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第14話 ~激突~ #3

 3人がルコリーを目指して走る。


 当のルコリーはバリアを出しては崩され吹き飛ばされ、


「にゃああああっ」


 また立ち上がりバリアを出す、そして壊され吹き飛ばされる。


「にゃああああああああっ!」


 背中から地面にひっくり返る度に、大きな胸がトップスからこぼれそうになる。


 腹部を抑えながら走るサユ。

 どう急いでもドズには追いつけなかった。

 モミジさんが何とか足止めをしてくれる事を願った。


 しかしルコリーの行動が理解出来なかった。

 どういうつもりか知らないが、これでルコリーが殺されたら本末転倒もいいところである。


 足場の悪さと走れない自分、痛む体に歯を食いしばりながらサユは歩を進めた。



 ルコリーの前には、ドズの魔法を防いで作った大きな穴が出来ている。

 そこに泥水の流れが入り込む。

 ルコリーに向かって走っていたドズはその中に足を入れた。

 腰まで水につかろうと、それぐらいの穴でその巨体の勢いを止められるものではない。

 が。

 止まった。


「ぬううう、何故だ足が抜けないぞ!」


 ドズの目の前で、顔がアザだらけで傷だらけのルコリーが四つん這いになって笑う。


「粘土よ。

 よくわからないけど土の下に粘土があったの」

「なるほど、粘土層が露出していたのか」


 ルコリーの側まで来たモミジが納得する。


 度重なるドズの魔法で上の地面が吹き飛び、粘土層が露出していた部分をルコリーは見つけた。

 周辺の地面をさらに剥がさせて、粘土層の落し穴をドズは自ら作らされていた。


 深い層らしく、ドズの巨体がすこしずつ水の中へ入っていく。


「ぬぐぐぐぐっ」


 あがけばあがく程、深みにはまるドズ。

 モミジがナイフを構えた時、泥だらけのサユが遅れて横に並んで剣を構える。


「悪いわね、お前は世間知らずのお嬢様に一杯喰わされたアホゥよ。

 ここで終わ…」


 勝ち誇って話すモミジが、固まる。

 次の瞬間、モミジはサユを押し倒した。


 しゅるるっと唸りながら、大きな物体が2人のいた場所を通り過ぎる。

 通り過ぎたそれは再び飛来し、しゃがみこんでいたルコリーの寝癖で跳ねあがっていた彼女の髪の毛を数本切り取って通り過ぎた。


「ひっ!」


 少し遅れてルコリーが驚きの悲鳴を上げる。


「ドズーーーッ」


 赤い鎧の女、フィアが腰を押さえながら街道の方から駆けてくるのが見える。



『何?何か今飛んできたけど、フィアの斧?』


 モミジに抱き起されたサユが魔法で訪ねる。


「違うわね。方向が違うよ、対岸からだ。

 別の何かいる。

 しかも恐ろしく正確に私達を捉えてる。

 この場でグズグズしてると、また襲われるよ。

 このデカいのを置いて逃げるしかないわね」


 モミジはありったけの投げナイフをドズに投げると、サユとルコリーを連れて撤退する。


………


「チッ、逃げられたわ。荷物も残ってない」


 林から降りてくるフィア。


「ナイフ女の魔法だ。

 まだ近くにいるかも知れんが、探すのは難しいな」


 ドズが水筒の水でナイフの傷を消毒しながら、腕を布で縛って止血している。

 胸当てにはまだ、数本のナイフが刺さったままだ。


「苦労しているようだな、なかなか」


 手足が長く背広を着た男、オレギンが服に付いた泥を河の水で丁寧に落としている。

 彼が河に手を伸ばす度に、割れた筆先のような頭髪が揺れる。

 オレギンが来てくれなければ、フィア一人でドズの巨体を泥から引き上げるの無理だった。


「やっと戻って来たのか。2人だけだと苦労しっぱなしだ」


 長いマフラー整えながら、愚痴るフィアにオレギンが訊く。


「いないぞ、ウーノス。どうしたんだ」

「功を焦って、罠を張って斬られた」


 ドズが簡素に応える。


「おいおい。早々にか。

 期待していたのだがなぁ、ヤツのズル賢さには」


 口ばかりの小者が混じってると思っていたが、参謀的な役割を期待していたのか、とフィアは少し合点がいった。

 だが、所詮は小者だった。


「まぁいい。

 入るぞ、仲間が。強力だ」


 オレギンの言葉に反応して、ドズがその後ろにいる者に声をかける。


「ブーメランを放ったのはお前か」

「ヨー」


 ドズの質問に答えるように、オレギンの後ろから姿を現した者がいる。


 小熊だった。


ルコリーの助力があって、なんとか難を逃れたサユ。

はたして2人の関係は修復されたのだろうか。

そして突然現れた小熊。

これは一体!?

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