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復讐


うふふっ、いつになれば私の物に…待ち遠しいですわ


フクロウ先生は語り始めた。

「儂も昔は普通の医者じゃた、治すことに生き甲斐があった」

「だが気づいてしまったんじや。何度治しても何度治しても治してもらえると思って無茶をし、命を無駄にする輩が。そんな命は無駄じゃ」

「だから儂の食料にする事にした、初めて実行した時のあの味、高揚感、開放感、最高にたまらんかった一回したらもうやめれんかった。」


「腐ってんな、反吐がでるぜ」


「でもな、儂も鬼ではないからな、ルールは決めてある、二度までは治してやった、三度目に食べる、そうしたら自然と食料が集まってくる。最高じゃろ」

フクロウ先生の顔はいつもの顔ではなくなり、にやついていた。


「お主も肉食、狩りの時の高揚感はわかるじゃろ?」

「いや、わかんねぇ~な。」

「みんな必死に生きてるだけだ。リラもな。」

「ほっほっリラは賢い子と思ったんじゃがな、残念じゃったわい。」

二匹をみて、にた~と笑った。

「聞きたいじゃろ?リラの最後を」

「昔話には興味ねぇんだよ、早く話せよ」


「一度目はだいぶ昔じゃ、同じ種族の子が連れてきて治した、リラは覚えてないようじゃったがな。」


「二度目はライオネルに襲われてそこで泣いておる奴が連れてきた。」


「三度目はなぁ…お主のせいじゃタイガ。」

「あの日、リラはお主が心配で戻ったら大量の血があった、お主のと思って追いかけたらそこにライオネルがいたそうじゃ。」

「あの大量の血はライオネルだったのか。」

「リラはライオネルに襲われた、そして逃げた。なんとか儂の所に辿り着いて治療してやったんじゃよ。」

「そしたら次にお主が運ばれてきたから治した後、リラが目覚めた。」

「だから、話を聞いた後食べてやったわい。最高にうまかったぞ、お主の隣でリラを食べるのは。」

「とてもいい表情をするな、横にいて何もできない、お主のせいじゃ。」

フクロウ先生は笑い声をあげた。


「それで全部か?」

「あ~そうじゃ、悔しかろ?悔しかろ?」

「あ~腹が立つ、最後に聞きたい

リラを食べるときやめようとは思わなかったのか?

ついでにライオネルは生きてんのか?」


「全く思わんだな、ただの食料じゃよ。ライオネルのことは知らぬ。」

「そうか、これで思い残すことはないだろ?」

「お主こそないか?知られた以上生きては帰すつもりはないぞ。」


タイガはフクロウ先生に飛びついた。

するとタイガは苦しみ始めた、


「なっ……い……」

「若造が!なんの策もなしに。

お主も美味しく頂く事にするぞ。」

「ふざけるなよ、自分勝手すぎだろ。」

モッグンは怒りで手が震えていた

「危ない奴よの。」

「ゲホっゲホっ」

「大丈夫かい?タイガ。 」

「まぁなんとかな、助かったぜ」

「モッグンはなんともないのか?」

「特に変化はないよ、タイガこそどうしたんだい?」

「急に息苦しくなって、動けなくなった。別の能力かもしれねぇな。」

「どうしたのじゃ?口だけでかかってこんのか?」

「うるせえよ、狩ってやるよ。」

『俺がおとりになるから、またさっきのをしてくれ。』

タイガは全形姿勢で構えて飛び出した。それをひょいと避けるとまた苦しみ始めた。

「い…き…」

モッグンの地響きでフクロウ先生が離れた。

「はぁ~はぁ~おせいよ。死ぬかと思ったわ。」

フクロウ先生に近づくと息ができなくなるのはわかった。治癒以外の能力?

