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新世紀の殉教者

宝石の島

作者: keisei1

 不幸せの尾を追い 迷い込んだ迷路には

 厄介な問題を抱えた 聾唖ろうあの男たちがいた


 彼らは僕らを睨みつけ 時には唾を吐きかけた

 僕は泥のついた頬を ぬぐって前を見据える


 

 街灯には蝶が止まり 妖しげな光をまき散らすけど

 心の奥底に眠る少年が 僕の未来を変えていくのさ


 ここを離れ 今向かう



 手の届きそうな宝石の島 そこには限りない時間があり

 あらゆる夢が叶えられて その人がいるべき場所に立つ


 君と二人で出掛けようか 箪笥たんすにしまった秘密も投げ捨てて

 手に手を取って駆け出して 未来行きの船に飛び乗ろう



 誰もが二人を祝福しない 時には呪詛じゅその言葉も浴びせられ

 投げられた石で足は傷つき 君は僕の腕を握りしめた


 エンディングフィナーレは遠いけど ハッピーエンドかも分からない

 だけど駆り立てる気持ちは止められない 聾唖ろうあの男も目を見開く



 かぶった帽子は泥まみれ それでも礼を尽くしてさよならを

 不幸せの尻尾しっぽはいつの間にか 僕らの目の前から消えていく


 そう 見えてきて 今向かう



 消えてはあらわる宝石の島 僕らを惑わし 導くけど

 そこには無限の力があり 水も光も途絶えることはない

 

 二人で視線を合わせあって 目配せしてみたその未来

 僕らを手招き いざなって 幸せ行きの船に運ぶ



 遠くから響いてくる呼び声 誰のものともつかない呼び声

 僕らを捉えて離さず 奇跡のしずくが頬から


 しずくは肌を濡らして 泥だらけの顔を洗った

 ウェディングテーマもかすむほどの 輝く旋律が届いてくる


 僕らを初めて祝ってくれた 宝石の島はもうすぐさ



 目の前で光る宝石の島 ようやくここまでたどり着いた

 バッドエンディングはあり得ない 幸せだけが天上に木霊こだまする 


 魂と呼べるものがあるのならば そこで浄化じょうかされるのだろう

 すべての罪もあやまちも すり抜ける過去と消えていく



 初めから決められてたこと 初めから見えていたことも

 それは 揺るがない 山のようにそびえてた


 初めから知っていたこと 初めから分かっていたことも

 それは 流れゆく 雲のように美しかった


 足を踏みだした宝石の島で


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