第2の夜景画
第2の夜景画ここに始まる。
「お父様,ほら蛾が、、、、、。」
「え?どこに?」
「あっ、もういなくなったわ」
くすんだ赤いビロードを貼り詰めた部屋にローソクは熱い涙を燭台に垂らし、まさに燃え尽きようとしていた。
炎がゆれて二人の影も揺らいでいた。
「おお、おお、火が消えそうじゃ。もう1本つけよう。」
『お父様、1本だけじゃなくてもっともっと、いっぱいつけて、、、、、。
そして、もっと、キラキラするほど、明るくして欲しいの。」
「だが、おまえ、ロウソクはそう無駄に使っちゃいけないよ。じゃ、もう2本つけてあげよう。
それでも、うんとあかるくなるから、」
「そうね、、、、、そうして、、、、、」
長い襞飾のいっぱいある、ローブのすそを床に預けて、その少女は窓の外の夜をぼんやりしながら
見つめていた。
『雪はやんだらしいわ。」彼女は誰に言うともなくそうつぶやいた。
ふと中を見るともう、老人はいすにもたれて気持ち良さそうに寝入っているのだった。
「眠ってしまった、、、、、、」彼女はまたそっとつぶやいた。
彼女は立ち上がると、静に城のそとへと出て行った。
彼女が大理石のホールを横切ると、その空気は少し揺れ、ローソクの炎もつられてゆらゆらとゆれた。
彼女は重い鉄門を押し開けた。
歩むにつれて、夜の中で、草は少女の足の下に踏みしだかれた。
ゆっくりと、歩いて雪原の境目まで来ると、もうそれから先は彼女は行けないし
また、行ってはいけないのだった。
『あの向こうに何があるのかしら?」
彼女はほっと、ため息をついた。
星もなく、。暗い空、そして、夜は遥かな雪原の彼方まで、
まるで永遠を思わせて続いているのだった。
第2の夜景画ここに終わる。