第15話 ~対峙~ #3
サンシャは初め首をかしげたが、
声もなく笑うとサユの舞を真似し始めた。
「サンシャ、お前の腕が見たい」
ドズの言葉に、オレギンが続く。
「なんとかして成果を出してくれ、後は3人で」
「お前は戦わないのか」
フィアが聞く。
「言ってなかったか。人集めと雇い主様への報告係、俺はな」
チッと舌打ちするフィア。
マフラーを巻き直すと半斧を構えた。
舞を見るのに飽きたのか、サンシャの動きが変わる。
彼女の得物のさばき方は、ヌンチャクのそれに似ている。
ブーメランを振り回しては、体や腕で止める。
サユとサンシャ、徐々に距離を縮め刃を交わし始めた。
素早いブーメランの動きに、サユは剣と鞘であるシャフトで素早く対応する。
硬く高い音が響き渡る。
「ほう」
サユより小さく幼い少女の得物さばきに、ドズが感心する。
「残念だけど、サユちゃんの相手はサンシャにまかせよう。
私たちはルコリーを探す」
フィアが動き出す。ドズも大きな鎚を構えて動き出す。
端に大きな穴が開いた鋼鉄のブーメランは確かに異質だった。
周り全てに刃がめぐらせてあるのである。
それを持つサンシャという少女の手が、傷ついてる様子はなかった。
重みのある刃の塊を、サンシャの筋肉がしっかり支えているのが剣から伝わる。
動きにも無駄がない。
この小さな少女は相当の手練れだ。
ブーメランは時にトリッキーな動きを見せ、サユを翻弄する。
残念だがフィア、ドズを止める余裕はない。
ルコリー達が逃げ隠れ、見つからない事を祈るばかりだ。
「サユ、ケッコウ強イヨー」
サンシャが突然、後ろに退く。
サユにはサンシャの次の動きが予想できた。
案の定、飛んできたブーメランをサユは剣ではじく。
魔法でサンシャの体や筋肉の動きで、ブーメランの軌道や方向を読むが、
やはり飛び道具を受けるのは、いつもヒヤリとさせられる。
ブーメランはサユの防御で方向は変えられたが、勢いは変わらず
周りの細い木々を切り倒し、サンシャの元へ帰る。
やはり、刃で覆われたブーメランを素手で受け止めて、痛がる様子はない。
2投目が来るとわかると、サユは摺り足で前進し、投げられたブーメランを受け流す。
相手の懐深く入り込んだサユは、勝利を確信した。
舞いながらサンシャを斬りつける。二度三度。
「ナイフ女の魔法は、着ているものを周りの風景と同じ色にする」
「ふーんモミジとかいう女、ウーノスの罠の時はかなり近くにいたけど、
見つけられなかったのはそれか」
ドズとフィアは、木々の間を早足に、それでいて慎重に歩いて隠れている者を探す。
「!!」
殺気を感じた2人は、身構える。
一瞬の判断で飛来物を、フィアは肩のアーマー、ドズは胸当てに体をずらして受け止める。
固まって歩いていた2人は散開する。
木に隠れてナイフが飛んできた方向を窺うが、モミジを視認できない。
殺気も微弱だったので、かなり距離がありそうだ。
遠く離れているとすれば、恐るべき命中率である。
「スゴイ投ゲル奴イルヨー!」
突然の大声に、フィアとドズは驚く。
見れば、サンシャが驚くべき跳躍力で飛び、一本の木のかなり高いところに張り付いていた。
「サンシャ、お前はサユを押さえとけ!」
「サンシャ、投ゲル奴ト戦イタイヨー!
今ナイフスゴク飛ンダヨー」
フィアの言葉に従わないサンシャ。
「しょうがない、私がサユちゃんの相手をする。お前はサンシャと探せ」
マフラーを投げ捨てて全力で走るフィア。
それを見てドズが呟く。
「急に嬉しそうにしやがって」
その頃、サユは衝撃を受けていた。
『ま、まさか…』
小熊ビキニ少女、サンシャはブーメランの達人。
少女の相手をするサユは、さらに彼女の秘密を知り愕然とする。
その秘密とは。




