対策2
あなた達を利用するしかないのです…
高台での戦闘を終え、フクロウ先生はヴァンパに報告をしにいった。
「役立たずの老いぼれ、ルーグを見捨てて帰ってくるとはどう言うことですの。」
「さすがに能力持ちが三匹もいてはどうしようもなかったのじゃ。」
「言い訳は聞きたくありませんわ、覚悟はよろしいですの?」
「ヴァンパ待ちなさい、今はそれより優先することがあります。わかりますか?」
「ルーグの奪還ですわ。」
「そうです、ついでに他の能力持ちの捕獲と鳥一族を根絶やしにしますよ。」
「うふふ、大胆な作戦素敵ですわ。」
「では、早速作戦指揮を任しますよ。」
「はぁい、喜んで。お任せ下さい。」
「先生、あなたは休憩をとっておいて下さい。」
「ほっほっほっ。お主は老体に優しいの。」
謎のローブの指示をうけ、ヴァンパは早速準備に入った。もちろん女としてのおめかしが第一。
忙しい忙しい早く準備を終わらせないと。
でも期待に答えるために作戦も大事。家来蝙蝠におめかししながら、鳥一族に潜入中のアントニーへの指示を頼んだ。アントニーの能力で能力持ちを捕獲する。これが第一の矢ですわ。うふふ、これで能力持ちはすべて私の物。
次にライオネル、ドクを呼び出し、アントニーが能力持ちを抑えている間に鳥一族を殲滅する。これが第二の矢。完璧すぎて笑いが止まりませんわ。うふふうふふ。
最後の矢が私。美味しいところをいただくわ。おめかしも完璧に仕上げるわよ。ヴァンパは誉められたい一心で準備を急ぎ進撃を開始した。家来蝙蝠達よ私に続きなさい。
しばらくして家来蝙蝠から一報がはいった。アントニーが能力持ちに噛みつき戦闘不能にしたと。うふふ。作戦通りですわ。
あとはライオネル達が鳥一族を殲滅すれば…うふふうふふ。
ヴァンパが進撃した頃、なんとか第一陣アントニーの捕獲に成功し、タイガ達はアントニーの情報から山道に兵の7割、タイガ、ググ。残りを反対側とルーグを配置し迎撃体制を整え終えていた。
「先程、一匹黒いのが飛んで行きましたが、問題ないでしょうか?」
「こっちの情報は漏れてるだろな。」
そこに何か雄叫びらしきものが聞こえたとルーグから連絡が入った。
「ルーグ側に雄叫びがきこえたようだぜ。」
「ライオネルでしょうか?タイガさん、ここは私に任せて下さい、」
「わりいが頼めるか?」
「任せて下さい、ルーグの事頼みます。」
ライオネルにもしかしたら能力不明のドクもくるかもしれない。タイガは急ぎルーグの応援に回った。
『モッグン聞こえるか?俺はルーグ側に応援にいく、エレンとそのまま待機していてくれ。』
『わかったよ。』
「ライオネルきたかもしれないって、やだな。」
「ライオネルに勝てますかね?」
「どうだろ?厳しいとは思うよ。けど僕達ならきっとできるよ。」
なんとなく寂しくなり、初めてリラが図鑑から出てきたこと思い出し、図鑑を眺めていた。エレンは不思議な顔で見ていた。
「これは大事な友達が作った図鑑なんだ。」
「なんでモッグンさんがもってるのですか? 」
「リラはね、ライオネルとフクロウ先生にたべられたんだ…だから今は僕がかいてるんだけどね。」
「ごめんなさい、そんな事聞いて。」
「かまわはないよ。」
「どんな方だったんですか?」
「可愛くて好奇心旺盛なうさぎだってさ。この図鑑に書いてあるよ。」
「モッグンさんのこともかいてある。あっ私?のことも。」
「それは僕が書いたんだけどね。なかなか上手でしょ?」
「えっ?はい、この鼻特に似てます。」
「ありがとう。久々にリラに会いたいな」
「もう会えないんですね…」
「う~んたまに会えるんだよ、この図鑑から出てくるんだ。」
「えっ?リラさん能力持ち何です?」
「そうだよ、狩られてから気付いたんだけどね、そういえば初めて図鑑から出てきたときもここだったな。」
「不思議な能力何ですね、私も会ってみたいです。」
「そういえば絵ならあるよ。これがリラだよ。」
リラの絵をじっとみつめ考え込んだ。
「どうしたの?」
「えっ?なんにもないです。」
「リラはタイガさえもてなづけてるからね。」
「タイガさんを?それはすごい方なんですね。 」
『そっか、タイガさんが高台で泣いていたのは、大事なお友達のリラさんを思い出してたんだ、納得だな。
なんかいいな。そういえば私が高台で作った像、なんとなくリラさんに似てる?他に作った像、誰ににてたんだろ?』
エレンは考え込んでいると図鑑が輝きはじめた。
「このひかりは…リラ…リラなの。」
「じゃじゃ~ん久々登場、リラちゃんだよ。」
「リラ…会いたかったよ。」
「モッグン?久しぶり~それにえ~と誰だろ?」
「紹介するね、鳥一族の王様イーグ様と王女のイル様。湖で仲間にした象のエレンだよ。」
カキカキカキカキ
「お初におめにかかります、リラさん。」
「こんにちは、王様にイルちゃん。エレンちゃんもよろしくね。」
カキカキカキカキ
「よっよろしくお願いします。」
「ちょっとリラ絵は後にしてよ」
