第20話 ~高揚~ #2
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山をさまよって三日目になる。
昨日は白のシンプルな下着に変えられたが、今日は
『雨の匂いがする』
そのサユの言葉通り、小雨が降りだし着替えどころではなくなった。
この二日は重く厚い雲がかかり、いつ降り出してもおかしくはなかった。
一つの防水服を2人で雨除けにして歩き出す。
『防水服ぐらい持ってなさいよ!リュックの中下着ばかりじゃない!』
「女の子なら当然の事でしょ!下着はなるべく毎日変えたいの!」
私も女の子だし、とかこれだからお嬢様は、とかボヤくサユの心の声が伝わってくる。
雨であまり進まず、やはり道は分からず、
この日は偶然見つけた小さな洞窟で野営して夜を過ごす。
「寒い………」
焚き火にあたるも、湿った衣服が体温を容赦なく奪う。
『誰のせいよ、誰の……』
体を寄せて震えるサユの口がカチカチと鳴って噛み合わない。
「何とかならないのーっもーー死んじゃうーーーっ!」
半ベソをかいて、唸るルコリー。
『こういう時は裸で抱き合って眠るのが良いそうです』
「却下!」
「……」
『…………』
「し、下着付けてなら、いっいいわよ!」
なるべく濡れていない衣服と、防水服にくるまって2人抱き合う。
嬉しそうにルコリーの胸に顔を埋めるサユ。
何かいつもと変わらないような気がして来たルコリー。
『…良い匂いがします』
サユが気付いた
「汗臭いのイヤなんでしょ、コロンを付けてるわよ」
『次の町で下着半分とコロンを破棄して、必需品を買って入れます』
「それは断固拒否!」
興奮して声が大きくなるルコリー。
『下着なんて2、3枚で洗って変えればいいんです』
「いやよ、貧乏くさい」
はぁぁっと、盛大に溜め息をつくサユ。
ルコリーは息が胸に当たってくすぐったかった。
「…この匂いキライ?」
「……悪くない」
もう素直じゃないなぁ、と思うルコリー。
いつしか寒さを忘れた2人は、眠りに落ちていた。




