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変貌



ルーグ達は森へ到着した。

「ググ王子どこで能力もちみつけたんですか?」

「ここの森の中です、二手に分かれて探しましょう。」

「ちょっと待って、今更だけどどんな動物だったの?」

「まん丸お腹のタヌキです。」

「能力は確認できたんですか?」

「説明はしずらいですか、みんなで踊ってました。 」

「それは能力なんですか?」

「なんの能力かは不明ですが…私も踊らされたので……」

「ふふ、あなたが踊ったんですか、ぜひみてみたかったです。では、私とモッグン。ググはイルと回って下さい。くれぐれも無理はしないように。」


森を二手にわかれて散策を始めた。モッグン昔にどこかでタヌキを見かけたことを思い出していた。

「モッグンはここにいたんですから、見たことないんですか?」

「ん~タヌキ。そういやイタズラ好きなキツネとタヌキがいたような、そう、確かこっちだよ。」


木々を抜け進むと、何やら騒いでる声が聞こえた。見つからないようにちかづくと、ポンポン、ポンポンお腹を叩くたぬきが叫びながら踊っていた。

「踊れ~踊れ~騒げ~嫌なことは忘れて踊り尽くせ~うぉぉ~」

周りいた動物達も踊り叫んでいた。

「くそ~俺の仲間を~」

「早くかえってきてよ~」

様々な叫び声をあげていた。


「どうする?ばれないよに近付く?」

「ん~近付けばあれになりますよ?」

「ルーグのもみてみたいけど、いく?」

「遠慮しておきます。」

ルーグは羽を羽ばたかせてにやついた。

「ちょちょルーグ、まっまってぇ~」

ルーグの風に飛ばされモッグンは踊るたぬきの前に転んでいった。

それをみたたぬきは最初はびっくりしていたが、すぐに踊り始めた。


「さぁ~続いての~飛び入り参加~あの憎き~ライオネルを~やっつけた~この森の英雄~タイガ~率いる~モッグンだ~。」

「さぁ~みんなの前で踊り叫べ~」

「えっえっえぇ~ひゃほ~僕は~タイガより弱い~けど負けないぞ~」

「ひゃほ~案外楽しいよ~」

遠くでみていたルーグはため息をついた。だが確信もした、あれがたぬきの能力、踊り叫ばせる。またため息をついた。

この能力は一体何に使えるんでしょ……


「モッグンはいつまで踊ってるつもりですか」

後ろからググ王子が飛んできた。

「見つかったようですね。」

「はい…ですがあの能力ですが…」

「能力もちには違いないです。仲間にしようよ。」

「そうですね、ライオネルにも恨みがあるようですし、協力してくれるでしょ。」

「では、私は周辺を警戒しています」

「まさか、あの能力からにげてるわけじゃないですよね?」

「違います、誰かは見張っていないと何か合ったときすぐに逃げれませんよ。」

ググ王子はそそくさと飛び立っていった。

「やはり逃げましたね。さて、このまま見ていても仕方ないですし。」

「ひゃほ~ルーグも一緒に踊り叫ぼう~ 」

