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結集


私は…あなたのためなら…


鳥一族の渓谷へ逃げ延びたタイガ達はライトに詰め寄った。

なぜこのようなことをして、何がしたかったのか。みなが責め立てた。


「これは仕方のないことなんです……」


「そうですね、実の妹を殺め、ググ達を利用し、この世界を危機に陥れた。言い訳のしようもないですね。これからどうするおつもりですか?」


「うんうんそうだよ、お兄ちゃん」

「まぁそんなに責めるなよ。今はあれをどうするかが先だぜ」

「そうですか、実際あれに勝つには……」

「あれに勝つには、成功させるしかなかったんです」

「もう勝てないの?」

「わかりませんが、限りなく0に近いと思います。」

「0じゃねぇならやるしかねぇな。」

「そんな簡単な話ではないですよ。」

「わかってるさ、どうして失敗したのか考えねぇとな、時間もねぇし。」

「やはり攻撃を防ぎきれなかったからさ?」

「それは少し違います、本来ならある程度までの攻撃なら光の中へ消えるので発動していれば攻撃は防げます。」

「では、何がたりたなかったんです?」


「薄々わかってるんだろ?本当は?」

「そうだよ、お兄ちゃん。まずは自己紹介からだよ。」

「今更自己紹介?時間がありませんよ。」

「ライトはリラのお兄ちゃんで、実はこの世界を救うために頑張ってたんでしょ。」

「モッグンの言うとおりです、他に何かあるんです?」

「あるでしょ、お兄ちゃん。はいはい自己紹介。」

「はい、すみません、私の本当名前は…ライトではなく…イトです。」

「え?名前まで偽ってたの?」

「はい、それにも理由があり身分を隠してました。」

「理由とはなんです?」

「それは……私とリラが関係しています。昔に不完全な状態で…合わせ技をしてしまい、失敗しました。だから名前を偽ることにしました。」

「えっ?私そんな記憶ないよ。」

「覚えてないのは当然です、私しか覚えてないのですから。」

「どうしてそのイトだけが覚えてるの?」

「リラが覚えてないのはわかりません。」

「もしかして元凶は私……?」

「いえ、すべての元凶は私の不甲斐なさとライオネル達です。」

「ライオネル達も関係あるの?」

「あの方達がリラの大事な人達をを傷つけこの世界が本来と別の形に変わってしまったのです。」

「本来の形って?もうわけわかんないよ。タイガ。」


「わからねぇだろな、俺とイトの能力で記憶をみた方が早いぜ。イト、いいか?」

「はい、覚悟して見て下さい。先程の円形になって下さい。モッグン、ググは中へお願いします。」

「僕もいいの?」

「はい、先程はあなた達に助けてもらいました、協力は必要です。」

「素直にねお兄ちゃん」


エレンは早く助けたい気持ちで焦っていたが、成功させるには大事なこととタイガになだめられ、エレンは泣きそうな顔で我慢した。


タイガとイトは顔を合わせ能力を発動した。

イトの記憶はかなり膨大で信じられない事の連続だった。

皆がイトの経験したことを間接的に体験し涙が溢れた。


「これが…事実なら…」


「この世界はすべてが偽り…すべてが破壊された後、また戻ります。」

「お前……」

「今は感傷に浸っている時間はないです」


「それにエレンあなたの作った石像、きっと何かを感じ取っていたのでしょ。」


エレンは今まで能力で作った7体の石像を思い描いていた。


「あの姿が、本来能力持ちの姿なの?」

「なるほど、高台にある像はリラですね?」

ルーグはタイガをちらっとみた。


「なるほど、なるほど、だからあの時タイガは泣いていたのですね? 」

「タイガ私を見て泣いてたの?」

「おい、なんのことだ? 」

タイガはエレンをみた。


「しゃしゃべってないでしゅ。」

「エレンは喋ってないですよ。私が目撃しました。」

「ちっ、みてたのかよ。」

「え~本当はみてませんけどね。」

「くそっはめやがったな。」

「へへ~タイガやっぱり泣いたんだ。」