近寄らなかったら問題ねぇな。


「まだまだ若造じゃな」

フクロウ先生は羽を広げ、部屋の中を飛び始めた。

「ほっほっほっいくぞ」


タイガの背後に周りこむと、肩付近に噛み付いた。

「儂は空が飛べる、能力もある」

「お主らには勝ち目はない、諦めて儂の食料になるがよい。」


モッグンが地響きを起こすとフクロウ先生は避けるためとんだ。

『次は僕がおとりになる、タイガーは入口側にいて、僕が動きを止めるから、後ろからトドメをさして。』

『おぅ、頼んだぞ。』


タイガはドアに背を向け、前からの攻撃に備えた。

モッグンはおどおどしながら、ドア側に背を向けた。

「まずは厄介なお主じゃ、」

部屋の周りを旋回し、急降下してモッグンの背後に回った、それと同時にモッグンはフクロウ先生に抱きついた。

「お主何を考えておるのじゃ、」

「これで空は飛べない、能力を使いなよ。」

「お望み通り苦しむがよい。」


モッグンは息ができなくて苦しいが、何とか地響きを起こした。家が壊れるほどの。壁中にひびがはいり今にも崩れ落ちそうだ。

「お主自滅する気か?離すのじゃ。」


モッグンは息苦しさになんとか耐えるのに必死だった。モッグンは心で呟いた。

『タイガは外に出て』

「だめだ、これ以上したら崩れるぞ」

『元からそのつもりだよ』

「話が違うぞ。俺がトドメをさすんだろ?」

『騙してごめんね。』


家はも崩壊した。

タイガはなんとか入口側にいたため、逃げ切れた。

タイガはまた自分が役にたたずに仲間を失い立ち尽くしていた。


瓦礫の隙間から何かがでてきた。

「モッグン??」

「ほっほっ儂じゃよ。残念じゃったな。

それにしてもちっとしくじってしもうたわい。」

「このケガではどうしようもないな、今回は見逃しとくしよう。」

「逃がすかよ。」

タイガは飛びついたが、フクロウ先生は空高くとんだ。


「くそっ、くそっ、なんであいつだけ生きてんだよ。モッグン。」

「なんか呼んだ?」

タイガは自分の背後をみた。

そこにはモッグンが土の中から顔を出していた。

「モッグン?生きてたのか?」

「勝手に殺さないで、寸前の所で穴を掘って逃げたんだよ。だから逃げられたのかもしれないけど。」

「そんなの構わねえよ。」

「ほっほっほっ、相変わらず仲良く盛り上がっておるな。」

「まだいたのか、じじぃ。」

「念の為安否を確認しときたくての、では失礼するぞ。」

フクロウ先生が飛び立っていった時

黒い影が襲った。


「なんじゃ?やめろ。 」

フクロウ先生は能力を使うが、黒い影の多さに対応しきれていない。

空から黒い影の一部が能力にやられたのが落ちてきた、タイガは確認すると蝙蝠だった。


黒い影の一部からリーダーらしき蝙蝠が顔をだし話しかけてきた。

「タイガ様~私のことわかる~?」

「わからねえよ。」

「相変わらず冷たいわね。」

「知りたくないの?あの日の事。」

「何か知ってるなら教えろ。」

「ん~どうしようかな~。」

タイガは蝙蝠の態度に腹が立った。

「もったいぶるな、早く降りてこい。」

「じゃああ~私の物になって。」

「はぁ?なるわけないだろ。馬鹿か。」

「ほんとうに冷たいわね、いずれ私を必要とする時がくるわ。うふふっ」

「ねえ~よ。」

「うふふその冷たさがいいのよね。」

「まぁ今回はいいわ、このじいさん頂いていくわね。タイプじゃないけど。」

ボロボロになったフクロウ先生は黒い影の中で動いていなかった。

なぜが、心も読めなかった。


「またお会いしましょう。タイガ様。」

タイガに向け、ウィンクを飛ばした。

あまりの気持ち悪さに吐き気を模様したタイガはモッグンをみた。

モッグンはタイガにウィンクをして冷やかした。

「まだモッグンのがましだな。」

「聞こえてるわよ、そこの薄汚いのタイガ様になんかしたら覚悟しときなさい。」

黒い塊は飛び立っていって。


「なんだんだ?あれ?」

「わからないよ、でもタイガ様のせいで僕が怨まれたよ。」

「モッグンが慣れないことするからだろ」

「そうだね。」

「でも、復讐果たせなかったね。」

「まぁな、助かっただけましか。」

「いずれ果たそうよ。」

「あの気持ち悪いのに会えたら果たせるかもな。」


なんとか生き長らえたタイガとモッグンは地面に座り、崩れた瓦礫を見て、生の実感を感じた。

あれから瓦礫から大量の骨が発見され森ではフクロウ先生の噂がたえなかった。頼って治療を受けて知らぬうちに食料にされた動物はかなりの数になりそうだ。 瓦礫をどけ、骨を埋め慰霊碑をたて名前を彫った。


そこにはリラの名前もあった。彫ったのはモッグンだ、結末は残念だが、ともらえたことはモッグンにとっては救われたようだ。

リラの形見の図鑑はモッグンが引き受けることにした。絵はうまくかけないが。


フクロウ先生を森から追い出した事でタイガとモッグンはヒーロー扱いだった。

タイガ隊長モッグン副隊長として、また森を守ってほしいという願いが大勢からあった。この願いのおかげでモッグンは少し自信をつけ逞しくなった、リラにみせたい位に。ただ、タイガとモッグンだけでは守りきれないのはフクロウ先生の件で実感した、他に仲間が必要だった。



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