「いや、私をまきこまないで下さい。」

「おっと~新たな~飛び入り参加~名前は~」

「ルーグ~だよ~」

「ルーグ~~さぁこっちにきて~一緒に踊ろう~。」

「結構です、モッグンもいい加減に踊るのをやめなさい。」

ルーグはモッグンにむけ強風をあてた。

「あれ~今日はよく~飛ばされる~」

「はぁはぁ、あっ体が止まった~。」

「なるほど、あなたの能力の幅はざっと10mほどですね。」

モッグンはルーグのヨコへ回った。

「なんだ?踊らないのか?悩んでることもスッキリするのにさ~。」

「結構です、私達はあなたに用事があってここまで来たんです。」

「なんだ?一緒にこいだろ?」

「話が早い、では来て下さい。」

「いやだな、俺は痛いのは嫌さ。」

「誰でも痛いのはいやですよ。」

「そだそだ、みんなで楽しく踊れればいいさ。」

「それでお仲間が食べられても?」

たぬきは無言になった。

「何もせず何もできずそれでも?」

ルーグいいすぎだよ。


「何がわかる?相棒を喰われ、住みかはあらされ…」

「ただなにもせずに見てただけでしょ、見ててなにもしないなら、なにされても仕方ないです。」

「ワシになにができる?こんなたるんだ腹を叩くしかない能力で。」

ルーグは黙り込んだ。


「ちょルーグいまたたみこむところでしょ?なんかいってよ。」

「たるんだお腹で何が悪いんです?立派なお腹ですよ。」

「そこじゃないよ、もっとほめないと。」

「わたしには無理です。あの能力をほめるなんって…」

「なにこそこそと話してるのさ?」

「いや、何も、ねっ、ルーグ。それにそうだよ、僕楽しかったよ。なんか嫌なこと忘れてスッキリしたよ。」

「そうか?ワシの能力役にたたったか?」

「うんうん、もう楽しくて仕方なかった」

「うそこけ~横の奴は目をそらしとるさ」

「いや、そらしてないですよ。立派な能力です。」

「心がこもってないさ。」

そこへまたライト達が現れた。


「おや、一足おそかったようですね。お仲間にできましたか?」

「仲間になんぞならんさ。」

「そうですか、ではライオネルあのポンコツたぬきを喰ってしまいなさい。」


「ポッポッポンコツ?たぬき……」

たぬきとライトはにらみ合っていた。



「ちょ、なにしてんの?たぬきにげるよ~早く走って。」

モッグンが走り始めると、たぬきも睨むのをやめ走り始め、ルーグは空に飛び立った。


「楽しい~狩りの始まりだぜ~ぎゃはは、さぁ~逃げろ~」

ライトはライオネルに視線を送った。

「わかってるよ、くそがっ。」

ライオネルは逃げるモッグン達の方向をみた。

「どうなってるの?なんでここに?」

「あっあっあいつ、俺の相棒を……」

「喋っている暇があったら逃げてググと合流しますよ。」


ルーグは不思議に感じた、ググが見張っているはずなのに、ライト達が突然現れた。それにググはどこへ?考えてもしかたありません。逃げ道を作らないと。ルーグは風で木々を凪払い、ライオネルの進路を塞いだ。


