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『道連れ』第三段階解放、
それは誰も辿り着いたことの無い境地。
固有スキル『道連れ』:発動者が認識した全ての意思疎通可能な存在の能力を、
発動者とほぼ同等な能力へと一時的に上書きする。
効果範囲は、認識次第。
俺の『道連れ』は、相手が俺とほぼ同じ能力に固定されるので、
身体能力・戦闘技術・魔法や固有スキルに至るまで、その全てがほぼ俺並みに。
そして『道連れ』は固有スキルとしての"格"が最低レベルなので、
相手が得意としている"格上"の凄いスキルなんかは当然使用不能に。
つまり相手は得意な魔法も自身の固有スキルも、ほぼ封じられた状態。
で、第三段階とは。
鍛錬によってレベルアップした今の俺なら、
相手の封じられた魔法や固有スキルも自在に使いこなせるようになる、かも……
という、あくまで理論上の可能性。
『道連れ』は、効果継続中の相手との繋がりを持ち続ける、
"ステータス侵食型"というタイプに分類される固有スキル。
そして『道連れ』よりも高位の"ステータス侵食型"スキルの中には、
リンクした相手の保有能力を使えるようになったという実例があるそうで、
つまりは、俺が『道連れ』した相手のスキルを使えるようになるかもってこと。
まあ、過去の『道連れ』使用者にはそれが出来た人はいなかったそうですが。
「"ステータス侵食型"スキル使いには相手の能力を自在に使いこなすほどの凄い使い手もおったそうじゃし、『道連れ』使いにもそれが出来るかも、という噂話し程度の可能性じゃよ」
「ただ、ウェイトさんと『道連れ』の異常なほどの相性の良さなら、そういう浪漫があってもええじゃろ」
何だか最近、コレイカ第七層やら『道連れ』覚醒やら、
前人未到ちっくな出来事ばっかですよ、俺。
もっと普通っぽい冒険者人生したいのですが……
「流石は私の見込んだウェイトさんですっ、と言いたいところですが」
「何だか人外さん好きがエスカレートし過ぎたせいで、ご自身までも人外さんになってきているような……」
ドン引きしないでくださいよぅ。
でもやっぱり、俺がそんなにも強くなったらパーティー解散ですか……
「むう、舐めてもらっちゃ困りますっ」
「チームモノカ筆頭乙女騎士ノルシェにして名無しパーティーの相棒リルシェ」
「一蓮托生を誓った仲間を見捨てるほど、身勝手薄情ではありませんよ!」
……おみそれしました。
出来れば、荒っぽい方向じゃない相方としても、
これからもよろしくお願いします。
「お任せあれ!」
「わし、何だかおじゃま虫気分……」




