第五話 vsルームサービス
「もう十二時。お腹空いたの・・・」
第一戦を終え、アリスは唸っていた。
先ほど、生徒会に更新されたポイントを見やる。
魔力を持つ者なら視認が出来るらしく、頭上に出るシステムだ。
自身のポイントは206。
相場は200程度と聞くし、すでに平均以上だろう。
勝ちで得られるポイントよりも、負けで失うポイントの方が、多い設定になっているため、負けのポイントを補うのは難しい。
となれば、敗者たちはコスパを求め出す。
どう頑張っても、対戦する敵、もらえるポイント数には運も絡む。
ポイントをそれなりに持っていても、実力的に見合っていない者も一定数いるだろう。
「自分から好戦的になる必要は、きっとない」
どうせ、これからも狙われ続けはするだろう。
「ルームサービスおねがいするの」
ルームサービスに食事の配達を頼んだみたいだ。
食堂にも行ってみたかったけど、そこで殺し合いというのも迷惑だろうし。
「レズポンドさん。ルームサービスです-」
お、来たみたいだ。
リーデルのルームサービスは品揃えに申し分はないらしいから楽しみだ。
「はー
アリスがドアを開けかけたとき、それは襲ってきた。
電撃の魔法だ。
稲光状の光線は、アリスを正確に狙ってきた。
いや、ルームサービスに殺されるってなに!?
と思わず目を瞑ったが、
アリスは右腕を突き出し、電光線を防御していた。
「っ。防御までいけんのかよ」
「いやお前、その前になんでルームサービスに扮してる」
「知らないのか。この学校では襲撃も許されてるんだぞ
「それは知ってるの!だからってなんでルームサービス頼んだの知ってるの!」
殺しに来たのではないのか?立ち話してるぞ。
「その口調のやつがお前以外にいるか?」
「のっ・・・」
間違いない。盗聴されてたら一発だ。
「てーわけで、殺し合い、受けてもらえるか?」
「構わないの。詫びても許してやらないから、覚悟しやがれなの」
ルームサービス男とアリスはそれぞれ向き合った。
先に動き出したのはサービス男。
電光線を複数操り、それらでアリスを包囲しようとする。
が、アリスは動かない。
「はっ!恐れおののいたか!お前が入学試験満点なんて情報は嘘なんだよ!」
「たったこれだけ・・・。おもんないの」
「あ?」
楽しそうに笑うと、アリスは回転して自身の周りにバリアを作った。
「悪いけど、光関係は対策済みなの」
電光線は一本も通らないまま、全て弾かれた。
俺とサービス男が唖然としている間に、アリスの手は男の首筋へと迫っていた。
「終わりなの」
手刀が首を吹き飛ばすと思ったその瞬間、別の何かが手刀をガードした。
「の。邪魔すんななの」
「今のが当たっていたら、この校舎が真っ二つになっていた」
「殺しにルールはないんじゃなかったの。せーとかいちょーさん」
アリスの手刀を抑えたのは、生徒会長・スバイルだった。
「器物破損は別案件だ。大概のことに口は出さないが、校舎分断で迷惑を被るのは、ここに住んでる君だ」
「・・・監査の分身さんに言ったの。殺す気はないって」
アリスは手を後ろに回すと、ふわっと立ち上がった。
「それでも、今の君の手刀には、恐ろしいほどの殺傷能力の魔法が込められていた。どこで覚えた・・?」
真剣にスバイルは問った。
「私の出生を探ればどうせすぐ分かるの。けれど、私は殺す気は無かった。それは事実なの」
「・・そうか」
スバイルもまた立ち上がった。
サービス男は、死を間近に感じた恐怖から気絶している。
「アリス・レズポンド。その活躍と狂気に期待している」
「お生憎様なの。ここでは殺さなくてもポイントは稼げるの。期待には乗っからないの」
「・・・すぐに監査ドールをよこそう」
スバイルは、緊迫した顔つきでその場を去って行った。
監査ドールとは生徒会総監査レーナの分身体のことをそう呼ぶらしい。
スバイルの言ったとおり、その後すぐに訪れた監査ドールによって勝敗は決められた。
アリス・レズポンド
戦歴p学年3位に浮上