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ページの切れ端  作者: 歌瑞
晦冥の底から
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【クリスマス】

【クリスマス】初出20111224



(´・ω・`)とりあえずめりーくるし…くる、く、くりすみませ、くるすむs、くりすます、なんだよ。

いやあ聞き慣れない言葉はムズカシイね! おいしいらしいね、俺は知らないけどね!





「クリスマスかあ…」

 見上げた空には、ぎらぎらの太陽がある。砂漠をこれでもかってくらいに焦がす、灼熱のヤツ。

 日本のクリスマスは、いつでも冬。それが常識だ。

 けれど、ここは砂漠のどまんなか。吹き付けてくる風は真夏より熱いし、夜は寒いけど雪の気配はまったくないし、ぜんぜんそういう雰囲気じゃない。

 ついでにいうなら、そんな宗教的な行事なんてかけらも受け継いでいない世界は、周囲の人々にくりすます? なにソレおいしいの? とか聞き返されるレベルだ。


「クリスマスって、なんだっけ」


 ───サンタさんがプレゼントを持ってきてくれる日。小さな子供の頃はそう思ってた。


 もともとの、宗教からくる成り立ちなんて、よく知らない。

 サンタの正体が、実はおとうさんとおかーさんなんだと気が付いたあとは、家族みんなでごちそうを食べて、ケーキを食べて、おねだりしたプレゼントがもらえる日になった。

 クリスマスがわくわくして楽しい日なのは、そうやっていつもよりちょっと、わがままが許される日だったからだ。

 多少無茶なお願いをしてもきいてもらえることが、すごく嬉しかった。甘やかされていると、感じることが。


「───なんだ」

 それって、今の状況と、あんまり違わなくない?


 空から地上に視線を移せば、少し離れたところに真っ黒な大きい影がコートの裾を風になびかせて立っているのが見える。

 わたしは彼に向かってダッシュした。

 走る速度から、わたしが体当たりする勢いなのを予測したのだろう。こちら側にあった腕の肘をさっと肩の高さまで引き上げる彼のその行動は、指先の鋭く尖った爪で間違ってもわたしをひっかいたりしないように気を遣ってくれてるからだ。

 思いっきり身体をぶつけて、ぎゅっと抱きつく。

 わたしの体重なんかじゃ揺らがない、鉄の棒が入った電信柱みたいにどっしりしたヒトなのに、彼はよろけるように半歩踏み出した。そうやって勢いを受け流さないと、わたしがそれこそ電信柱にぶつかった時みたいに弾かれて、痛い思いをするからだ。 …っていうか、痛い思いをしたことがあるんだけど。

 唐突なわたしの行動に、彼は怒るでもなく、上げた腕をゆっくり下ろして、わたしの頭の上に大きな手のひらをそっと置いた。


 これが甘やかしじゃないなら、世の中の何を甘やかしというのだろう。

 すごく嬉しい。


 なんてことはない、日付にこだわるのは意味がない。

 わたしにとっては毎日が、



 めりーくりすます!





キリスト教圏のひとに怒られそうだぜヒャッハー!

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