「今はどうでもいいだろ、話を戻そうぜ」

皆は一時の笑いを楽しんだ。


みなはこと顛末を理解できたことで、あれへの対策を考えることにした。


「記憶をみたことで本来の能力を発動できるはずですが、高台に行くには、またあれを誘導する必要があります。」

「何か案があれば……」

ググ王子が前にでた。


「私に…時間を下さい。今まで訪れた動物達に協力を仰いでみます。生きていればですが……」

「それで許されるなんって思わないで下さいね。」

「わかってます…私の勝手な思いで迷惑をかけたので、少しでも役にたちたいだけです。」

「せいぜい無理はしないようお願いしますよ。」

「みんな素直じゃないね、どうせならみんなで生き抜こうよ~」

「そうだぜ、リラの言うとおりだ。今は皆で協力して乗り越えていこう。ググ頼むぜ。」

「はい‥…私にできることならなんなりと。」

「明日には必ずや戻ります……」

ググ王子は涙ぐみながらも、とびさっていった。


「あとは僕の出番だね。僕がみんなを守りながら誘導するよ。」

「すまないが、頼む。ただ死ぬんじゃねぇぞ。」

「死ぬ気はないよ、僕だってやればできるもん。」

「あ~そうだな。モッグンなら大丈夫だ。」

「私達が高台に向かう間、なるべく体力は温存したいところです。やはり空からが一番ですね。」

「王よ、どうか私のわがままを聞いて下さい。」

「ルーグ、話せ。」

「鳥一族の力もおかしください、そのためなら……」

「ちょっと待て、今は一族のことなんてどうでもいいだろ。」

「そうはいきません、私は今までこの為に生きてきたのですから。偽りとはいえ本望です」

「二人で協力すればいいじゃん。」

「王は二匹もいらぬ。争いをおこすだけです。」

「それでルーグが死んでもか?」

「ルーグの命で済むならググも本望です。」

「それはググがいったのか?」

「私にはわかります。」

「わかってねぇだろ。ググが鳥一族を見放したのもそれが原因だろ。いいかげんわかれよ。」


王は黙り込んだ、そこへペリーカーンなど様々な鳥達が現れた。


「王様、僕達は今の優しいググ王子がいいのです。ググ王子のためならみな、命を捧げる覚悟です。どうかルーグのお願いを聞いてあげて下さい。」


王様は黙り込みうなだれた。


「納得はしておらぬが、皆がそういうのであれば致し方ない、協力しよう。ただし、ググのことは必ず死なせるなよ。」



後は森と湖周辺の動物達の説得にいくことにした。

森にはタイガ、モッグン、ラック。

湖はエレンに頼んだ。

エレンは早く行きたくて仕方なかった。湖はあれが破壊してまだいる可能性もあった。そこでルーグはエレンについていくことにした。

イトは心当たりあるところを回ることになった。


「じゃあ~私はお兄ちゃんについていく。いいよね?」

「べっ別にかまわないですよ。」

「へへっ、久々の家族旅行だね。」

「遊びにいくわけじゃないですよ。」

「わかってるよ~だ。」


各自、鳥一族の力を借りてすぐに出発した。

湖についたエレンとルーグは悲惨な光景を目撃した。美しかった湖には水がなくなり大きな無数の穴があき、果物のなる森は焼き尽くされ高台への道が開けていた


「おっお母様…そっそんな……」

「これは…ひどいですね…見る影もないです。本当にすべてを破壊していくのですね。エレン一旦戻りましょう。ここにはもう…誰もいません。」

「いや、いや、いや、イヤ。」

「ですが…ここには……わかりました。ではあれもいないようですし少し探しましょう。」


エレンは無我夢中で飛び回ったが、やはり誰もみつけられなかった。


一方タイガ達が向かった森はまだ無事だった。周辺を歩き、動物達も生きていた。しかし何か違和感を覚えた。

「ちょっと待て、なんか前より動物多くねぇか?」

「んっ?そう?こんなもんじゃないかな?」


違和感はあったが、タイガ、ラックの能力で森にいる動物達に話しかけた。最初はみな久々のタイガの能力に驚きもしたが、タイガと分かると納得し引き受けてくれた動物達、逃げ出す動物達もいた。


