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第16話 ~血路~ #1

      19/30


 サユは衝撃を受けていた。


 サンシャを確実に捉えて斬った、ここまでは良い。

 素手で刀を受け止められたのは、初めてのことだった。

 

 白刃取りのような高度な技ではない。

 いつものルコリーのチョップを手で受け止めるような気軽さで。

 体を斬っても弾かれた。


 魔法だ。

 刃物を受け付けない。

 それがあの子の魔法だ。


 ブーメランが全方位に刃で覆われても、手を切らないのはその為だ。

 幼いからといって、「特技魔法」を持たないとは限らない。

 現にサユの魔法も、幼少の頃から発現していた。


『まさか…』


 油断した。

 サンシャがモミジのナイフに反応しなければ、斬られていたのはこの私だ。

 あのブーメラン捌きと、あの魔法を持つ彼女は無敵ではないか。


「サユちゃーーーーん!私と遊びましょーーーーっっ!」


 赤の鎧が近づく。

 アンニュイになっていた為、フィアの攻撃に少し後れをとってしまった。

 口数少ないドズが来ていたら、大怪我をしていたところだった。


 防戦一方で道の端に追い詰められる。


「サユちゃん、今日はワンピース脱いでくれないの?

 見たいなーお姉さんサユちゃんの体みたなー♪」

『サユちゃんて呼ばないでください。あなたとは敵同士です』


 交わす刃を通して、サユは会話する。


「んー冷たいなー。そこがまたサユちゃんのかわいいと・こ・ろね。

 いいわ、お姉さんが全部脱がせてあ・げ・る!」


 フィアの背中から2本の義手が現れる。


「あなたみたいなコほど、ベッドの上では甘えたりするのよぉ」

『ベッド?』


 剣とシャフトを素早く動かし3本の半斧の猛攻を防ぐサユに、フィアの戯言を細かく吟味する余裕はない。



「ソコダヨー!」


 目を見開いて木の上から辺りを見回していたサンシャからブーメランが飛んでくる。

 それをモミジは背中から出した短剣で弾いた。


「あいつらには、報告連絡相談て常識はないのかしら」


 笑顔だが、少し怒りのこもった声で呟くモミジ。

 モミジ自体は迷彩のままだが、体を離れたルコリーを隠す布は通常の紅葉柄に戻る。

 布から顔を出して、周りの状況を確認したルコリーは丸まったまま、短い眉をハの時に曲げ、モミジを見上げた。


 報告連絡、何?

 小熊の少女に容易く発見された事より、モミジが別の事に怒っているように思えた。


「ルコリー、サンシャは目がいい。

 お前を隠し続けるのは無理だ」

「え、え、じゃあどうすれば…」

「走って逃げろ!」

「え、えええええええ~!

私の護衛って言ったのアンタじゃん、それを…」

「ドズが来てる、早く!」


 モミジが高くジャンプし、サンシャとドズにナイフを投げる。

 彼女の跳躍力も相当なものだった。


 投げナイフにひるんだドズを見て、布の下から這い出てルコリーは走り出す。


 重い足音が後ろから迫ってくる。


 3本の半斧と剣を交わすサユ、

 木を利用して空中戦を繰り広げるモミジ、こうして三者三様の戦いが繰り広げられた。


 戦いと言っても、ルコリーは逃げまわるだけだが。


「にゃっ」


 つまづいて横に転がるルコリー。

 次の瞬間、つまづいたその場所はドズの魔法が走り抜け、荒れ地となっていた。


「ひえ、ひぇぇぇぇぇ」


 それを見て泣き出すルコリー。

 重い足音が、大きな巨体が少しずつ距離を縮めてくる。


 焦り立ち上がる。

 この数日歩いてばかりだった為、筋肉痛で痛む足を無理矢理動かす。

 左右に揺れる胸も痛い。

 この時ばかりは、超控えめなサユの胸がうらやましく思う。


 地面に振動が走る。


「にゃあっ」


 驚いたルコリーはまた横転する。

 元いた場所にドズの魔法が駆ける。


 ドズの魔法事態に殺生能力はない。

 ただ、直撃すれば吹き飛ばされて足場が悪くなってモタモタしている内に、距離を縮められる。


 再び振動。

 転んで座り込んでいたルコリーは、咄嗟に「バリア」の魔法を出す。


「にゃあああっ」


 ドズの魔法は防いだが、バリアの光彩は弾け飛び大きな巻き髪や、丸い膨らみやいろんなところを揺らしながら、ルコリーは吹き飛ばされる。


「??」


 地面に寝ころばされたルコリーが顔を上げると、ドズの動きが止まっていた。

 この隙にとルコリーはワタワタと焦りながら起き上がると、走り逃げる。


 もしルコリーがこの時冷静でいられたら、解ったもかもしれない。

 ドズが彼女のバリアを見て、昨日の失敗を思い出し躊躇した事を。 

 「バリア」の魔法を出しながら歩いていたら、ある程度牽制出来たかもしれない。

 しかし戦い方を知らないお嬢様にそんな芸当が出来るはずもなく。

 ピンクの髪の少女に何の企みがないとわかると、ドズは追撃を再開した。


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