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フロウラの末裔(構想)  作者: みっつっつ
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第9章 ヤルクツール 19

 翌日午後になってから、ガルツさまが8メルの作業仕様トラクで来たとツーシンで連絡がありした。カジオさまとアニータさまも乗っているそうです。

 マノジェルや灯り、ベンキ他の商品サンプルとコーヒー豆などを積んできた様です。エスクリーノさまと代理店契約をなさったのでしょうか?


 程なくサモック食堂にガルツさまがふらりと入って来ました。

「よう。アリス、元気そうだな。シロルはご苦労さん。いい交易相手を見つけてくれたよ。いろいろ手詰まりだったんで助かった」


「えへへー。頑張ったよ。今日はミットが決勝だよ。見てってねー」


「ああ。2、3日こっちで交易をできる様に動くつもりだからな。ちゃんと見せてもらうよ。

 トラクは庁舎の前に置いた。カジオたちに見本市をやってもらってるよ。ミットはこっちじゃないのか?」


「中央広場でレントガソールさんの格闘の応援をしてるよ」


「伯爵3男だったか?旅の仲間だからな、大事にしたほうがいいのは確かだ」


「あんたがガルツさんかい。サモックだ。

 娘さんたちには世話になったよ。世話するつもりで泊めたんだが、どうしてどうして。

 ニックがそちらの商品を商いたいと言っている。協力しちゃもらえんかな?」


「俺は構わんが、エスクリーノ街長の意向も聞かんとな。うちと取引するなら、売上の3割を払うことになるがそれでいいか?」


「問題ない。多過ぎるくらいだ」


「じゃあうまく(まと)まる様祈ることだ」


「むう。ちょっと嬢のところへ行ってくるか」


「嬢とは?」


「エスクリーノは俺の兄弟分の娘でな。街に協力できることを聞いてくるのよ。

 ちょっと出てくる!」


「はーい、行ってらっしゃい」



「レントー、行っけ行けー」

 中央広場へ行って見るとミットさま大きな声で叫んでいます。ヤングさま、テモンドさまも一緒ですね。


「オホッ。でかいな。クロミケ並か。小さく見えるが相手も2メル越えだろ?」


「243セロですね」


「あ、ガルツだー。こっちに来たんだー?」


「ミットさま。朝お伝えしたはずですよ?」


「なに、レント、苦戦中?」

 アリスさまが様子を聞きます。


 お相手は背こそ及びませんが、体重なら優っているでしょう。それが膝を落とし大きく腕を広げ構えています。レントガソールさまが前後に足を開いた態勢から、左のパンチをフェイントにして右の回す様な蹴り技を出しますが、素早く横へ移動し捕まえられません。


「さっきからあんな感じで()けてばっかりなんだよー」


「レントは掴み技は苦手なの?」


「あんなおっきい相手はいなかったらしいよー」


「あー、そういうこともあるかもね。力じゃなく技だと練習が足りないか。足を蹴ったら?動きを止められないかな?」


「レントー。足を蹴っちゃえー」


 レントガソールさまが(かす)かに(うなず)きました。

 手足はレントガソールさまの方が長いので掴もうとすれば蹴りが当たります。まともに蹴られるのが嫌で躱しまくっていた相手ですが、蹴りの動きが小さい分避け(にく)い。3回に1回は当たる様になりました。同じ場所に何度か当たると痛みはその度に強くなります。

 10数発の蹴りを両足に受け、その体重も加わって、立って居るのがやっとと見えた相手の顔面へ、大きな掌をレントガソールさまが押し込む様に突き入れます。必死に足を引きますが最早(もはや)適わず尻もちを突いてしまいました。


 会場を(どよ)めきが走り抜けました。昨年度の優勝者だったようです。本戦とは言え、ここで負けるとは予想されていなかったようで、賭け金がどうなるかの心配をされているようですね。


 勝敗が宣言され次の試合が始まりました。レントガソールさまの今日の試合はこれで終了だそうで、綱渡り会場へ皆さまで移動します。レントガソールさまは準決勝進出、明日もう2試合勝てば優勝です。


 綱渡りの準決勝は10メルの綱で行うらしく、まだ低い綱で準々決勝の競技が行われていると言うのに、街道の反対側で場所取りをしている人がたくさんいます。ヤングさまとテモンドさまもいち早く場所取りに参戦しました。テモンドさまは人相が、あー。ですので場所取りには向いて、えー、思います。


 低い綱での試合が終わり準決勝が始まります。と言ってもミットさまの挑戦者を決めるだけなので、1試合です。

 最初は小柄な男の子です。今まで見る中でも段違いに速いです。持った棒が左右に大きく揺れますが足の運びは優雅で一定のリズムを刻むように渡り切りました。80メルある綱を半メニほどで渡ってしまいます。

 次は20代らしい女の人。少し肉付きの良い感じですが、同じように滑らかな歩みで着実に進んでいきます。こちらも半メニ足らずで渡り切りました。経過時間の計測が行われます。要は水の入った細長い筒を並べ水の背比べ。ここまで測定の様子は見せないまま進めて来たようですが、準決勝からは審判の様子を公開するようです。

 あたくしはどちらが速かったか測っていたのでわかりますが僅差(きんさ)です。賭けた皆さまの中には興奮したのか身震(みぶる)いしている人が見えます。


「只今の試合、キャロライン嬢の勝ちです」

 勝敗の宣言があり一段と大きな歓声(かんせい)が上がりました。


こんにちはー。ミットだよー。

アリスでーす。


ミ:レントが頑張ってるよー。

ア:そうだね。ガルまで来ちゃったんだね。

ミ:品物がダブついてるらしーよー?

ア:そーなんだ?


ミア:よっくわかんなーい。バイバーイ。

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