プロローグ
一面真っ白な世界が広がる。
ここはどこであろうか。そう思うと目の前の霧が少しずつ晴れてきた。依然、目の前以外は霧に覆われている。
目の前には広大な海、、、ここで直観が「これは川である。」と訂正をする。まだ川の奥の奥の方では霧がうっすらかかっているが、うっすらと水平線
が見える。
なんて広い川なんだ。
しかし、大きさの割に流れの音は、清く静かで心地いい。本当に対岸なんてあるのだろうか。「対岸からここに来た。」とまた直観が告げる。しかし対岸がどんなところだったかを考えると、急に霧がかかったように分からなくなる。直観も黙りを決め込んでいる。腰を下ろして、しばらく川を眺めていると後ろからどうも呼ばれている気がする。
行かなくてはな。
立ち上がり川を背にして行こうとした瞬間、
「時が来た。」と川の向こう側からどこかで聞いたことのある女性の声が聞こえてきた。振り返ろうとしたとき、、、
ガタン!!!!という盛大な音と共に全身に痛みが走った。目覚まし時計がけたたましく鳴っている。急いで目覚まし時計を止めると、リビングの方から「夢現~、大丈夫~?」と母親の声が聞こえてきた。「大丈夫!ベッドから落ちただけだから~」と応え、朝食に向かう。父も母もすでに朝食の席に着いていた。「いただきます」とともに父親がいつものようにニュースをつける。そこで思わず茶碗を落としてしまった。こんなニュースが流れていた。
私立東都高校 二年八組 担任 神木咲死亡