表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/104

第12話 ~対決~ #2


 3本の斧の猛攻を受け、サユはすり足で後退する。


 腕のアーマースーツの切り傷が増え削られていく。


「あらぁ、義手の動きまで読めるのぉ。

 それともまだ何か秘密があるのかしら?」


 フィアは実に楽しそうだ。


「早くサユちゃんを屈服させて、その逞しい美しい体で抱きしめて欲しいわぁ」


 フィアの方が頭の半分ほど背が高いのだが、抱きしめて欲しいという。

 彼女は受け身側の方が好きなようだが、そういった大人の事情はサユやルコリーにはまだ早すぎた。


『ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ、ハァッ』


 右、左、前と剣を振り、鞘である杖のシャフト部分で払い、サユは後退しながら半斧を防いでいた。


 魔法を全開にして相手の動きを読んでいる。

 わずかでも間接的、直接に触れるところから相手の動きを読む。

 一瞬触れ合う刃からも敵の動きを読む。

 その為に多くの魔法を使う。


 身体の酷使と、増えていく傷と魔法とで、疲労がピークに達しつつあった。


 なのに、防戦一方でまだ相手に一刃も当てていない。

 そんな状況下でも相手の隙を探る。


 強い義手の一手がサユを襲う。

 防御の構えのまま2、3歩分後ろへ飛ばされた。


 剣を下げ、下段に構えたサユははぁっ、と大きく息をはく。

 手をから流れる落ちる血が剣を這う。


 もしここで、フィア自らの手で半斧をふるって来れば反応に遅れ、一命を落としただろう。


 だが、サユには何か確信めいたものが芽生えかけていた。

 次の攻撃は大きく遅れる。

 そして。


 強い一撃に飛ばされ、剣を下げたサユに隙を見たのだろう。

 フィアが大きく飛び込んできた。


 上から襲いかかる2本の長い義手の半斧。

 サユは腰を落として、下げた剣を切りあげながら飛び上がった。


 剣は右の義手の手の甲、魔使石に直撃した。

 硬化の魔法をかけられた石は壊れる事はなかったが、一瞬動きを止め半斧を落とした。


 無防備になったサユを、フィアの手の半斧が襲うが、サユは左手のシャフトで受け止める。

 半斧に触れるシャフトから魔法で相手の動きを読み、さらに横から薙ぎ払おうとする左の義手の手首に着地とともに剣を当てるサユ。

 義手と剣の接点から火花が散る。

 薙ぎ払いの勢いの付いた半斧が義手の手からすっぽ抜けた。


 サユの体をかすめて飛ぶ半斧。


 次の瞬間、横から強い力を受けて、サユの細い体が吹き飛んだ。


「やってくれたわね」


 ふらつくフィアが言う。

 いつしか笑顔は消えていた。

 右の義手をサユの体に叩き込んで吹き飛ばした。

 だが崩された態勢から無理矢理義手を動かした為、しばらく上手くバランスが取れずにふらつく。


 三方から襲う半斧は脅威だが、使用者は常に義手の反動をコントロールしなければならない。

 この為、ほんの一瞬だが動きが遅れる。


 そのわずかな差を読まれたフィアは面白くない。


 最小の被害で、想像以上の剣捌きで自分の攻撃を防いでいたサユに、驚き焦り大きく勝負に出た自分を悔やんでいた。

 義手を畳み、背中に収めるフィア。


 吹き飛んだサユは、草の上を転がりうつ伏せで止まる。


『うぐっくっ!』


 痛みのため、体を曲げて震え動けない。



「それで隠れてるつもり? お尻が丸見えよ」


 半斧を構えて近づく足音が聞こえる。


「雇い主だか知らないけど、

 胸が大きいだけで頭の悪そうなバネ頭のアンタが、

 私のサユちゃんと一緒に仲良く歩いてるのが気に食わないのよね」


「ひっ!」


 見つかるべくして見つかったルコリーが、敵が近づいてくる事態に驚く。


「アンタがいなくなれば、サユちゃんは私の好きなように出来るのよ」


 凶悪な笑いを浮かべ、さらにフィアはルコリーに近づいてくる。

 恐怖に泣きだしたサユが叫ぶ。


「サーユーー!私を守るためにアンタはいるんでしょ!

 何してるのよ、この役立たず!

 こんな怖い思いしてるのは全部全部アンタのせいじゃない!


 ちゃんと責任取れえええ!


 すました顔して偉そうなことなかり言って何の役に立たないじゃない!

 バカ!バカバカバカバカバカーーーッッッッ」


 目に冷酷な光を宿し、怒りを顔に表したフィアが半斧を振り上げる。

 ありったけの涙の玉を零したルコリーが、恐怖に顔をゆがめる。


「私のボディガードでしょー、ボケーー!死んだら呪って出てやるぅーーーーっっ」


 呪いの絶叫は止まらない。


「私のサユちゃんを悪く言う女はゆるさなゲフゥゥゥッ!!!」


 突然フィアが横に吹っ飛んだ。

 何かともつれあったまま道の上に転がる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