対策1
私にだって、生きる権利はあります。
鳥一族の谷へついたタイガ達はペリーとカーンのもとへむかった。
「たっタイガさんにモッグンさん、僕達……」
「悪かったな、巻き込んで。」
「それは全然大丈夫です」
「ケガは大丈夫か?」
「ググ王子のおかげでなんとか助かりました。」
「無事でなによりだよ。」
「タイガさん達は大丈夫だったんですか?」
「まぁなんとかな。」
「さっさすがタイガさん。」
「いや、今回はエレンのおかげだ。」
「えっ?エレン?ってあのいじめられてた?」
「うそだ~あのエレンだよ。」
「本当だよ、エレンはすごいんだから。羽まで生えて空もとべるんだから。」
「え~、え~」
ペリーとカーンは驚愕し、役に立てなかった事を恥じた。
「いや、気にするんじゃねえよ。」
「お前達も十分すごいぜ。」
「タイガさん……ありがとうございます。」
「本当のことたぜ、まぁ治るまでゆっくりしてな。」
「んっ?用事できたから俺はいくぜ。」
「僕も行くよ、」
「モッグン達はまっててくれ。」
タイガはふらりと立ち去っていった。
一方、ググ王子はルーグの処遇で王様と意見が割れていた。
「私に免じて、ルーグの処刑はお許し下さい。父上。」
「ルーグは反逆者のリーダー。けじめをつけねばならぬ。」
「そうだな?ルーグ。」
ルーグは黙っていた。
「覚悟はできてるようだな。ググ、私の判断を受け入れなさい。」
「父上……それでも私はルーグを信じたいのです」
「そうか、王となるもの時には非情な判断が必要になる、理解しなさい。」
「そうですよ、いつまでも甘々な王子です。さっさと私を処刑して王になりなさい。」
「なっ、ルーグ。あなたはどうして自分の命を大事にしないんです!」
「ふっ、どうでもいいですよ。そんなもん。どっちみち私は長くありませんから。」
「どういうことです?」
「さぁなんでしょうね。早く処刑なさい。」
「ルーグも受け入れておる、わかったな?」
「私はそのような判断うけいれません。」
「まだまだ王にはなれぬな、ググ。」
そのとき、突然ドアが開いた。
裏で話を聞いていた、タイガがのりこんできたのだった。
「はっ、とんだ茶番だな。」
「タイガ殿、これは一族の問題、口を挟まないでもらいたい。」
「あ~わかってる、ただひとつ気になることがある。」
「ルーグ、お前、長くないだろ?別の意味で?」
「ふっ、あなたはなんでもお見通しですか、きにいりませんね。」
「俺は一族の事には口をださねぇ、その代わり協力しねぇか?今だけ?」
「私に何の特があるんです?」
「わかるだろ?すべて話せば自由の身だ。協力する気になっただろ?」
「ふっ、あなたの思惑通りできにいりませんが、仕方ないでしょ。今だけ協力してあげましょう。」
「タイガ様、あなたはいったい何を?」
「まぁググ、俺に任しといたらいい」
「あと、王様よ、あんたのやり方に口をはさむ気はねぇが、きにいらねぇな。」
「まぁだまっといてほしかったら、ルーグを借りるぜ。」
「お好きになさい。」
「助かるぜ、王様。」
「待って下さい、タイガ様。一体どういうことですか?」
「まぁ、今はなにも聞かない方がいい、そのうちわかるからよ。」
「ルーグ、ちょっくらつらかしな。」
「はいはい、わかりましたよ。」
タイガとルーグはモッグン達の元へ向かった。
「待たせたな。」
「ん?タイガどこいってたの?のぉぉぉ~???うし、うしろ?」
モッグンとエレンは臨戦態勢となった。
「なんですか?その態度は?うるさいですね、刻んであげましょうか?」
「ちょ、ちょ、タイガなに考えてるの?
