第17話 ~追撃~ #3
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「足が痛ーい、筋肉痛がーっ。もう歩きたくないー」
『筋肉痛では死なないわよ。早く歩きなさい。
わがまま言わないって言いましたよね』
「痛いんだからしょうがないじゃない。
私は文句を言わないと歩けないの」
『…しょうがないお嬢様ですね』
「そうよ、お嬢様なんだから!
それを歩かせようっていう考えがおかしいのよ!」
日が昇り、宿を出ると歩き出す3人。
目の前には山々が連なっている。
「ここからは、山歩きね。
道も複雑になってさらに筋肉痛が酷くなるよ。
迷わないようにね」
モミジが笑う。
「むぅ~~~」
3人はいつもの服装、今日は布地多めの胸とお尻の重みをサポートする白い下着にしている。
サユは丸がいくつも重なって、シャボン玉を連想させる刺繍の目隠しをしている。
山に入りしばらく進むと、オレギン達一行が待ち構えていた。
「おはようございます、お嬢様方」
慇懃なオレギンの挨拶の後、
サンシャがジャンプして真っ直ぐモミジに向かう。
『伏せろ!』
サユが剣を抜く。
ルコリーは伏せたが、隠れる場所が見つからない。
モミジはサンシャの相手に忙しい。
おろおろしてると、シャフトでサユに小突かれる。
『これを持て。
私に目を貸せ。走って抜ける』
オレギンに向かって走り出す。
正装の男はひらりとかわす。
さらに同士討ちを避けて攻撃を躊躇していたドズとフィアの間を走り抜ける。
ルコリーの視覚を頼りに走る。
こんなに自由に走ったのは、何年ぶりだろうか。
幼少の頃は当たり前のようにしていた事なのに、視覚を失ってからは難しくなった。
だが、ルコリーから送られてくる視覚イメージがハッキリしていて難なく走れる。
肌に風を感じて、サユはこんな時だが嬉しくてしょうがなかった。
途中、ルコリーが疲れると止まり、フィアの相手をする。
しばらく戦うとまた走り出す。
昨日の戦いの傷が原因だろうか、幸いドズの足が遅い。
なるべく2人同時に相手にしないよう逃げ回る。
戦っては逃げ、戦っては逃げを繰り返すうちに、峡谷の上をなぞって続く細い道に出る。
「ハァッ…ハァッ…ちょっともう無理っ!」
しばらくその道を走っているとまたルコリーが疲れて座り込む。
『一か八かね…
ルコリー、ドズの魔法なんて怖くないって叫んで「バリア」を出して』
魔法の声で、シャフトを通してルコリーに伝える。
「ハァッ…ハァッ…ハァッ…ちょ、水飲まして」
水筒の水をあおると、息が少し落ち着いたルコリー。
「ドズーーーーッ!でっかいおっさーーーーん、
お前の魔法なんて怖くないわーーー。
大人しく道路工事してなさいよーーはーーーーげーーーーーーっ」
ルコリーの声は大きい。
峡谷中に響き渡る。
『そこまで言わなくても…』
「あれ?」
『どうしたのですか?』
「バリアの魔法が出ないーーっえいっえいっ!」
「むぅぅぅっ」
追いついたドズが姿を現し、鎚を持ち上げる。
ルコリーの声は一語一句ハッキリと聞こえていた。
「バカ、待ておっさん!」
ドズとサユ達の間にいたフィアが、退いた。
「ハゲてるのでは、ないわーーーーーっ」
大声と共に、鎚が振り下ろされる。
最悪の場合を考えて、サユはルコリーを守る為に抱きついた。
「えいっ!えいっ!えいっ!」
ルコリーは「バリア」を出す事をあきらめない。
地を這う破壊が2人に近づいてくる。
「えいっ!えいっ!バリア出ろぉぉぉぉ!」
ここで道が崩されれば、2人は谷底へ落される。
正に窮地に立たされていた。
幾度猛攻を超えても、何度も道を遮るオレギン達。
崩れ去る崖の上でサユとルコリーは生き延びられるのか。




