始終
こんな世界壊れてしまえばいい。
次の朝、王の前に皆を集めた。
「話とはなんです?ググとイルの姿をしばらく見かけてませんがどこにいっているのです」
「ググはその内戻ってくるぜ、イルはライトにさらわれた」
「なっなぜです?無事なのですか?」
「今の所は無事だろな。」
「ルーグはしっておったのか?」
「はい、わたしがついていながら申し訳ごさいません。」
「ルーグ、お前というやつは!」
「王様よ、少し落ち着こうぜ。今から取り返しにいくところだ。」
「なに悠長なことをいっておる、ルーグ早く連れ戻してこい。」
「それは出来ません。私だけでは不可能です。」
「死んでも!とり‥」
「ですから、私達の仲間で協力して取り返しにいくのです。その前に報告があります。来ましたね。」
そこへググ王子が現れた。
「どこへいっておった?ググ。」
「すみません、王よ。タイガさん、ルーグすべてもうわかってるんでしょ?」
「あ~わかってるぜ。」
「いつから気づいていたのですか?」
「気付いたのはヴァンパ達との戦闘の時からだ、あまりに都合がよすぎたからな。」
「それにラックの件もですよ。」
「ちょっと待って、何を話しているのか理解できないよ。」
「すみません、モッグンさん。私はあなた達を裏切ったのです。 」
「ググどういうことか説明しなさい。」
「まさか、イルをさらったのも?」
「そうです、すべて私が協力しました。」
「なんでそんなことを?」
「今ならわかりますよ、ルーグ、あなたの気持ちが。」
「あなたに私の気持ちなんってわかってもらいたくはなかったです。」
「すまない、ルーグ。すべて私の…いや、私達の…」
「さぁ時間もありません。私についてきてください。」
「待て、ググ。」
「王よ、もう私は戻るつもりはありません。」
ググ王子は飛び立っていった。
「うふふ、そういうことね。さすがライト様~。」
「黙りなさい、ヴァンパ。」
「みんなすまない、前からググの行動を怪しんでいたが、信じたくなかったんだ。」
「どうして?ググ王子は?」
「それはいきながら話す、これからが本番だ。けりをつけるぞ。」
「まっ待て、頼むイルを…ググのことも連れ帰ってきてくれ…」
「元からそのつもりです。」
「モッグンはアントニーをタイガはヴァンパをお願いします。では、行きますよ。」
ググ王子に続き、湖の高台に向かった。
『みんな聞こえるか?どうしてググが裏切ったか話す、ググはあまりにも真面目すぎた、そのせいですべてのことが自分の責任と感じるようになった。』
『でも王子だからって?』
『いや、王子以前にググはルーグを友と家族と思っていた。それなのに王は…』
『ここからは私が説明します。王から私への指令はググの為に死ぬこと。
そして立派な王への器にすることです。それをどこかでしってしまったのでしょ。だから鳥一族もろとも消し去ろうと‥』
『でもググ王子はヴァンパを捕まえて、ライオネルの時も手伝ってくれたじゃない?』
『あれはわざと捕まえられる作戦だったんでしょ。当の本人達は知らなかったでしょうが。 』
『どうしてわざと?』
『それはまだわからねぇ、ライトにきいてみるしかねぇな。』
『それにラックも仲間できたよ?』
『あ~それもおかしいんだ、俺はググに湖周辺を探すように頼んだ、だが、見つけたのはどこだ?』
『僕達がいた森…』
『ググはどこにいるかわかっていた、ラックを仲間にした後、イルを連れ去った。』
『それもすべてライトの指示だろ。俺がいねえ間にな。都合がよすぎるぜ。』
『たっ確かにそうだね。どうして僕達は連れ去られずイルだけ?』
『それはイルの能力が欲しかったんでしょ』
