対策3
いやな感じがするの、お願い。助けてあげて。
今の所、作戦通りに事が運んでいた。
第一陣のアントニーの奇襲もあったが、なんとか捕獲、情報もひきだせた。
第二陣?のヴァンパ率いる黒い塊もググ王子の活躍により、生け捕りに成功し、残りはライオネル、ドクのみとなった。
後方で監視を続ける、タイガ、ルーグ達は警戒態勢を怠らなかった、監視を続けるもライオネル、ドクがくる気配がなかった。
「こねぇな?どっかで寝てんのか?」
「ふっ、さすがにそれはないでしょ。」
「もう少し様子を伺いましょう。」
ライオネルはドクを背負い、腕をのばし、足をのばし、山を駆け上っていた
「くそっ、こいつおいてくか?」
「俺様がなんでこんなやつの子守しなくちゃなんねぇんだよ。」
「おい、いいかげんおきねぇか?」
ライオネルはドクをひっぱたたいた。
「ぐぅ~、痛いな~ぐう~その時にぐう~おきぐう~まだまだ」
「ふざけてんな!」
「僕のぐぅ~能力~ねむねむぐう~」
「あ~あ~あ~ぁ~うぜえ~」
ライオネルの雄叫びが再度こだました。
「いまの聞こえましたか?」
「あ~こっちに来てるな。よし、ルーグいくぞ。」
「皆、油断せずいきますよ。」
タイガ、ルーグ達は険しい渓谷を見回りながら飛び回った。
木々が激しく揺れてるのを発見した。
なるべく近づかないように、空を滑空し観察した、何かが木をゆらしていたからだ。
その時、揺れている木々とは別の方向から何かが飛んできた。腕だ。
「ライオネルの能力だ、距離をとれ」
空高く飛び上がった。
「あの穴にライオネルがいそうですね?」
そうみてぇだな、穴の中ではこっちが不利だぜ。あぶりだすか。」
「そうですね、火を放て、あぶり出しますよ。」
鳥達は用意していた、木に火をつけ放った。穴の入り口は火の粉がまった。
でてこないですね、少し風をおこしますか。
火の粉に微力な風を送った。
「あちぃあちぃぞ、くそがっ。」
ライオネルは腕をルーグに伸ばしてきた。
距離を保っていたため、届くことなく腕は戻っていたと思ったとき、途中の木に手を引っ掛け、飛び出してきた。
「よぉ~タイガ~元気そうだな?」
「お前こそ随分、髪がチリチリだな。」
「あぁ?お前等も同じ目にあわせてやるよ、覚悟しとけ!」
「その割に随分こそこそとしてるじゃねぇか?」
「お前こそ飛べもしねぇのに、空ににげてんじゃねえぞ。びびってんのかぁ?」
「びびってないぜ、確実にお前を狩るための準備だ、手も足もでねぇだろ」
「くそがっ。おりてこい。」
「そこでもがいてるがいいさ、ルーグもう一回火だ。」
ライオネルの回りに火を放った。
「くそ、またこれか。ふざけやがって。」
「ぐう~バカライオネル、ここでは不利、広い場所へ。」
「バカ?お前?起きてんのか?おい。」
「ぐう~早く、移動、暑い。」
「ちっ、ドコだ、広い場所ねえよ。」
「あっち。」
「起きたと思ったら……」
「つべこべいわず、移動。」
「あちぃ、くそっ、移動してやるよ。」
「逃がしませんよ。」
ルーグは風を使い火の粉で襲いかかったが、ライオネルのが早くにげだした。
「ライオネル、びびってにげんのか?」
「逃げねえよ、かかっこいや。」
「挑発のるな、移動。」
木々をぬけると、渓谷の間に、広い場所にぬけた。
「ここか?」
「問題なし」
「てめぇ、なめてんのか。こんなとこじゃまた火くらうぞ。何考えてんだ?」
「問題なし、ウルサい、とまれ。」
「何勝手にしきってんだ?」
「きたぞ。能力、説明する」
「あっ?能力?」
「黙ってきけ。おすわり。」
「くそがっ。」
タイガ達はライオネルに追いついたがなぜか、広い場所で襲えといわんばかりに座っていた。
「とまりましょう。なんで座ってるんでしょ?何かわかりますか?」
「いや、わかんねぇな。あいつらの上空から火を放つぞ。」
「これで火は最後です、では、火をつけましょう。」
「んっ?火がつかないですね。」
「待て、あいつら起きたぞ。」
「よぉ~タイガ~待たせたな。」
「別に待ってねぇよ、」
「どうした?火つかねぇのか?そっちからこねぇならいくぞ。」
「こっからじゃ届かねえだろ?」
ライオネルはタイガにむけ腕を伸ばした。
タイガは寸前の所で何とかよけたが、後ろにいた仲間の一匹が羽を掴まれた。
「いや~助けて~」
ライオネルの腕は元に戻り、両手で羽をもいだ。
「ぎゃぁぃぁぁ~」
「悪趣味、最低」
「ぎゃははは、楽しいな。最高だ」
「ちっ、なんでだ?」
「なんでだろうね、タイガちゃん。次はお前だぞ。ぎゃははは」
「どうなってんだ、心もよめねぇ。あいつの能力か。」
ルーグをちらっとみた。首を横にふった
これがドクの能力?俺たちだけ能力を使えなくする?ライオネルは使える?
