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超短編小説『千夜千字物語』

『千夜千字物語』その35~引退試合

作者: 天海樹

「今度サキに彼氏紹介するね」

そう言ってくれたのはSNSで知り合ったアオイだった。

彼女とはバスケ部のマネージャー同士ということで

意気投合して仲良くなった。


ほどなくしてアオイから彼氏のハルトを紹介された。

彼はアオイと同じ学校のバスケ部で同い年。

実際の顔も素性もわからないけれど、

3人でのやり取りは

時間を忘れるくらい楽しいものだった。


バスケ部のマネージャーになったのは

好きな先輩がバスケ部にいたからだった。

彼女がいるのはわかっていたけれど、

傍にいたいからとマネージャーを志望した。

先輩はすでに卒業してしまったけれど、

一度やり始めたら最後までやらないと気が済まない

サキの性分が3年生になるまで続けさせた。


ある日いつものように3人で盛り上がっていると、

ハルトが一人加えたいヤツがいると二人に相談した。

高校は違うけれど

「同じバスケ部で、とってもいいヤツ」

という強い推薦で、

同い年のトオルが仲間に加わることになった。

男子ということでサキは少し戸惑ったが、

近頃多くなってきた二人のノロケ話を聞くよりは

少しはマシかなと思っていた。


ある日サキは、皆に普段気になっていることを

聞いてみたくなった。

「部内の関係ってどう?」

「うちはいいよね」

アオイがハルトに言うと

「うちはマネージャーがちょっとキツくて」

トオルが答えた。続けてサキが

「うちはとにかく男子がなんかエラそう。

その態度にあったまきちゃうw」

と言うと、

それからは愚痴も言い合ったりしたが、

最後にアオイが

「でも、引退まであと少しだから仲良くできるといいよね」

言って和んで終わった。


翌日、サキはバスケの練習を見ながら

アオイが言っていたことを思い出していた。

(どうせなら引退試合ぐらい、一緒に喜んだり泣いたりしたい)

そう思わずにいられなかった。


その日、早速サキは相談した。

「素直に部員にぶつければ?

 オレも最後ぐらいは一つになりたいからうちの部員にも言ってみるし」

トオルがそう言った。

サキは同じ気持ちなのがうれしかった。

他の二人も賛同し、サキの心は決まった。


翌日、サキはミーティング終わりに

部員に言おうと待ち構えていると、

男子の方から手が上がった。

「最後ぐらい一つになれないかな」

その言葉を聞いてサキは驚くと同時に、

トオルだということを確信した。

トオルの意見にサキも賛同し、

話し合いを重ねてわだかまりはなくなっていった。

そして、トオルとサキ二人の気持ちも

自然と一つになった。

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