『ググ王子…自分に得する事なにもないじゃない。』
『あ~ググも利用されていただけでしょ。それでもググは従った…あのバカは…』
『ルーグ、お前ならググの気持ちわかるだろ?取り戻すにはお前の力が必要だ、頼むぞ。』
『出来ることならなんでもしますよ、私にググのためにも力を貸して下さい。』
『水くさいな~みんな仲間だよ。僕に任せなさい。』
『モッグンじゃ頼りねぇな。』
『も~こんな時くらい格好つけさせてよ。ってかタイガ?僕達会話できてる?』
『今頃気付いたのかモッグン。さすが期待を裏切らない突っ込まれキャラだな。』
『えっ?えっ?能力?』
『あ~俺の成長した能力だぜ。』
『すっすごいね、もしかしてググ王子にもこの会話?』
『あ~聞こえているはずだ。よし、そろそろ着くぞ。みんな準備はいいか?』
これから起こることが誰もが想像とは違う結果になるとはしれず、湖の高台に到着した。
「皆さん、お揃いのようで。」
「そっちこそ、見慣れぇのと、じぃさんはいないが勢揃いだな」
「ヌートは影で暗躍してくれてましたよ、先生は待機です」
「大将わざわざ紹介ありがたい」
「どんな能力なんだ? 」
「いうわけないでしょ。おっと。油断もスキもありませんね。」
ライトはヌートの前に割り込んだ。
「大将わざわざ守ってもらわなくても」
「まぁ気にせず、それより忘れずにヴァンパとアントニー連れてきましたか?」
「ヴァンパとアントニーならちゃんとここにいるぜ。イルになにもしてねぇだろな?」
「見ての通り元気ですよ。」
「そうか、すぐ助けるからな待ってろ」
イルは返事をしなかった。
「では、早速交換しましょう。ヴァンパとアントニーをこちらへ。」
「いいぜ、イルもこっちへこい。」
「うふふ、ライト様~ありがとう。」
「じゃあな~ようやく解放されたわ~」
「窮屈やわ。ば~か、覚えとけよ。」
イルはタイガの方へ、ヴァンパアントニーはライトの所へ向かった。
「お帰りなさい、無事で何よりです。」
「はい…助けにきてくれると信じてました。」
「おい、イルこっちにこいよ。どうした?」
イルはなぜか途中でとまり、またライトの所へ戻っていった。
「おい、どういうことだ?約束が違うだろ。」
「約束?ちゃんと私は返しましたよ。本人の意志でしょう。 」
「イルになにした?」
「なにもです、さぁイル歓迎しますよ。」
「納得するわけねぇだろ。イルを取り戻すぞ。」
タイガ達は臨戦態勢にはいった。
「まっまってください、これは私の意志です。」
「違うだろ、俺たちを傷つけないためだろ。」
イルは黙り込んだ。
「みんないくぞ。俺のそばから離れすぎるなよ。」
「ライオネルわかってますね?? 」
「あぁ?やればいいんだろ?俺の獲物だ誰も手をだすなよ、かかってきな。」
ライオネルはタイガに向け突っ込んできた、そこへモッグンがライオネルの足場に幾つもの穴をあけたが、飛んでよけた。
空中にいるライオネルに向け、ルーグは風を起こし吹き飛ばした。
「ぎゃははは、やるじぇねか。これならどうだ?」
ライオネルはモッグンに向け腕を伸ばしてきた、モッグンは土をもりあげ腕の進行を妨げた。
だが、もりあげた土ごとライオネルは腕で掴みへしおると、ルーグに向け投げた。
ルーグは素早い身のこなしで避けると、イルの所へ向かった。
「おい、どこにいく?俺の相手が先だろ。」
飛んでいるルーグに向け、腕をのばし、捕まえようとするが、ルーグのが素早く捕まらなかった。
イルの目前まで近づけたが、後少し所で無数のコウモリがルーグの邪魔をした。
「うっくっ、邪魔ですね」
ルーグは空高く舞い上がると元の場所へ戻った。