都合のいい能力だぜ、タイガは笑った
「笑ってるとは随分余裕だな。次いくぜ。」
「なるべく距離をとるぞ。」
「無駄無駄、次はお前だ。」
腕がタイガに向けのびてきたが、腕が違う方向にのびていき。また一匹捕まった。
「ぎゃははは、捕まえたぜ~。」
首もとに噛みつき、食べた。
「まっずい」
「悪趣味、早くやれ。」
「おいおいなにいってんだ?楽しみませろよ。」
「油断、だめ。」
「問題ねぇよ、俺様は無敵だ。後はタイガ、ルーグ、雑魚が数匹か。まぁせいぜい楽しませろよ。」
「どうしましょう。近づけないですね、ライオネルがここまでとは」
「まだ諦めるな、先にドクを狩るぞ」
「ライオネルと引きはがさないといけませんよ。」
「俺が引き受ける、その間に頼むぞ」
「無茶です、私達は能力使えないんですよ。」
「ならなにもせずやられるか?」
「ふっ、無茶なのかバカなのか、理解ができませんね。でも嫌いじゃないですよ。死なないで下さいよ。」
「あ~ルーグもな。」
タイガは地上におりた。
「おっ、やっとやる気になったか?」
「あ~今度こそけりをつけてやるぜ」
「ぎゃははは、来いよ、タイガ~」
「離すなよ。」
「あぁ?黙って捕まってろ。」
タイガはライオネルに向け、突進した。
そこにライオネルの腕がのびてくるが、避けながら接近した。前からもう一本の腕ものびてきて、前後からライオネルの腕が襲いかかる、そこへルーグ率いる鳥達がドクに突っ込んだ。
「きたぞ、上。」
「うぜぇ、鳥だな。」
ライオネルは足で一匹を蹴り飛ばし、もう一匹にはかみつきにいったが避けられた。
そこにルーグが背後よりドクの首に向け、タイガはライオネルの懐まで入り込んだ。タイガの腹への一発は入ったが、やはりきいていない。ルーグはなぜか吹き飛ばされていた、タイガは距離をとった。
「お前等大丈夫か?いけるか?」
「どうってことないです、それより気をつけて下さい。なんか変です。」
「もう一回いくぞ」
「またくる、無駄。離すなよ。」
同じ手は通用しない、タイガは考えた。
自分をおとりにライオネルからドクを離すことを決心した。
その頃モッグン達はタイガからの連絡を待っていた。
「タイガから連絡ないね。みんなどうしてるんだろ?随分静かだしね。」
「そうですね、終わったんでしょうか?」
『お~いタイガ、どうなってんの?』
『タイガさ~ん、お~い』
モッグンは首を傾げた。
「反応が全くないよ」
「えっ?ライオネルに?」
「いや、それはないと思うけど」
その時ググ王子が王へ報告をしに戻ってきた。
「戦況はどうなってますか?タイガさんと連絡つかないのですか。」
「僕たちも連絡つかないから、わからないんだ。」
「なにが起きてるんでしょう??」
リラは視線を感じた、王様の横にいるイル王女がなにかいいたげだった。
「イルちゃんどうしたの?私のほうずっとみて?可愛い?」
王様が口を開いた。
「イルはタイガ殿が危機的な状況におちいっているといっておる。あと、リラさん可愛いお耳と。」
「やっぱり~可愛い?タイガどうなってるの?」
王女は首をふった。
王様はいった。
「お願い。助けにいってあげてと。」
「タイガの所へいってみる」
「では、私に乗って向かいましょう。」
「待って、私も行く。」
「リラはだめだよ。」
「私もいくの」
「イルもいくといっておるが。」
「えっ?もう。エレンは?」
「私はここで王様達を守ります。」
「そうしてくれると助かるよ。」
「リラとイルはググ王子から離れちゃだめだよ。」
二匹はうなずいた。
「では、皆様私に乗って下さい。」
ググは見張り台に向かった。
「誰もいないね?」
「少し進みましょうか。」