大丈夫なの?」
「まぁ皆、落ち着こうぜ、大丈夫だからよ。」
「はぁはぁい、タイガさんがいうなら落ち着きます。」
「モッグンさんも落ち着きましょう。」
「そうだぜ、こいつは今だけ仲間?いや、協力関係だ。」
「信頼できるの?」
「オレの言うことが信じらんねぇか?」
「いや、タイガがいうなら間違いないだろうけど。」
「まぁそういうことです、今だけ仲良くやりましょう。今だけね。」
ルーグは不敵な笑みを浮かべた。
「早速、質問に答えてもらうぜ。嘘ついても無駄だからな。」
「わかってますよ。あなたの能力は。」
「お前等の目的はなんだ?」
「わかりません。」
「わからないって。」
モッグンは失笑した。
「俺たちを襲うのはなんでだ?」
「私達の目的地にあなた達がいただけです。」
「お前らは目的地に何しにきた?」
「それはエレンを捕まえろといわれただけです。」
「何のために?」
「わかりません。」
「誰の指示でだ?」
「ヴァンパの指示です。」
「ヴァンパ?あいつか?」
「そうですよ、あの気持ち悪い蝙蝠です」
「あの気持ち悪いのヴァンパいうんだね。」
「ヴァンパがお前らのボスか?」
少し悩んだ後答えた。
「私に指示を出してるのはヴァンパです、ただ、ヴァンパも誰かに指示はされてると思います。」
「どうしてそう思う?」
「何となくですよ。」
「ルーグは会ったことないの?」
「ないですよ、話の流れでわかるでしょ」
「えっ?そっそうだね、ごめん。」
モッグンはタイガとルーグを気まずそうに見た。
「お前らも能力もちを集めてるって事だよな?」
「まぁ、そうなりますね。」
「集めて何する気だ?」
「わかりませんね、私と先生はヴァンパの指示で動いてるだけなので。」
「ヴァンパの能力はなんだ?」
「わかる範囲でいいますと、奴の能力は血を吸った相手を自分の手下にできること。後は無数の蝙蝠を操れることですかね。」
「だから、お前とじいさんはヴァンパの言うことをきいてるんだな?」
「そうです、でなければ奴の指示など無視ですよ!」
「まぁそれはそうだよね。」
「どうやって、能力もちを見つけてんだ?」
「わかりません。ヴァンパは知ってるかもしれませんが。」
「ヴァンパを捕まえてみるか?」
「それは無理ですね、奴の近くには私とは比べものならない強者がいますからね。あなたもご存知でしょ?」
「んっ?あいつ生きてたのか?」
「何が合ったかはしりませんが、生きてますよ。」
「ちょっと待って、誰の話?」
「はぁ~、頭が悪いですね。」
「モッグンに悪態をつくな、協力関係だろ」
「ライオネルだ、モッグン。」
モッグンは目をまん丸くして椅子からこけた。
「ラッライオネル生きてるの?」
「そうみたいだな、今度こそけりをつけてるぜ。あの死に損ない。」
「タイガも死にかけたんだから、無理はしないでね」
「あの~その、ライオネルというのはそんなに強いんですか?」
「あ~強いな、俺並み?いや、俺以上に」
タイガの顔が険しくなった。
「まぁ安心しろ、今はお前達がいる」
「ふっ、甘いですね。」
「ライオネルの他にもあと二匹いますからね。」
「あと二匹も?」
モッグンは絶望みちた表情をした。
「わかってるさ、俺達だって、色々と経験はして、強くなったつもりだ。」
「それでも勝てねえか?」
「そうですね、まだまだ戦力不足です。」
「そうか、残り二匹はどんな能力もちだ?」
「能力は確かではないですが、いつもねているよくわからないドクと」
「厄介なのがアントニーですね、噂では奴の姿をみたものはおらず、狙われたら最後ということです。出会ったらもうだめですね。」
「まぁあなた達に勝ち目はないですね。」
「なかなかの個性派揃いだな。」
「そうみたいだね、タイガ?勝算はあるの?」
「いや、検討つかねぇな。」
「まぁそうでしょうね、でも時間はないですよ。」
「どういうことだ?」
「普通に考えれば、ここに能力もちが多いわけですか、確保するチャンスですよ。」
「え~どうすんの?」
モッグンは慌てた。
「もうそこにいるかもな、アントニーが!」
「やっやめてよ、タイガ。怖がらせないでよ。」
「ふっふっ、その可能性は全然ありますね。」
「ちょっとルーグまで、おちょくらないでよ。」
「次はエレンのうしろに?」
エレンはおどおどしながら、足をジタバタさせた。
『おぃ、アブねぇじゃねぇか、でかけつ』
タイガは不思議な顔をした。
