人気U–Tuber「どうもーU–Tuberの『エイリ・アーン』というものでーす!今日はですね、この宇宙船で、あの地球という星をぶっ壊してやりたいいとおもいまーす!!!」
タブレットを起動し、UーTubeという動画サイトを開いた。そこにはいくつもの動画が並んでいた。一つの動画をタップし、少しだけ読み込んだ後、ひとりの宇宙人が画面に現れた。
「△ゞ∝∮」∮∵⌘ゝ§Å〃∵∠£〜∃△ゞ∝∮∮∵⌘ゝ§」Å〃∵∠£〜*∃£〜*∃ゞ∝∵∠§Å〃∵∠§」Å〃∃£〜∃〜*§」
おっと、何言ってるかわかりませんね。失礼。日本語変換を......。
「どうもーUーTuberのエイリアーンというものでーす!!!」
彼はUーTubeというところでサイトで動画を投稿している。所謂、UーTuberというやつだ。動画を出し、広告で稼いでいる。
今日は、あの『地球』という星を破壊しまーす!」
画面に出てきた宇宙人は、その青い星を指差す。その星は、青の他に所々緑や白も混じっていた。
「はっはっは!地球よ!これで地球は終わりだ!!くくく、このスイッチを押せば我が機体から光線が発射され、人々は死ぬのだ...ふふふふ、はははは!」」
その宇宙人は目の前のスイッチに手をかけようとする。スイッチには怪しげなドクロの模様が描かれており、怪しさをうかがわせるものだ。
「ご飯よー!」
突然の声。宇宙人は、その突然に聞こえた声に、はーとためいきをつく。そして苛立った口調でこう後ろに叫んだ。
「うるせえババア!」
「ババアだって?あんた誰に向かって口聞いてるのよ!あんた今日はご飯抜きだからね!」
「ちょっとそれはないよーママーン!ね?ね?」
甘えるような声で後ろにそう叫ぶ。そして立ち上がり、横にあるレバーを下に引く。手動と書かれていたランプは自動という文字に変わりランプも赤から緑へと変わった。
「今行くよーママーン!!」
ふう、と一息つき、再びボタンを押そうとするが、またもや邪魔が入った。
「あんたー!何やってんの??冷めちゃうでしょ」
母親がこちらに来てあれこれ指図する。
「わかった!行くから!行くから!」
不満そうにそう追い返そうとするが、母親はなにやら後ろの方で何かをしている。
「おい!ちょっ!」
「あんたって子は!ベッドの下にこんなエッチな本隠して!!」
取り出したのは宇宙中から美人を集めた「美人名鑑という本だった。中にはとびきり美人な宇宙人のあんな姿やこんな姿、少しばかりエッチなシーンまで色々とはいっている宝物だ。
「あーそれはダメ!宝もんだから!!」
「んもーこんなものもって!あんたは変わらないのねー!」
「うるさいうるさい!わかったから!」
そこから暗転し数秒後、再び同じ画面が映し出された。さっきと違うところといえば、画面のエイリアンにたんこぶが2つほど。
怒られてなぐられたのだろうということはすぐにわかった。
「はい、どうも。えーっと、地球を爆発させたいと思います...」
再び地球を見ながら、そう呟いた宇宙人は、明らかにテンションが下がっていた。
「今度こそ、あの星を...!」
「せっかくだから人が見えるところに打って、慌てふためく姿を見てやろうかな!」
そういうと地球の方に凄い勢いで飛んでいき、しばらく進み、街が見下ろせるところで、ピタリと止まった。
下の方には小さくそこに住む者たちがこちらを物珍しそうに眺めている。
「ふふふ、この星はもうすぐ消し炭になるんだ...!それじゃあ!あばよ!!地球人よ!」
ポチッという音。その途端、警告音が流れはじめた。
「しまった!!これは自爆ボタンじゃないか!!」
自爆ボタンはその名の通り、自爆をするボタンだ。警告音と爆音に焦っていく。爆発から、炎が燃え盛る。
「こりゃあ叩かれる意味でも『炎上』だな!」
ちゃんちゃん。
動画はそこで途切れた。その動画を見終わると、タブレットをベットに投げ、退屈そうな表情で
「つまらな」
とだけ呟いた。