作って好きな場所に縫い付けます。手に持たせる場合は針金をその場所から突き出しておいてうまく縫い付けて下さいね。

 ワタを詰めるときは、関節部分をちょっと少なめに詰めると、ポーズを付けるのが楽になります」

 むう。ほんとに大丈夫かな?これすごく難しいよ?


「もうひとつ、このクマさんなんかどうですか?まんまるで可愛いですよ?」


「そうですね。じゃあこっちの……

 丸いネコをお願いします。このくらいのクロネコちゃんで」


「はい!」

 おっと。保険が通ったのでテンション上げ過ぎた。

 黒いふわふわ生地の裏面に線を引いて簡単な説明をして渡した。


「木こりミケは部品が細かいので、自分のお部屋でやったほうがいいと思います。クロネコちゃんはここで一緒にやってみますか?」


「はい、お願いします」


 ミットの裁縫(さいほう)箱からハサミを取って渡すとアンジェラが布を楽しそうに切って行く。ちゃんと切れているね。

 見回すと教えてるシロルもミットも真剣だ。シャルちゃんはもう縫い始めてるねー。ちょっと縫い方が粗いかな。

 ミシェルは切り終わって記号を突き合わせ中。どこから縫おうかなーって感じだね。


 アンジェラさんは半分切り終わったね。几帳面なんだね。上手に線の通りに切っている。これなら木こりミケも大丈夫かな?


 シャルちゃんの進行が速いね。裏返しのウサギさんの形が見えて来た。ちょっと眠そうな目をして、それでも一生懸命だ。


「シャルロットお嬢さま、そろそろお休みになられてはいかがですか?続きは明日になさった方がよろしいかと」

 アンジェラさんが見かねて声をかけた。


「うーん、もうちょっと」

 眠い目を擦りながら頑張っていたが、カクンと上体を揺らしハッと戻るシャルちゃんをシロルが柔らかく抱きしめた。軽く揺するようにしているとそのままシャルちゃんが体を預けて眠ってしまう。


「さっすがシロルだねー」


こんにちはー。アリスでーす。

ミットだよー。


ア:シャルちゃん頑張ったね。

ミ:うん。でも早く寝ないとねー。あの子は習いものとかいっぱいやってるしねー。

ア:息抜きになるといいね


ミア:まった見ってねー。

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