「ヴァンパいらねぇことすんじゃねぇよ。」
「うふふ、私はライト様を守っただけですわ、あとは好きになさい。」
「元からそのつもりだ」
またタイガに突っ込んできた。
「モッグン、ルーグ手を出すな、かかってきな」
タイガはライオネルを挑発すると、ライオネルはタイガに向け、爪で引き裂こうとタイガに振りかざしたが、タイガには当たらなかった。
何度もするがすべて弾かれた。
「ちっ、てめぇか?手助けしてんのは?」
「私じゃないですよ。短期間でここまで成長しましたか、やりますね」
「ありがとよ、ようやく自分の能力がなんなんのか、掴めてきたぜ。ライオネル次はこっちからいくぜ。」
タイガはライオネルを殴った、ライオネルは避けることをしなかった。いつも通り痛みを感じないはずだったが、タイガの一撃にひざまついた。
「えっ?タイガすごい。どうやったの?」
「まぁ俺にかかればこんくらい余裕だぜ」
「どっどういうことだぁ?タイガァ」
「お前の出る幕はねぇ、さっさと引っ込んでな。」
タイガはライオネルをライトにむけ蹴り飛ばした。ライトは飛んできたライオネルを能力で抑えると後ろに放り投げた。
「ライオネル残念です、そこで大人しくしてて下さい。他の方も私の後ろへ。どこまで成長したのか楽しませてもらいますよ。」
「随分余裕だな、遠慮なくいくぜ」
タイガとライトが睨みあいを始めた。
「なにちんたらやってんだ、びびってのんか?」
「集中しているので黙って下さい、邪魔するようならヌート頼みますよ。」
「はいよ、大将。ライオネルおとなしくしとけ。」
「ちっ、つまんねえな。」
「ルーグいまどうなってるの?」
「わかりませんが、能力同士がぶつかりあってるんでしょ。タイガの顔を見て下さい。」
少しタイガは汗ばみ、息を切らしていた。
「がっ頑張ってくだしゃい。わっ私は応援しかできないので。」
「僕達にいまできることをしよう。」
「やるさ~頑張るさ~」
「そうです、タイガ負けないで下さい。」
まだまだ睨みあいは続いた。
「はぁはぁ思ったよりやりますね」
「お前こそ、やるじゃねえか。でもそろそろ限界だろう?俺はまだまだいけるぜ。」
「私だってまだまだです、こんな所で負けてはいられませんよ。いや負けるわけないんですよ」
長い間拮抗は続いたが、だんだん押され始めた。
「うふふ、ライト様にかなうわけないでしょ、諦めなさい。」
「タイガはん負けたらエレンはんのけつはもらうでな~兄ちゃんも一緒にどうや?」
「いりません」
「わっ私のお尻は私のです。それにタイガさんは負けません。」
「そうだ~タイガは無敵だ~。 エレンのお尻はエレンのだ」
「全くこんな時にお尻ですが、タイガ負けないで下さいよ」
睨みあい、応援が続き場が混沌としてきた時、ライトがひざまついた。
モッグン達は一瞬喜んだが、タイガが吹き飛ばされた。
「はぁはぁ私の勝ちです、タイガ。」
「はぁはぁはぁはぁ……」
「だっ大丈夫?タイガ?」
「あ……なんとかな……くそっ。負けらんねー」
タイガはたとうとするが足がふらついて立てなかった。
「では、覚悟して下さい。ヌート、全員の体の自由を奪って下さい」
一瞬のうちに、モッグン、ルーグ、エレン、ラックの体が硬直した。
「えっ?動かない。なんででしゅ?」
「ぐひひ、さてさて、エレンはんのお尻はどこですか~?」
「いっいやいや、やめて~」
「待ちなさい、まだあなた達にはすることがあります」
「なにをするんですか?ライト様。」
「今から全員でトドメをさすのです。楽しそうでしょ?」
「うふふそれは愉快ですの。」
「せいぜい苦しんで死んで下さい。」