渓谷を少し進むと、ググ王子が何かを発見した。。
「あれは?火ですね。あっちにも火がありますね。捕まって下さい。いきますよ。」
「ここにもいないね。ググ王子もう火はないですか?」
「見当たらないですね、この辺りでしょうか?静かですけど。」
「ん~タイガどこにいるの?」
モッグンの声がこだました。
「ねぇ、あっちの木々、折れてない?」
「本当ですね、真っ直ぐ進んでみます。」
ググ王子は折れている木々を進むと上空に上がった。
「急に上がってどうしたの?」
「いや、イルが上がってっていうので。」
「あれを見て!タイガ達よ。」
「本当だ、ググ王子いって。」
「はい。んっ?イルがだめって。」
「なんでだめなの?」
「わからないけど、だめみたいです。」
「ねぇイルちゃん、タイガ達何してるかわかる?」
首を横にふった。
「タイガ達が危険なの?」
「首を縦にふった。」
「なんでわかるの?」
イル王女は動かなかった。
「なんとなくだね、私にもわかるよ。タイガが落ち込んでる危ないときわかったもん。」
「私は食べられちゃったけどね。だから、私も助けたい。イルちゃんもでしょ。」
リラとイル王女は見つめ合い、笑った。
イル王女はリラにお願いした。
「嫌な予感がします、お願い、助けてあげて。」
「お姉さんに任せなさい。」
「リラ何か考えがあるの?」
じゃじゃ~んというと、リラは紙に小さい鳥を書き、能力を発動させタイガ達に向けはなった。
小さい紙の鳥はタイガ達の周辺を飛行したが何もおこらなかった。
「何も起きませんね?イルの思い過ごしでしょうか?」
イルは大きく首を横にふった。
「僕の能力でライオネルに攻撃してみるよ。」
モッグンは能力を発動し、ライオネル下に穴をあけようとしたが何も起きなかった。
「あれ?あれ?」
「ちょっとモッグンまじめにやってる?」
「えっ?まじめにやってるよ。ほらみて。」
リラの近くに穴をあけた。
「なんでだろう?能力が使えない。」
その頃タイガ達は窮地に陥っていた。ライオネルへの攻撃は通用せず、能力も使えず、捨て身の作戦でもドクとライオネルを引きはがせなかった。残りはタイガとルーグのみとなった。
「ぎゃははは、いいざまだな。タイガ」
「待て、邪魔がきた。急げ」
「あぁ?楽しんでるとこだろ、邪魔するな。」
ライオネルはドクの忠告を無視していたぶり始めた。
「能力、解ける、急げ、バカ。」
ライオネルはドクの警告を無視した。
「くそっ、やべぇな。」
ときたまタイガは空をみた時あるものが目に入った。空に小さい紙の鳥がいたことに。
「おぃ、ルーグあれをみろ。」
「変わった鳥ですがなんですか?」
「あれはリラの能力かもしれねぇ。」
「近くにモッグン達がきてるのかもな、諦めるなよ。」
「おぃ、なにコソコソ話してんだ、俺様に集中しろや。」
タイガとルーグは蹴り飛ばされた。
「なんとかして、ここにいることを教えねぇと、ドクの能力がわからねぇ以上、やべえな。」
「モッグンの役立たず。私に任せて。」
「小さい鳥さんもっと飛ばすね。」
空に向け、大量の紙を放った。
「これでタイガも気付くかな~??」
タイガ達が大量の小さい鳥に気づいた。ドクもその事に気づいた。
「バカ、敵襲、早く狩れ。」
ライオネルは無視を続けた。
ルーグがあることに気付いた。
「タイガ、よく見て下さい。鳥の形を。」
「なんだ?」
「タイガ、なに寝てるの?起きなさい。」
ライオネルも異変に気付いた。
大量の紙の鳥に、ライオネルはそれに向け腕を伸ばし、引き裂いた。
かわいリラちゃんより
タイガ達は少しの差で読み終えていた。
「タイガ、なに寝てるの?起きなさい?可愛いい?リラちゃんより?」