「無駄無駄、こんな木。いくぜ~」

「もう走れない、ワシをおいていって」

「ダメだよ、諦めちゃ。」

「でっでも~もう走れないよ。」

「ルーグ、たぬきだけでものせて飛んで~」

「あなたはどうするんです、?」

「僕は…そうだ、秘密の通路がある。早く。」

ルーグはたぬきを乗せ、空を飛んだ。モッグンは穴の中に入り姿が見えない。

空からだとライオネルの様子はうかがえた


「ありがとう、助かったよ、エーン」

「泣かないで下さい、みつかります。」

「ぐすっぐすっわかった、泣かないよ

「モッグンは大丈夫?ひっぐ」

「まぁ穴にはいりましたし暫くは大丈夫でしょ。どうやって逃げましょう。」

「戦わないの?」

「無駄に戦いませんよ、私達だけでは厳しいですしね。」

「そうだ、わしに考えがあるよ~あはは」

「あなた性格変わってません?」

「変わってないさ~さぁ~ライオネル~僕と踊るさ~」

「ちょ、ここでしたら私も…」

「大丈夫さ、信じて~」

たぬきはルーグにべったりひっついて、背中を叩き始めた。

ぼんぼん、ぼんぼん、しばらく待ったがライオネルに変化はなかった。


「あなた何をしてるんです?」

「えっ?いや?届いてないの。」

「はぁ~もう少し下がりますか?いや、もう一度たたいて下さい。あと踊らす以外はできるんです?」

「どういうことさ?したことないさ。どうすればいいの?」

「どうしたいかを想像して下さい。」

「どうしたいか?やっぱり踊る?」

「それ以外で、そうですね、寝ころぶとか走るとか歩くとかはどうですか?想像しやすくないですか?」

「確かに想像しやすい、ルーグかしこいさ~」

「では、ライオネルにやってみて下さい。後は私がなんとかしますので。」


ぼんぼん、ぼんぼん、とならすと、ルーグが風を起こしたぬきの振動をライオネルに注いだ。

ライオネルは両腕を横に大きくふり、足はがに股で一歩を大きく、のしのしと歩き始めた。


「おぃ、ふさげたことしてんのはてめぇか~たぬき。でてこいや。」

「その調子です、やればできるじゃないですか。」

「えへへ、すごいでしょ~。」

まるで子供がはしゃぐようにたぬきは喜んだ。


「ライオネルが変な歩き方で叫んでいる間に、次はモッグンが出てきそうな場所を考えますよ。どこか広いところはありますか?」

「野菜畑か森をすぎた所にある洞穴の所くらいさ~。」

「食いしん坊なモッグンのことなので、野菜畑でしょ。案内して下さい。」


その頃モッグンはリラのために作った抜け道を走っていた。まさか、ここで役にたつとは思わなかったな~、僕って天才。

どう逃げようかな~とりあえずライオネルが叫んでいる方向とは別の所へ移動することにした。


「野菜畑はここですか?」

「そうさ~あの辺のニンジン、キャベツはタイガさんが大事に育てている野菜さ~。」

「へぇ~あのタイガがですか。そういえば肉を食べてる姿あまりみかけないですね。」

「まぁ色々とあったのさ~。」

「さて、モッグンは?見えませんね。検討違いでしたかね。んっ?あれは鳥一族のコンドではないですか?」


「ちょっとコンド?こんなとこで何をしてるんです?」

「んっ?おっ!あっ!ルーグさん?こそなぜここに?それよりその背中のおいしそうなのは食料ですかい?」

「いや、違いますよ。こんな所になぜいるんです?」

「んっ?いや~まぁ散歩ですよ。そんな…ルーグさんが考えてることなんってしてないっすよ。」


「まぁ今回の事は黙っときますから少し手伝って下さい。」

「えっ?はぁ~内緒ですよ、お願いしますよ。」

「あなたの働き次第ですよ。今からモッグンというモグラを回収して逃げます。よろしいですね?」

「はいよ、任せて下さい。」


しばらくすると、森の方からひょっこり顔をだすものがいた。

「ルーグさん、あれ?違いますかね?」

「あれですね、ライオネルはまだ来てないようですし、回収しにいきますよ」


ルーグとコンドはモッグンの所へ向かった。

「モッグンの事ですから、やはり野菜畑に向かいましたね」

「えっ?こんな時まで食べてられないよ。それより早く逃げよう。」


モッグンはコンドに乗り、このまま鳥一族の渓谷に戻ろうとしたときコンドに向け、腕がのびてきた。

「ぎゃははは、そう簡単にはにがさねぇぞ。」

「早く飛びなさい、コンド。」

「わっはっわぁ~、きっきいてないぞ、あんなの。」

なんとか飛び立つことに成功したが、すぐにもう片方の腕が伸びてきて、足を掴まれた。必死に抵抗するも掴まれた足は離れなかった。


「ひぃ~離せよ。」

「もう一度たぬき、やりますよ。」

ぼんぼん、ぼんぼん、ならして風をライオネルに送った。

「はっ、きかなぇよ。そうだよな~?」

ライオネルの前にライトが回り込んだ

「ライオネル引きずりおろしなさい。」

「ちっ命令するな。よっと。」


コンドは地面に叩きつけられた。なんとかルーグの風で衝撃は和らげたが、コンドは気絶した。モッグンはコンドからなんとか飛び降りたとき、ライオネルはそのままコンドを自分の方へ引き寄せ、持ち上げた。


ルーグは強風をライオネルに送るも、すでに遅かった。コンドの羽はもがれた。痛みで目が覚めたコンドの目の前にはライオネルのキバが見え、そのまま頭に噛みつき、引きちぎった。


