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 はい、到着。


 ペットリモ村は、風光明媚で穏やかな気風の小村でした。



 ご年配の方々がとても多いってところは田舎の過疎村っぽいですが、


 皆さん、のんびりながらもお元気で凄く幸せそうですね。



 実はこのペットリモ村、ただの田舎村では無かったのです。

 


 そもそもの村の成り立ちは、


 国のために尽くしてくれた人たちが引退後に穏やかな余生を過ごせるようにと、


 ニルシェ王都評議会主導で運営されている保養地的な保護区域なのだとか。



 候補地選びの段階から王都の都市計画に匹敵するほどの入念な計画が成され、


 村が過度に騒がしくならないよう大きな街から離れた場所を候補地に選定、


 戸別や集合形式の住宅や様々な保養施設をイチから建設。



 年配の方々が日々安らかに過ごせるようにと、


 大勢の介護職員さんや永住施設運営スタッフさんが常駐にて勤務しており、


 村のキャパシティを考慮して入村資格審査の方もかなり厳しいそうです。



 いえ、地位とか裕福さとかが基準では無く、


 あくまでニルシェ国民として誠実な働きを成してきたのかが審査基準。


 もちろんご本人のみならずご家族の同意も必要。



 当然お若い職員さんたちも多いので、村にはお子さんたちもたくさん。


 国を支えてきた年配の方々への配慮はもちろん、


 これから国を支えてもらう子供たちにも充分な教育環境を。



 ってことで、入村資格者にして神官のヨレン師匠もここにお呼ばれ。


 マイペースで良いので教育のお仕事もお願いねってことだったのです。




 ---




「こりゃぁボケとる暇なんぞなさそうじゃのう」



 嬉しそうですね、師匠。


 でも、お忙しいからって手紙は後回し、なんて駄目ですよ。



 届けるのが早ければ早いほど、


 遠くにいる子供たちからのお返事だって早く届くんですからね。



「助けておくれ嬢ちゃん、弟子がいじめるんじゃよ」



「何ですかねえ、最近おふたりがますます似てきたような……」

「私からも、お手紙の方、よろしくお願いします」

「この村には年配の方向けのリハビリ施設とお子さま向け運動場くらいしか無いので、私たちのいつもの鍛錬は遠慮しているのです」

「出来れば早いとこ出立して、新生ウェイトさんをみっちりしごきたいのですが」




 あー、師匠。


 無理せずともゆっくりで良いですよ。



 こんな穏やかな村で、


 急かしたり騒がせたりするような不埒なマネは出来ませんから。



 俺もほら、素敵な職員の皆さんとの交流が……




「結局、どこに行ってもウェイトさんはウェイトさんなのです」



「まさに筋金入りじゃの」



 お褒めに預かり恐悦至極……




 ---




 こんな感じの異世界暮らし、


 今日ものんきに冒険者稼業。



 まあ、俺ですから。



 魂をえぐられるような危険極まりない冒険とか、


 魂を骨抜きにされちゃうような艶っぽい出会いとか、


 そんな濃いイベントには極力近付きませんから。



 もちろん、止むを得ず遭遇しちゃったら全力ダッシュで逃げますとも。


 そのための日々の鍛錬ですよ。



 決してリルシェさんとの密着鍛錬での、


 ラッキースケベ目当てじゃありませんから。




 うん、そっち方面でも、


 もうちょい頑張れ、俺。




 あとがき



 ウェイトさんの成長っぷり、素直に喜んで良いのやら。



 何だか、これまで軽自動車で町内うろうろしていた初心者マークが、


 いきなり大排気量のデカい車で他県に遠出しようとしているかのような……




 つまりは、この先どんな感じになるのか分かりませんが、


 これからもよろしくお願いします。



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