「寝てる?起きてるじゃないですか?あなたのお仲間は何をいってるんでしょ?」
「いや、リラはそんな意味ねぇことしねぇよ。俺たち寝てるのか?」
ルーグの前からタイガが消えた。
「えっ?消えた?どう言うことです?」
「おい、どうなってんだ?ドク。」
「能力、気付かれたら、おしまい。」
「バカがさっさとしないから。」
「くそっ、お前だけでも。」
ライオネルの腕が目の前に来たときにルーグも消えた。目を開けるとそこには座っているライオネルがいた。背中にはすでにドクの姿は消えていた。
「タイガ達動いたよ、成功だね。イルちゃん、もう大丈夫?」
イル王女は大きく頷いた。
ライオネルが立ち上がった。
「くそがっ。もうちょっと楽しませろや。寝てばっかのくせに逃げやがったな。」
「なんの能力かわかんねぇが、随分びびったやり方だな?」
「あぁ?あいつの指示だろ、俺様にはあわねぇよ。そんなことよりよ~タイガ、早く続きやろうじゃねえか?」
「お前だけでやれんのか?」
「なめてんじゃねぇぞ、十分だ。」
「ルーグ、さっきまで好き勝手やられた分やり返すぜ。」
「もちろん、そのつもりですよ。」
ルーグは空高く飛び立った。タイガはライオネルの動きに目を凝らした。思い出せ、黒ゴリマッチョとの死闘を。考えすぎるな、感じろ。
ライオネルの腕がタイガにのびてきた、それを感じ取ったタイガはライオネルの腕を掴み、へし折った。
ライオネルの腕は地面に垂れながら、戻っていった。
「ぎゃぁ~はぁはぁやるじゃねえか。」
「まだまだですよ。」
空からは強風が吹き荒れた。
「仲間達の仇とらしてもらいますよ。」
ライオネルは空高く吹き飛ばされた。
「はぁはぁ、くそがっ。なめやがって。」
ライオネルはタイガに突っ込んでいったが、モッグンが遠くからライオネルの下に穴をあけた。
「やるぜ、モッグン。」
ライオネルは穴に埋もれた。そこに追い討ちの風が吹き荒れ、ルーグは更に火を放つ準備をした。
「もう、諦めろ、俺達にはかてねぇよ。」
「くそが~ぁ~ぁ~」
ライオネルの雄叫びが響き渡り、ルーグは躊躇せず火を放った。
「おい、ルーグ、やりすぎだろ。」
「いえ、これくらいしないとライオネルはくたばりませんよ。」
「なんかかわいそうだね。」
「モッグンは優しいね。」
「ライオネルの叫びきいてられないから、埋めちゃうね。」
ライオネルが落ちた穴の上をうめた。
「おいおいみんなやりすぎだぜ、どうしたんだ?」
「どうもしないよ、ふつうだよ。ねぇ、ルーグ。」
「その通りです、今までしてきたことを思えば当然の報いです。」
「そっそうか。とりあえずこれですべてかたついたぜ。」
「やったね、タイガ。」
「無事でなによりです。」
「助かったぜ、リラ。」
「タイガなら気付くと思ったよ。」
「ドクの能力、よくわからないけどあなどれないね。」
「あ~能力はつかえねぇし、やばかったぜ。」
「ライオネルはどうしますか?」
「さすがにいきてねぇだろ。このままほっておいてやろうぜ。」
「全員、エレンのもとに戻るぜ。」
ググ王子とルーグの背中にのり、無事に帰還した。
「行きましたか、ドク、大丈夫ですか?」
「問題ない。 助かった。疲れた。」
「お疲れ様です。もう寝ていいですよ。」
「ぐぅ~」
ドクはまた眠りついた。
やはりあなたを連れてきて正解でしたね。
「なんってことはないっす。大将。」
「ライオネルはどうしやす?」
「回収です、ヌートはドクを。私はライオネルを運びます。」
「それに確認はとれましたし、その前に少し挨拶でもしていきましょうか?」
「おっ、大将、やんのかい?」
「やりませんよ、挨拶だけです。ヌートはここで待機していて下さい」
「はいよ、大将。」