「エレンはんのけつはその後やな。」
「まぁ大将にまかしますぜ。」
「ちっ、一匹ずつやらねぇのか。めんどくせぇ。」
「体動かないよ、タイガ。」
「タイガさん助けて~」
「やばいさやばいよ~」
「くそっ、どうすりゃ。ゴホゴホ」
そのとき、モッグンの懐が光始めた。
「やっほ~リラちゃんだよ。あれ?みんなどうしたの?そんなに固まって」
「リラ……ライトが、イルを……ゴホゴホ。」
「うんうんなるほど~危機だね。」
「そうなんだよ、リラ。早く助けて。」
「もう仕方ないな~。んっ?あれ?ちょっと待って、あれが謎のローブだよね?」
「そうです、あいつらをとめなくてはなりません。」
「ん~なんだろ?」
リラはライトに近寄っていった。 それを守るようにヌートが前に立ちふさがった。
「大丈夫です、ヌート後ろへ」
ヌートはしぶしぶ後ろへ回ったが警戒はした。
「ん~ちょっと失礼。」
リラは謎のローブ姿のローブをはいだ。
その姿にみなが驚愕した。その姿がリラとそっくりだったからだ。
「大将が二匹?どういうことだ?」
「やっぱりそうだ、お兄ちゃん。この前少し見たときに似てるなぁとは思ったんだ。」
「おっお兄ちゃん?」
「そうですよ、私達は兄と妹です。」
「なにかしこまってるの、それよりお兄ちゃんなにやってんの?」
「リラもそこで見ていて下さい。」
「だからなにするつもりなの?その前にみんなの固まりといてよ。」
「それは出来ません、リラ私を信じてください。」
「信じていわれても、大事な友達傷つけて信じれるわけないでしょ。 」
「確かにそうですが…これしか方法がないんです。」
「一緒に考えようよ。」
「もう時間がないのです、わかって下さい。」
「わかんないよ、ちゃんと口にしないと、言ったって誰も信じない。いってみないとわからないよ」
「私にはわかるのです…」
あまりの真剣な表情にリラは負けた。
「お兄ちゃんって相変わらず頑固者。わかった、信じる。そのかわりこれ以上友達を傷つけないで、約束だよ。」
「約束…すべてうまくいけば…時間がありません、イルには協力してもらいますが、ググあなたはどうします?」
「わっ私は… 」
「まぁいいです。やりますよ。順番に
ヴァンパ、アン、ヌート、ドク、トニー、ライオネル
円形に並んで下さい、イルはその中心へ」
「おっ、生贄か?」
「まぁそんなものですよ。各自能力を全開にする想像をして下さい。」
「おっ…おっい…待て…なっにする気だ…?」
「見てればわかりますよ。大人しくしていて下さい。」
「もっとです、もっとです。楽しいことがありますよ~イルあなたも能力を、みなの能力をあげて下さい。」
嵐が吹き荒れ、空は黒くなり稲妻がほどばしった。
「どっどうなってんのこれ?僕達どうなるの?」
「わかりませんが、危険なのは間違いないですね。」
「やめろ、イル。これ以上は……」
「お兄ちゃん大丈夫なの?」
ライトはこたえなかった。イルは泣いていた。自分ではすでに能力を操れず暴走し止めることはできなかった。
それは他の能力持ちもおなじようだ。
「イルちゃん泣いてるじゃない、もうやめてよ。」
「今やめては、すべてが無駄になります。」
「ぎゃははすげえな。力がみなぎる。」
「ライト様大丈夫なんでしょうか?」
「あなた方がどうなるかは終わってからわかりますよ。」
「ライト様?」
「おい、どういうことです?やはり最初から‥私達もはめる気で?」
「はめるも何もこれからが始まりですよ。そろそろですかね。」
黒く染まった空に大きな穴があいた。
イル以外の能力持ちは悲鳴をあげた。
「なっなっなんですあれは?」