「なっなんって惨い事を……」

「ぎゃははは最高だな。」

「おっお前はそうやってワシの相棒を……」

「あっ?相棒?どいつのことだ?食った奴の事なんってわざわざ覚えてないぜ。ぎゃははは。」

「うわぁぁ、相棒のかたき~」


たぬきはライオネルに向け、激しくお腹を叩いた。たぬきは憎悪で能力を使ったため、ライオネルは自分の腕で首をしめはじめた。

「くっ、なっ…に…しやが…った…」

「私の命令に背くからです、少しは反省なさい。では、私たちの仲間になりますか?」

「なるわけないだろ、お前も苦しめ~」

たぬきは更に叩いたが、ライトには聞かなかった。

「なっなんでだよ。」

「私には無意味ですよ。おっとそろそろ限界ですかね。」

ライオネルの前にライトがたつと、首から手が放れた。

「はぁはぁはぁ、くそ…あの野郎。」

「少しあなたは静かにしてなさい。」

ライオネルは座りこみ、動かなくなった。


「では、ルーグ達につくのですね?」

「お前等なんかの仲間になるかよ、ワシはこっちにつく。」

「そうですか、残念です。では、もう一つの用件をすましますかね。」

その時、ググ王子達が現れ、ルーグの横に降り立った。ググ王子は状況をみてすぐに理解した。


「コレは?ようやく見つけましたよ。早くにげましょう。」

「どこにいっていたのです?ひとまず逃げますよ。」

だか簡単には逃がしてもらえなかった。ググ王子とルーグは飛べなくなくなった。これもライトの能力?まずい状況となった。


「どうしよ?逃げようがないよ。」

「一か八かやってみますか?あれを?」

「やるしかないよね。いくよ、ルーグ、モッグン嵐。」

それをみたライトは嬉しそうに答えた。


「ほぉ~少しはやるようになりましたね。でもまだまだですね。」

モッグン嵐は消えていった。ライトの前では無力であった。

「では、私の用件をすまさせてもらいます。」

ライトはこちらにゆっくりと歩いてきた、幾度となく放たれるモッグン嵐をすべて無効化しググ王子の前にたった。


「私の思惑通りです、ググ王子。イル王女をこちらへ。」

「ググ、何とか逃げなさい。このままでは‥…」

しかし、ググ王子は動けなかった。


「賢明な判断ですよ、ググ王子。誰も傷つけたくなければ、イル王女私の元へ来て下さい。」

「誰も傷つけないと約束するなら……」

「ふっふざけるな~かっ勝手な事ばっかり言って、みんなの平和を返せ~」

たぬきはまた幾度となく腹をならした。


「ふぅ~無駄なことを…まぁいいでしょ。そこで踊ってなさい。」

たぬきは悔しそうに踊り始めた。

「だめだよ、イル。いっちゃあ…」

「ごめんなさい、リラお姉ちゃんにも謝っといて下さい。」


イルは最後にググ王子の方をみたが、ライトの所にに飛んでいった。


「すまない、イル。」

「イル王女も賢明な判断です。では、一つ提案をしましょう。イル王女を返して欲しければ、湖の高台へヴァンパ、アントニーをつれてきて下さい。そこで交換にしましょう。」

「なぜ連れて行く必要があるんです?あなたならいつでも取り返せるでしょ。」

「そうですね、その方が早くて楽ですが、やるなら強い相手ではないとつまらないでしょ。少しの猶予をあげるんですから、せいぜい私を楽しませて下さい。」

「なっ?僕達はお前のおもちゃじゃない。精一杯生きてるんだ。」

「わかってますよ、でもそれにも限界はあるんです。それもそのうちわかりますよ。」

「それはどういうことです?」

「そのうちですよ、では、交換の日取りはタイガエレンの体調が戻ってからのがよいでしょ?」

「なんでお前が知ってるんだよ。」

「さて、なぜでしょうね。ふっふっ。では、また後ほど使者をだしますのでまた会う日まで。ライオネル行きますよ。」


「ちょちょっと待ってよ。お前は一体何がしたいんだよ。」

ライトは不適な笑みを浮かべ、立ち去っていった。

ライト相手に何もできず苛立っていた。ルーグがググ王子に詰め寄った。


「ググ、どうしてイルを…あなたは一体何をしていたんです。説明して下さい。」

ググ王子はルーグから目をそらし一言呟いた。

「すまない、みんな。こうするしか……」

「ふざけないで下さい。」

「ルーグ落ち着いて、ひとまず帰ろ、タイガ達の事も気になるし。」

ルーグはググから離れ、モッグンに背中に乗るように促した。


「たぬき、あなたはググへ。次は見捨てないで下さいね。」

ググ王子は何も言えず、黙ってしたがった。





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