「ここで何してるの?タイガもいるの?」
「僕の話聞いてる?」
カキカキカキカキ、
「後少し待ってね。」
「ふふふ、おもしろい方ですね。」
「はぁい、出来たよ。じゃあ~ん。みてみて上手でしょ?」
「うんうん相変わらず上手だね、ってか僕が書いたエレンまで書きなおしたの?」
「んっ?でっなにがおきてるの?」
相変わらずのリラのペースにはぁ~と深く溜め息をついたモッグンは今までのこと、現状の状況を説明した。
「ほぉほぉ大変な事態だね、うんうん。」
リラはイルをジロジロとみた。
「イルちゃん可愛いね、うんうん。抱きしめてもいい?」
イルは無言だったが、王様が変わりに答えた。
「ありがとう、リラさんも可愛いです。抱きしめるのはまた今度で。」
「んっ?ありがとう。ねぇねぇモッグンイルちゃんは喋らないの?」
「タイガとしか喋ってるの聞いたことないよ。」
「可愛いねぇ、人見知りなんだね。 」
カキカキカキカキ。
一方、ググ率いる隊は黒い塊を確認し、予定通りの陣形を完了したことをタイガに報告した。
『あ~宜しく頼む、後もう一つ頼みがある、ヴァンパがいたらルーグのために生きて捕獲してくれ。』
『ルーグのため?わかりました。では、敵に備えます。』
『モッグン?ググ側からヴァンパと黒い塊がきたぜ。 』
『僕達もいこうか?』
『いや、そのまま待機で頼むぜ。』
『わかったよ、あっ後リラがでてきたよ。』
『そうか、よろしく言っといてくれ。』
『もうちょっと喜べばいいのに。』
『今はそんな余裕はねぇよ。』
「タイガ?」
モッグンは頷いた。
『もう~タイガ素直じゃないね。』
『うるせえよ、んっ~まぁなんだ?リラ。元気でなによりだ。』
「モッグンさん、タイガさんてなづけられてますね。」
その頃進撃中のヴァンパは鳥一族の渓谷まできていた。さて、私の鮮やかな作戦でそろそろ鳥一族は殲滅してるかしら。うふふ。いきますわよ。
ググ率いる隊は通路の幅が狭い渓谷を利用した陣形をとり、ヴァンパがくるのを待ちかまえていた。
うふふ、ここまで接近して何もいないなんって不用心だわ、違ったわ。もうライオネルに殲滅されたわね、うふふ。
「完璧ですわ。うふふ、うふふ。」
「第一波 ヴァンパの群れに向け、石を落とせ」
渓谷の上から大量の大きい石が落ちてきた。
家来蝙蝠達は石にぶつかり地面へと落下していく。突然の奇襲に対応出来ずに黒い塊が半分となった。
「なっ何事ですの?生き残った物は私の所へ集いなさい。どうしたの?集いなさい。」
混乱している家来蝙蝠達はヴァンパの命令に従えなかった、いや、できなかったのだ。更に混乱している間に追い討ちをかけた。
「第二波ヴァンパの群れに向け左右から突撃せよ。」
無数の鳥達が左右から突然あらわれ、黒い塊へ突撃した。家来蝙蝠達の残り半分が更に減り分断された。
「どっどうなってるの?早く集まりなさい。私を守りなさい。何しているの?」
「第三波 後少しです、上下より突撃せよ。」
混乱と分断が続く中、無数の鳥達が上下から襲いかかり、黒い塊は黒い点々へと変わっていった。
そして、中心にいたヴァンパの姿があらわになった。
「どっどうなってるの?一旦ひくわよ。後退後退よ。」
黒い塊は点々としており、家来蝙蝠達は無作為に動き回るしかなった。
「この役立たず」
ヴァンパは単独で逃げようとしたが、すでに手遅れだった。
「第四波 ググ隊私に続いて突撃。」
ヴァンパの真上からググ率いる精鋭隊が降り注ぎ、そのままヴァンパを囲い込み追い詰めた。
「うふふ、やるわね。王子のくせに。」
「随時と余裕ですね、大人しく投降して下さい。」
「うふふ、甘いわね。私を捕まえてもまだアントニーとライオネルドクもいますわ。」
「残念ですが、アントニーは捕獲しました。」
「なっどういうこと?あの役立たずの兄弟。でもまだライオネルドクがいますわ。」
「あなた達では勝ち目はありませんわよ。」
「ライオネルドクにはタイガさんとルーグが対応してます。」
「まだライオネルきてない?どんだけとろいの!それにルーグめっ、裏切りましたわね。」
「諦めて投降しなさい。」
「うふふ、仕方ないわね。諦めますわ。」
ググ精鋭隊が捕らえようとしたとき、ヴァンパは隙をみてにげようしたが、ヴァンパの速さではググには到底かなわず、すぐに捕らえられた。
「無駄なことを…ヴァンパも牢獄へ捕らえておいて下さい。私はこのまま一度王の元へ戻ります、他の兵はそのまま監視をお願いします。」
「あぁ~私のしたことが…こんな奴らに…なんでこんなことに…お助け下さい…」
「それはあなた達が利用されたからです。」
ヴァンパの心にその言葉がつきささりうなだれた。
『タイガさん、作戦通りにヴァンパを生きて捕らえました」
『さすがググやるじゃねえか。』
『いえ、タイガさんの作戦通りです。では、私はこのまま一度王の元へ報告後合流します。』
第二陣?ヴァンパの作戦通りには進まず、残りは第三陣のライオネルとドクのみとなった。




