第一話 序章
王立リデール魔法学校。
魔法使いの素質を持った少年少女が集う魔法学校。
国にはいくつもの魔法学校があるが、リーデル魔法学校はその中でも最高峰の学校。
入学試験は非常に厳しく、教鞭を執る教師陣も、歴史に名が残るような有名人ばかり。
そして、入学試験。
前述の通り、恐ろしいほど難解な試験は、“学校の試験”の概念を跳ね飛ばし、最早プロの魔法使いたちを見定めるためのものと言っても過言ではないレベルの内容となっている。
飛行なんてものは初歩の初歩。リーデルの入学試験で求められるものは、飛行速度と操縦センス、飛行しながらの戦闘試験の段階になる。
学校名が国で知らぬ者は居ない、といったレベルの知名度故に、入学志望者は多い。
しかし、実技試験と同時に、難解な筆記試験も設けられているため、多くの学生は試験で容赦なく落とされる。
そんな馬鹿げた学校なのに、なぜ入学希望者があとを絶たないのはなぜなのか、最早疑問であるが、学校のシステムを知ってみれば、そんな疑問も消え失せる。
なぜか、学校のモットーは“ユルユル”なのだ。
授業への出席も自由。全寮制の寮は、ホテルのハイパースイートにずっと泊まり続けるようなもの。
食費もなけりゃあレジャー面でも文句はない。
おまけに学費も無いに等しいとなれば、この現状にも頷くしかない。
ただ一つ。生き残れば、の話だが。
そうとは知らずに、今日もリーデル魔法学校には入学希望者がやって来る。
「これより、リーデル魔法学校、入学試験を開始する」
それが、最も多くの死者と行方不明者を出す魔法学校。リーデル魔法学校である。