「なんで逃げるんだ?」

「やっぱりあれが怖いんじゃないかな?」

「まだここにはきてないぜ。」

「そっそだね、なんでだろ。 」


突然、図太い声でタイガに話しかけてきた。

「よぉ、若造よ。お前たちの森一部かりてるぞ。」

「んっ?おっさんか?」

「そうじゃ、あんなことがあったからの、なんとか逃げ出せたものもいる。」

「そうか、無事で何よりだ。もちろん協力してくれるよな。」

「うぬ、ワシは協力しよう。だが、あれをみてしまったものは恐怖で動けないだろ。」

「無理にお願いはしねぇよ、おっさんがいるだけでも心強いぜ。エレンの母親はどうした?」

「エレンの母か……ケガはおったが生きとるぞい。」

「そうか、よかったぜ。湖の動物達はもう誰もいねぇのか?」

「まぁいても生きてはおらぬだろな。して、エレンは元気にしとるか?」

「あ~元気だぜ。今湖周辺を探してる最中だ。早く教えてやらねえとな。」

「うぬ、それがよかろう。ワシがいるところへこい。皆で説得を心得よう。」


鳥一族の精鋭に湖にいるエレンに伝言を頼んだ。


一方、イトとリラは砂漠地帯へ飛んでいた。どこもかしこも砂だらけだが遠くに集落がみえた。


「お兄ちゃんの目的地はあそこ?」

「そうです、ここらへんは砂ばかりですが、あの集落にのみ、動物達が水や食べ物が手にいれるために集まります。」

「へぇ~色々場所があるんだね。 もっと平和なときにきたかったな。」

「あれをなんとかできたら平和になりますよ」

「うん、じゃあがんばらないとだね。」


到着したイトとリラは動物達に協力をお願いするため長老の所へ向かった。

すれ違う動物達はイトをみかけると話しかけお礼をいっていた。

しばらく歩くと長老の家にたどり着いた。

イトはドアの前にいる門番に挨拶すると中へ通された。


「長老、イト様のご訪問です。」

「おお~イトよ~久しぶりだの。」

「長老お久しぶりです。」

一通り挨拶を終え、長老はリラにたずねた、カキカキカキカキ。


「して、君は?容姿はイトとそっくりだが」

「私はリラです、イトの妹です。」

カキカキカキカキ。


「そうかそうか、まぁゆっくりしていくといい。」

「いえ、長老。今回はゆっくりしている暇はないのです。」

「この黒い空と関係があるのだな? 」

「はい、あれを倒さないとこの世界が終わります。」

「とうとうお主がいっておったことがおこったのだな。もちろん私達は全面協力しよう。」

「ありがとうございます。もう時間がありませんので、皆で向かいましょう。」

長老は緊急事態をつげ、戦いに備えた


「さすがお兄ちゃんだね、あっというまに仲間にしちゃったね。」

「事前に準備してたのでね。」

「ドコまで先みて動いてるのさ。」

「まぁ慣れというものですよ。」

「ねぇ~お兄ちゃん。そういえばあれってなんなの?」

「あれは悪意の塊です。」

「ドコからきたの?」

「あれは……リラが描いた絵にライオネル達の悪意、悲哀などから生まれました」

「悪意に悲哀かなんだか悲しいね…ってか私あんな可愛くないのかいたの?」

「色々と書いてましたよ。名前に特徴までつけてね。」

「名前、特徴まで。覚えてないな。でもこの図鑑と同じようなものかな。」

「ちなみにあれの名はドラゴン、すべてを破壊し元に戻す役割を補っているそうですよ。」

「危険なの書いちゃったな、あはは。私達でなんとかしなくちゃだね。お兄ちゃんはもう独りじゃないんだから。」

「そうだね、リラ。私達から始まり、私達の手で終わらせましょう。」

「お待たせしたの、みないくぞ。準備はいいか?」

「お兄ちゃんやる気がでるかけ声よろしくね。」

「なっ。わっ私に私を信じてついてきてください。そしてみなが無事に…」


イトが話している最中にみなは盛り上がり、それぞれ叫んでいた。

「やる気は十分なようだの。案内してくれ。」


その頃、エレンの元へタイガ達からの伝言が届いた。

「おっお母様……ご無事で……」

「良かったですね、エレン。では、私達は一足先に戻りますよ」

「タイガ達にもそのようお伝え下さい。」

伝言を伝えにもう一度飛び立っていった。


その頃、ググ王子はあれの被害を最小限にするために自らをおとりに高速で移動していた。湖は間に合わなかったが、今まで旅をしてきたおかげで土地勘もあり、誰もいない所へ誘導できた。


しかし、疲れが見え始めてきたが、自分を奮い立たせた。

少しでもみなの役にたつため命を使い切る覚悟をもって単独で立ち向かった。


いつまでも続く鬼ごっこ。あれが通った後は地獄絵図をきづき、地形さえもゆがめていた。やがて日も沈み始め折り返し地点をようやく迎えた。


後はなるべく湖の高台へ近づかないように誘導をできれば成功できる。後少し後少し私に力を…


タイガ達はおっさんとエレン母、長首族の力をかり、説得に成功した。あとはおっさん達に湖への案内を任せ、タイガ達は鳥一族の渓谷へ帰還することにした。


ルーグエレンが鳥一族の渓谷に到着後、しばらくしてイトとリラも到着した。予定より早く到着したのはリラの能力を使い、移動の早い動物達にのったため時間を短縮できた。

「リラお疲れ様です、決戦に備え一旦図鑑に戻って下さい。」

「そだね、大事な時に私消えちゃったら意味ないね。みんなによろしくね。」


リラは光輝き消えていった。後はタイガ達を待つだけとなった。


「あれを目撃しましたか?…」

「いえ、私はみてませんが」

「一体どこへいったのでしょうね。」


ルーグとイトが雑談をしているとタイガ達も到着した。

「遅くなってわりぃな。皆無事のようだな。」

「ググはまだのようですが。」

「ググですか…まぁ大丈夫でしょう。」

「どういう意味です?」

「すまねぇ、ググはああはいっていたが…あれのおとりをしている。俺達も高台へ向かうぞ。」

「ちょっと待って下さい、なぜ止めなかったんです?」

「ググの覚悟を無駄にするな、とめても無駄なのはわかっているだろ?」


ルーグはだまりこんだ。


「猶予はありません、今から破壊者ドラゴンを倒し私達の未来を得ますよ。」

「あれってドラゴンっていうんだ。」

「はい、あれはリラの書いた絵から生まれ出ました…私達家族がご迷惑を…」


そこにいたものは二人を責めることしなかった、イトの記憶を見て、すべて理解したからだ。


「よっしゃ~最後の決戦にいくぜ~」


タイガの声に合わせ皆は覚悟と勇気をもって決戦に旅立った。











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