「えっ?何?暗くて見えないよ。」
「チッどういうことだ?なんだあれは? 」
「私が並べた能力持ちの能力を吸い上げ、すべてを始まりへと誘う破壊者が誕生するのです。」
ライトは空を見上げ、冷たい視線を送った。
リラはライトの異様な雰囲気に何もいえず、固まっていた。
「ラッライト様、やっぱり利用していただけなのですね。きゃはははこんな世界もうどうなってもいいですわ、すべて壊れてしまえばいい…」
ヴァンパの悲痛な叫びとともに次々と能力持ちが倒れていった。イルは円の中央で呆然としていた。
そこへググ王子がリラとイルを安全な場所へ誘導した。
「ライトさん、なにをしたんです?ライトさん?」
「見ればわかるでしょ。ほらきましたよ」
大きくあいた穴から禍々しい雰囲気を漂わせ、高台をすっぽり飲み込むような隆々とした大きな体に口には強大な牙、手足にはなんでもひきさかんばかりの鋭利な爪、口からは火をはいていた。
「なっ?あれは一体なんです?あなたは一体何をしたいんです?」
ライトは冷めた顔つきでググ王子をみた
「私はすべてを解放する、そのためには必要な犠牲はやむをえません。」
「ヌートが気絶したことであなた達も動けるようになったでしょ?リラ約束は守りましたよ。」
「タイガ大丈夫?」
「あ~なんとかな。これは一体?みたことねぇ生き物…なんていうまがまがしさだ。」
「正直あれはどうしようもありませんね。」
「お兄ちゃん、あれなんか見覚えある。」
「リラまだすべては…次はあなたがたの番ですよ。あれを倒しますよ。フクロウ先生いるんでしょ?出てきて下さい。」
「ほっほっほっ、随分おもしろいことになっとるの~。次は何をみしてくれるのじゃ?」
「みる前にしてもらいたいことがあります、全員を全開まで回復して下さい。」
「殊勝じゃの、傷つけておいてなおせとな?」
「早くしないと間に合いませんよ。」
「ほっほっほっ、仕方ないの。全員一カ所に集まれ。」
「おいどういうつもりだ?」
「儂にもわからんの、あやつのかんがえていることは。素直に回復しておくのじゃな。」
「ちっ、集まれ、従うぞ。」
フクロウ先生は羽をばたつかせると、みるみるうちに傷がいえ、体力も回復した。どういうことか説明を求めた。
「次はあなたがたが能力を全開にして、あれを倒すのです。」
「またあいつ等みたいにはめる気だろ?」
「今は能力を使ってません、タイガなら読めばわかるでしょ。」
タイガはライトの心を読んだ。凄まじい数々記憶が流れてきた。理解?出来るわけねぇだろ。これが真実ならおまえ…
「今は感傷に浸っている時間はないです。 」
「あ~わかってる。みんな俺を信じてついてきてくれねぇか?頼む。」
「ぼっ僕はあいつは信じれないけど、タイガの事は信じるよ。」
「私も同感です。」
「わっわたしはタイガさんについていきましゅ。」
「私もタイガさんのために頑張ります。」
「これでワシも英雄さ~」
「私も当然信じるよ、でもその前にお兄ちゃんってライトなの?」
「いえ、その話は後で。」
「みんなありがとう、指示してくれ。」
「リラ、エレン、ルーグ、ラック、ラ…イト、タイガ、イル、では円形に並んで下さい。」
「ちょっと待て、お兄ちゃんも入るの?」
「私がいないとできません。では始めますよ。」
「まっ待って~ちょちょ僕は?」
「モッグンですか?あなたは必要ありません。」
「どっどうして?僕だけ…」
「あなたとフクロウ先生は例外なのです、そこで待っていて下さい。」
「わっわかったよ。」
「すまねえな、モッグン。」
「待ってるから、無理はしないでね」
「あれが覚醒する前に終わらせますよ。では、全員能力を全開にして下さい。」