なぜか小さいが声が聞こえたからだ。
『おっと、ついつい心の声がもれちまったな。冷静に冷静に。ぐひひ』
タイガは危機を感じた。
「全員動きまくれ、とまるな、どこかにさっき話した、アントニーがいるぞ!」
「その冗談はもういいよ。」
「今度は嘘じゃねぇ。小さいが声がした」
タイガの本気の顔に皆、自由に動いた。
タイガはあることを思い出した。さっきエレンがジタバタした時に声がしたこと、でかけつ、間違いなくエレンの近くに。
「エレン、お前の近くだ、とまるなよ。」
「はぁはぁい~」
エレンは今まで以上に動いた。
『いいけつやな、噛みついてやるか。』
「来るぞ、エレン。」
「いっいや~やめれ~」
『うぼぉ、いてぇ、でかけつやるじゃねえか。』
エレンはパニック状態だったが、なぜかアントニーは攻撃をくらっていた。
「エレン、いいぞ、効いてるぞ。」
『うっとうしいやつやの、先にそいつをやっちまうか。』
タイガは焦った、次に狙われているのが自分であることに。
「ちっ、くるならこいや。」
タイガの回りに風が起こった。
ルーグの能力がタイガを包み込んだ。
『ルーグ、裏切るなや!』
ルーグ気をつけろ、狙われてるぞ。
『痛いめみてもらいますよ』
「無駄ですよ、私にも風を..... なっ。」
ルーグは地面に落ちていったが、なんとかモッグンが受け取った。
「貸しだからね。」
ルーグは意識がなくなっていた。
「モッグン止まるな、ルーグの近くにいるかもしれねぇ。」
「でも、さっきまでエレンの近くに?」
「一体何をしたんだ?」
『ぐひひ。でかけつは俺のもんや。』
「また来たぞ、エレン。またけつだ。」
「もういや~いい加減にして。」
エレンは怒りのあまり後足を高く持ち上げ、幾度となく蹴りを放った。
『うぉ、うげ、いてぇ、やっやめろ...… 』
声が聞こえなくなった。
「やったのか?」
『まだだ、俺達は不滅だ。覚悟しろ。でかけつ。』
「まだやってねぇ。エレン止まるな。
「うっ!」
モッグンが急に倒れた。
「なっ?モッグン!くそっどうなってんだ」
『次はうっとうしいあなただ!』
タイガは危機のさなか、感づいた。
「お前ら二匹いるだろ?」
『おっと、気づかれましたか。』
『やはり、うっとうしい限りだ。生きては返しません。』
「エレン、止まるなよ。もう一匹いる。」
「はぁはぁい、とまりましぇん。」
このままではらちがあかないことはわかっていたが、どうしようもなかった。
その時、ドアが開いた。
そこに現れたのはググ王子だった。
「何事ですか?この騒ぎは。」
「目に見えない敵だ、気をつけろ。」
「敵?敵襲に備えるよう王に伝えよ。」
「敵らしきものならそこにいますよ。タイガさんの後ろ。」
「なに?」
勢いよくタイガはググの方に飛び込んだ。
『間一髪ですね、次は逃がしません。』
ググ王子はタイガか元いた位置へ飛び込んだ。
「痛い、離しなさい。どうして俺がみえる。」
私たちの目を侮ってはいけませんよ。
ググ王子の足の下に小さな生き物がいた。
「これはありですね。」
「あり?どうりで小さくてみえねぇわけだ。」
「離しなさい、お前らの仲間がどうなってもいいのか?」
「どういうことだ?」
タイガは爪でアントニーをはさみ脅した。
「やめろ、潰すな、痛いだろ。」
「まだモッグン、ルーグは生きてるのか?」
「さぁ?」
「答えろ。」
再度爪でギリギリとした。
「やっやっやめろって。」
「生きてる、仮死状態なだけだ。」
「では、元に戻して下さい、逃げても無駄ですよ。」
「わかったから、離せ。」
タイガはモッグンに近寄りそこに離した。
ググ王子は睨みを利かせた。
「おかしな動きをすれば、どうなるかわかりますね?」
アントニーはモッグンの背中に噛みついた。タイガはアントニーを握り潰した。
「おぃ、何やってんだ?」
「ちょちょ待って、見ろよ?」
モッグンは起き上がった。
「僕、生きてるの?」
「そうみたいだな、大丈夫か?」
「ん~大丈夫かな。」
「次はルーグだ!」
タイガはルーグの元へ下ろした。背中に噛みつかせると、タイガはにげないようにまたアントニーを握った。
ルーグもすぐにおきあがった。
「わたしはたしか、自分に風を」
「こいつらにやられたんだぜ!」
「こいつら?」
ルーグはタイガの手元をみた。
「あり?ありですか?それ?」
「ルーグお前もそういうこというんだな。」
