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第36話 ~夕日~ #1

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「結論は出た。


 最後に入ってきた、あー、そのボロを着た少女、

 その者をルコリー=バーキンとして、

 レイモンド=バーキンの遺産の半分を相続する。


 バーキン家相続会議、これにて閉会とする」


 議長が嬉々として、声高に宣言した。


「ルコリーさん」


 ミサキが話しかけてくる。


「あ、えっと初めまして。

 えーっと、ありがとうございます。

 それから…」


 初対面のその女性に、戸惑いながら話すルコリー。


「挨拶は後でいいから。

 それよりも大事な友が待ってるでしょ」


 この人は全てを知っている。

 今回の騒動の全てを見通した後で、機会を伺ってここに来た。

 そんな狡猾さをおくびにも出さず、子供のような無邪気な笑顔で話かけてくる。

 これがアイマリース商会の会長。

 知らないうちに、とんでもなく恐ろしい人が後見人になっていた。


 いや、今はそれはとりあえず置いとく。

 そうだ、友が待っているはず。

 

「は、はい!すいません、失礼します」


 血相を変えたルコリーが、大急ぎで走り出し部屋から出て行った。


**************


 サユが右手に持っていたシャフトを左手に持ち変える。


 鎖鎌の先端の鎌がゆっくり回ってサユの身体を締め付けていく。


『すぐに私を殺すのではないのですか』


 魔法で話しかける。

 すでに魔法の放出は止まっていた。

 体力も魔法も限界に近い。

 立っているというより、鎖で立たされていると言うほうが近い。

 身体を縛る鎖のもう片方の端はオレギンが持っていた。

 その鎖を伝って会話を試しみる。


『師匠に直接頼めば、喜んで相手をしてくれたでしょうに。

 こんなに大騒ぎにして。

 とんでもないおバカさんですね』


「うるさい!

 ゆっくり聞きたい、

 最後にお前の断末魔を」


 鎖はサユの肩あたりを巻き始めた。

 回る鎌が空を斬る風をすぐ近くに感じる。

 両手を巻かれないように気を付ける。

 

『師匠は死に際の処し方まで教えてくれました

 あなたの思い通りにはなりません』


「ほう、

 では楽しみだな、どう死を迎えるか」


『師匠の教えは、とりあえず逃げろと…


 最後までやってみろ、だ!』


 オレギンは失敗した。

 警戒して距離を取って鎖を体に巻きつけた。

 そこまでは正解。

 もしサユがまだ剣を持っていれば両手も縛っていただろう。

 シャフトしか持っていないと見て、両手を自由にした事。


 鎖が教えてくれる。

 身体を縛る鎖の先にオレギンがいるのだ。

 右手を盾の中に突っ込んだ。

 この距離なら外さない。


 今まさにオレギンの鎌がサユの首を刎ねんとする中、盾に仕込まれていた投げナイフを飛ばす。


「ぬぐおおおおおおおお!」


 オレギンの反応は早く、片方の手で持て余していた鎖鎌で2本のナイフを叩き落とす。

 投げたナイフは4本。


「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっっっ!

 目がめがあああああああああああああああっっっっっっ!!」


 身体を縛っていた鎖が緩む。

 回転していた鎌が垂れ下がり、身体に当たって痛い。

 鎖は弛むが、戒めは解かれなかった。


 身体を自由に動かせない状態でシャフトを構える。

 もう他に武器はない。

 どこかに落ちた鎌もこの状態では探せない。

 鎖を手繰り寄せれば鎌を手に出来るかもしれないが、そんなヒマはない。


『うおおおおおおおおおお!』


 顔に命中したナイフの痛みにもだえるオレギンに突撃する。

 全体重をかけてシャフトでオレギンの体を突く。


「ぐほぁぁっ…

 サユゥ貴様ぁぁぁ

 許さんぞ許さんぞぉぉっ」


 感触から察するに、シャフトはみぞおちあたりにめりこんだ模様。

 吐瀉しながら怒りを口にするオレギンにシャフトを掴まれる。

 ダメだ。

 ナイフに苦しむオレギンを突き倒せば何とか勝機が生まれるかと思ったが、男は一歩も退く事も無く耐えた。

 今の体力では太刀打ちできない。


 顔を何発か殴られ、ボロボロになった目隠しが外れる。

 意識が一瞬飛ぶ。

 シャフトを手放せば倒れ、二度と起き上がる事は出来ないだろう。

 倒れないようしがみつき、殴られるままにされ何も出来なかった。

 それから血にぬれた長い手が首をきつく締め始める。


「とっとと消えろぉっ

 目障りな娘がぁぁぁぁっっ!!」


 憤怒にかられてか、相手も既に魔力が残っていないのか鎖鎌を使わない。

 こちらはその強い腕力に抗う力も魔力も残っていない。

 終わった。

 途切れかける意識の中でそう思うサユ。

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