全員手をつなぎ集中した、頭の中にはライトの様々な思い、記憶が交錯した。みな、タイガが信じた意味を理解できた。
「まだか?なにもおきねぇぞ。」
「まだです、もっと能力をあげて下さい。もっと想像して下さい。私の記憶をみたでしょ。」
「はぁはぁ、結構しんどいさ。」
「ラック集中して下さい。後エレンもです。個の能力が合わさらないと成功しません。」
「わっわかりました。もっともっと…」
「ワイの思い響け、共振するんだ。」
ライトは頷いた、円形になった周りがリラが図鑑から出入りするときのような光が輝きだした。
このタイミングでリラが消えると思い、みなリラを見たが消えていなかった。
それに反応してあれがこっちに気付いた。
「気付かれましたか……まずいですね。」
「まずいってどういうことです?」
「あれは私達をけしに来ますよ、防ぎきれるか……みな、集中して下さい。」
あれがこっちに火の球を放った。全員危険を感じたが、火の球は当たることなく光の中に消えていった。
「油断はしないでください。これがいつまで持つかはわかりませんので。」
あれは火の球を連続ではきだしたが、すべて光にのみこまれた。
だが、全員焦った、あんなものくらえば一溜まりもないことは明らかだった。
幸い、まだあれはまだ動く気配はなかった。
ググ、モッグンを連れて離れててくれ。頼む。
ググ王子は申しわけなさそうな顔でモッグンに近づき、とびさった。
「まだ大丈夫だ、諦めずに続けるぞ。」
再度、全員集中した。すると輝きが一層激しくなり、だんだん広がってきた
それをみた、タイガはライトの様子を見て安心した。今の所順調とわかったのだ。
しかし、あれは待ってはくれなかった、より一層攻撃が激しくなり目にうつるのは火の球、稲妻、嵐、耳に聞こえるのはけたたましい轟音とあれの叫びのみとなった。
そして……とうとう……恐れていた事態がおきた。光の輝きが弱り出し始めたのだった。
「あっ……また……なんでた……どうして……うまくいかないんだ……」
ライトはその場にひざまつき、あきらめかけた。
「お前がしはじめたことだろ、なに諦めてんだ。」
「私が始めたこと…私がしたくてやっているとでも?私しかできないからです。もうこの世界は終わり……」
完全に光の輝きはなくなった。それをみたあれはまた攻撃をやめ、叫びはじめた。
「まだあれは動けねぇのか?」
「今はです、そのうちすべてを破壊するまでとまらなくなります。」
「まだ時間に猶予はあるのか?」
「なくはないです、でも無駄ですよ。あれを止めるには私達が成功させるしかなかったのです。」
「まだなら、もう一度すればいいじゃねぇか?」
「無理です、もうみな体力はつき、集中もできないでしょ。動けるのはあなたくらいですよ。」
タイガは仲間をみるとみな疲弊していた、ライトの意見は正しいことを理解した。
「くそっどうすれば…」
「無駄ですよ、すべては滅び…」
遠くから叫び声が聞こえた。
「お~いタイガ、大丈夫?そこにいるの?」
「モッグンか?何とか大丈夫だ。」
「今から助けに行くよ。 」
「すまねぇ、気をつけてくれよ。」
モッグンとググ王子、こちらに救援に向かっていたペリー、カーン、フラミを連れてきた。
「一旦ここから離れるぞ」
「無駄なことを…」
「俺はまだ諦めてねぇ、死ぬまでやり切ってやる。」
「ちょちょちょっと待ってくだしゃい、ここから逃げたら、お母様方は…」
「すまねぇ、今はこうするしかないんだ。俺達が今死ぬわけにはいかない。わかってくれエレン。」
エレンは泣きながら頷き、にげて生き抜くことを選択した。




