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フロウラの末裔(構想)  作者: みっつっつ
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第9章 ヤルクツール 10

「売り子がいないよー。クロはしゃべれないし、あたいたちは明日から競技に参加だものー」


 ニックがテーブルに寄って来て

「アリスとシロルはナイフ投げだから、3日目からでもいいんじゃないか?」


「売り物ってどのくらいあるんだ?」


「お肉も売れますか?300キル近くありますので少し処分したいのですが。お魚もこちらでお世話になるなら、必要ないですから」


「300だって?どれだけ売るんだ?魚って?」


「見せた方が早いですね。屋台へ行きましょう。お肉はそうですね、250キル出したいですね。鹿、ウサギ、熊、猿、カエル、コウモリにナメクジです。生肉はいくらもございません。干し肉を冷蔵してございます。お魚は30匹ほど、こちらは冷凍です」


 屋台の後ろを開くと引き出しにザラザラとした氷を纏った魚がゴロゴロと入っていた。

「これはあたくしが解凍すればほとんど元の生魚に戻せます」


 2匹ほど持ち上げてみせた。ニックが触って冷たさと硬さに驚いているけど、シロルは気にした風もなく魚を取り上げ引き出しをしまった。


「あまり長くは出せません。味が落ちてしまいます。お肉はこちらです」

 そう言って上の同じような引き出しを開けた。

 中には色分けされた袋がぎっしり詰めてある。


「こちらは鹿肉とカエル肉です。茶色は鹿ですね」

 そう言って青い紐の袋をひとつ開けた。茶色の四角い板状のお肉の端を、ナイフで薄く削いでニックに見せる。

 ニックが受け取り匂いと色を見て口へ放り込んだ。その間にシロルはその袋はしまって黄色い紐の袋を開けている。


「美味いな。ほんとに干し肉か、これ?」


「そうでしょう、軽く(あぶ)って出しても美味しいですよ。煮込みもいいですし。できないのは焼肉くらいです。こちらはカエルです」


「カエル……食えるのか?」


「あら、美味しいですよ?」


「むう。匂いはないな。むぐ……あれ、美味い。ちゃんと肉だ」


「他のも食べてみますか?コウモリとナメクジなんてなかなか食べられませんよ?」


「それもこんなに美味いのか?」


「ええ、あたくしが保証します」


「よーし、全部3枚ずつ薄切りにしてくれ。親父に食わせて売り方を考えてもらう。うちで買えるのは100キルがいいとこだからな。あれっ、あんな柔らかくて日持ちは大丈夫なのか?100キルなら3日で捌けると思うけど」


「ではこれ全部だと8日ですの?冷蔵でしたら1月は大丈夫ですのに」


「レイゾウってこの冷たいののことか?冷たいとそんなに保つんだ」


「窒素封入もしておりますからただ冷たいだけではございませんが、その通りですわ」


 ニックが下を向いて考え込んでしまった。その間にシロルが干し肉を削いで、あたいに持たせたお皿に並べていった。


「ニックー、できたよー。さっきの食堂でいーの?」


「あ、ああ……」

 ぶつぶつ言いながら離れるニックとあたいたちの後ろでクロが待機に入った。ここはあんまり日当たりが良くないねー。


「おやじ、母ちゃん。ちょっといいか?」


「あら、ニック。どうしたの?」


「ミットたちが干し肉を売りたいって。味見してくれよ。250キル売るってよ」


「まあ、そんなに?うちだとそんなに使いきれないわね。どれどれ。7つに分けてあるけどみんな違うお肉なの?」


「オレ、二つ味をみたけどいい肉だよ。食べてみなよ」


「ほう。塩はそれほど使ってないな。3、4日ってところか」


「そうね。あら冷たいのね、匂いはほとんどないわ。ふうん?鹿かな?

 あら、美味しい。鹿の干し肉ね、こんな美味しいのがあるの?」


「むう。俺もこんな鹿は初めてだな」


 ここはシロルに任せてアリスを上へ連れてくよー。シロルに上を指して見せると頷いた。


「ここがレントの部屋ー。間取りも広さも一緒だけど、この部屋は狭く見えちゃうよー。あたいたちは3人一緒の部屋だよー。景色がキレーだよー」


 でっかいドアを開け中へ入るとベッドが三つ並んでいた。


「広いね。へー。わ、山だー。あの山脈が綺麗に見えるね。あ、本当だ、右は大通りの方まで見えそうだね。左はそこの路地で曲がってるから見えないね。へえー、いいじゃん!」


「でー?なんか作って売るのー?あたいは面白いから売り子やるよー?」


「ハサミムシの殻がね、邪魔なんだよ。少し減らしたい。ミットとレントが面白がって狩るからお肉もシロルが余しちゃったし」


「あははー、ごめんって。それを全部加工して持って来たアリスとシロルも大概だよー」


「だって、もったいないないでしょ。食べ物だよ?」


「えー?カエルとかナメクジの皮はー?あ、鹿とか熊の皮も売ろうよ。ウサギにイタチ、タヌキも」


「あー、皮もいっぱいあったね。甘味料(グルコース)もだー」


「倒した木はみんな回収してたもんねー」


「「あははははー」」


「クロに殻を運んでもらうよ。何作るか考えといて」


「あいよー」


 おっきな箱に熊の毛皮と骨ブロック、殻を詰めて、太い殻の円筒を1本載せて持ったクロが上がった来た。テーブルの横に置いてもらう。あたいが手を振ると頭をひとつ下げて降りていった。


「クロミケも喋れたらいーのにねー」


 少ししてシロルがアリスと上がって来た。


「お肉はどうなったー?売れそうー?」


「うん。お肉は250キル10万シルで話が付いた。ニックがレゾコが欲しいって。お日様ハツデンとレゾコだとハイエデン価格が11万シルだからね。灯りとマノジェルの仲介をやってもらおーかと思ってる。お祭りで売る商品も任せるつもりだから、ミットが売るんならニックからお給料もらってね?」


「あたくしはこれから仕込みに参加してきます。ここのお台所は広くて調味料も結構あるんです。(かまど)なのが難点ですが仕方ないですよね」


こんにちはー。アリスでーす。

ミットだよー。


ア:とうとうお店をやることになっちゃったね。

ミ:ニックー、大乗り気なんだもん。

ア:あたし達は色々はけて良いんだけどね。

ミ:手伝わないと大変なんじゃないのー?

ア:そうかもね。なんとかなるよ。


ミア:まった見ってねー。

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