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 かくのごとく異世界ちっくな日常イベントを引き起こしたりもしておりますが、


 冒険者活動だってちゃんと頑張ってますってば。



 で、今回の依頼は、"巡回神官の護衛"任務。




 この異世界リヴァイスの教育システムは、ちょいと独特。


 いわゆる学校のような公共教育機関は、大きな街にしかありません。


 小さな町や田舎の村には、巡回神官という旅する教育者さんが、


 定期的に地方を旅して回って教え歩くのです。



 いえ、神官と言っても宗教絡みでは無く、


 一般教育や魔法教育に秀でた個人が国の認可を得て神官を名乗り、


 地方を巡回しているのだそうです。



 基本的には、教科書的な書物の配布や更新、


 魔法やスキルの使い方などは実地教育で。


 学びに熱心な子は希望すれば街の学校で学べるよう手配してくれるそうですし、


 思っていたよりしっかりとした制度のようですね。



 それともうひとつ、神官の重要なお仕事が、固有スキルの認定。



 皆さんご存知の異世界名物"固有スキル"ですが、


 これって俺たちのような召喚者特有の能力では無いのです。


 実はこの異世界で暮らしている全ての存在にあまねく備わっている能力。



 で、どうやら召喚者の場合は能力のブレ幅が大き過ぎるらしくて、


 それがめっちゃ上振れするとチートスキルになっちゃうのだとか。


 もちろん俺みたいに下振れする残念召喚者だって多いのですが。



 この異世界で普通に暮らしている異世界人さんたちの場合、


 固有スキルの能力のブレ幅はさほど大きくないそうで、


 大抵の場合は日常生活に少し役立つくらいだったり、


 能力を活かせる職業を目指す目安にする程度なのだとか。



 それでも中にはアタリを引いちゃう場合もあるわけで、


 チートっぽい固有スキルを授かる異世界人さんだっているのです。



 ただそうなると、少々問題発生。


 本人の意思とは無関係に厄介な人生を歩まされる羽目になりがち。



 国政やら戦さやらに役立つスペシャルな固有スキル持ちは、


 お抱えになったり強制徴集されたり、


 昔からアレな扱いされることが多かったそうで。



 まあ、そんな風に役立つからこそ、


 わざわざ手間暇かけて召喚者を呼ぶのでしょうけど。




 結局、永い歴史でいろいろあった末、


 世界的な流れ、みたいな感じで固有スキルに関するルールが定まりました。



 あまりにもちっちゃいうちから固有スキルが判明すると、


 搾取されたり天狗になったり人生つまんなくなったり、


 子供たちに良くない影響を及ぼす要素ばかり。



 自分の力で人生を選べるようになるまでは固有スキルは内緒にしておくべき、


 という風潮が広まっていき、いつしか世界的なルールに。


 これも、この異世界ならではの生活の知恵なのかもしれません。



 ということで、子供たちが成人扱いとなる15歳を迎えると、


 巡回神官が"成人の儀"で固有スキルを『鑑定』してくれるのです。




 そういえばこのリヴァイスでの、


"人の固有スキルを不躾に知りたがるのはマナー違反"という慣習は、


 そういう歴史的な背景を持った異世界流トラブル防止策なのでしょうね。



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