「んっ?そんなつもりはありません。こいつらってことはもう一匹?」
ルーグは周りに目を凝らすと、エレンの後ろで気絶している、もう一匹を見つけた。
「まさか二匹いたとは驚きです。 」
「二匹でアントニーか?」
タイガは手元を睨みながらきいた。
「答える訳ないだろ。」
タイガは潰れないほどに握った。
「わっわかった、喋るからやめろ。」
「俺が兄のアン、そこで気絶しているのが弟のトニーだ。」
「二匹あわせて、アントニーですか。」
「そうみてぇだな、こいつらどうする?」
「つぶすか?」
「いえ、情報を聞き出しましょう。」
「モッグン、エレンは休んでてくれ。」
頷いた。
「お前らの目的は俺たちか?」
「さぁ~どうですかね。」
「またにぎられてえか?」
「やめてください、トニー起きろご飯だ」
「ご飯?飯の時間や。」
「んっ?動かねーってか、いてぇ~。なんだよ?飯は?」
「ねぇよ、ばかか?」
「あぁ?バカじゃねぇし、やんのか?」
「今、お前らどうなってるのかわかってんのか?」
トニーはアンの方を見て、危機的な状況を理解した。
「まずくねぇの?兄ちゃん。どうすんだよ?不滅の兄弟だろ?」
「落ち着け、トニー。なんとかなる。」
「随分、兄ちゃんは余裕だな?」
「ライオネルもきてるんだろ?」
「うっとうしいです、お前らなんってひとにぎ~」
タイガは握り潰して、制止した。
「ちょい、やめぇや?兄ちゃん苦しんどるやろ。それに兄ちゃんはしんでも喋らへんで。」
「じゃあ、お前が変わりになるか?」
「喋ればええんやろ?なんでも聞けや」
「トニー、しゃべ、ぎゃあ。」
「兄ちゃんは黙っとき。俺が喋る。」
「そん変わりやけど、兄ちゃん離してえな?」
「逃がしはしないぜ。」
「逃げへん、後もう一ついいか?」
「なんだ、いってみろ。」
「ぐひひ。でかけつかんでもええか?能力は使わん、噛むだけや。少しくらいええやろ?」
「だとよ?エレン。どうする?」
「えっ?私のお尻ですか... それで話してくれるなら。ぐすっ。」
「すまんな、エレン。」
「さすが、エレンはん話しわかりますやん。でっ、急いだ方がええんとちゃうか?他にもこっちに向かっとるで。」
「後は誰だ?ライオネルとドクか? 」
「正解や、ルーグから聞いたんやろ?」
「そこまではな。お前らの能力は?」
「俺達の能力は噛んだ相手の行動力を操作できるんやで。死なせたり強力にしたりな。試しにエレンはんのでかけつで試してみるか?」
「後でな、ドクは?」
「あ~あいつのことはようわからへんのや、ずっと寝てるしな。起きとるとこなんってみたやつおらへんやろ。」
「兄ちゃんあるか?」
「ない。」
アンはトニーを睨んだ。
「兄ちゃん諦めてこっちにつこや。死んだらおしまいやで。」
「わかってます。義理は通しただけだ。」
「義理?そんなもんもう返したやろ?もう十分やさかい、そんな気張るなや。」
「お前らの話は後だ。もう来てるのか?」
「俺らが一番のりやったな、近くにいてたし。ライオネルは走んのはやいし、ドク背負ってきてももうすぐちゃう?」
「そうか、時間がねぇな。」
「こいつらを閉じ込めて対策をねるぞ。」
「俺ら協力せんでいいんか?」
「さっきまで敵やった奴信用できないだろ。」
「そりゃそうや、ほなご褒美頂きましょか。」
「んっ?なんのことだ?」
「タイガはん、悪いやつやの、約束したやろ。」
「ちっしゃあねえな。ほらよ」
タイガはモッグンの方によりトニーの牙を突き刺した。
「いたっ。ちょっとタイガ、また死んじゃうよ。」
「まぁエレンの代わりだぜ。」
「タイガはん約束ちゃいますやん。」
「まぁおまけはあげますわ。やで、これ終わったら噛ましてな~」
「無事に生き残れたらな。」
「まずは、ライオネルがどこからくるかだな」
「ググ、来るとしたらどこだ?」
「山道を登ってくるのが無難かと、もう片割れの道は険しいので。」
山道に兵の7割にタイガ、ググ残りを反対側にルーグを配置することにした。
モッグン、エレンは王の側で待機となった。あとはできる限りの準備をした。みなで力合わせてこの危機をのりきる作戦だ。
その頃、鳥一族にむかっていたライオネルは。
くそがっ、こんな寝てばっかの役立たず連れてく意味あんのかよ。
ぐぐぅ~
いい気なもんだな、まぁいい、腹立つタイガを食いちぎってやるぜ、ぎゃははは
ライオネルの雄叫びといびきが山にこだました。




