序章
さぁ未知へと動き出しますよ。
動物しかいない弱肉強食の世界に一匹の好奇心旺盛なうさぎのリラがいた。
彼女は弱い、生き抜く為に考えついたのが観察をして動物の絵、特性などを図鑑にして記録することだった。
私が生き残るにはすべてを知ること。
図鑑作りを初めてまもない、まずは私を書こう。
ん~私の特徴は美しい耳に口、そして可愛い赤色の目、才能溢れ安らぎを与える癒やし系。
好きな物は絵を描くこと、にんじん。
まぁこんなところかな。
次は友達のモッグン。目がつぶらで、穴を掘るのが得意、いつも土の中にいて、臆病者の割に鋭い爪をもつ少し男勝りの友達。
次は森のお医者さんで、なんでも治せる名医、フクロウ先生。
可愛い小さい体にでっぱった前歯のリス。
きをつついてばかりいるキツツキ
イタズラ好きのきつねとたぬき。
可愛い顔をよく洗っているアライグマ。
いつもぼぉ~としているばか。違うかば。
なんだかんだで、十数ページ書き終えると日は暮れていた。
あぁ~あ~お腹もすいたし疲れたし、大好物の人参を頬張って眠るとしますかね。
しばらくして眠りにつくとまたあの夢をみた。家族がいなくなった時の夢、何度も何度繰り返す夢、その時の記憶は思い出せずにいる。そして、いつもこのシーンで目が覚める。愛しき我が子よ眠りなさい…
なんで眠りなさい?いつもそこでおこされる夢なのに、流れている涙をぬぐい、図鑑作りを始めることにした。昨日であらかた肉食以外のは書いたつもりだ。次はいよいよ、危ない生態調査だ。
巣穴からでたリラは森に歩き出す、目的は危ない奴らの生態を把握すること。肉好きはヤバいのばかり。なぜかって?それは私が可愛くて美味しい肉だからさ。自分の冗談に笑った。
よし、第一優先は見つからないように命を大切にだ。
草村に隠れながら静かに移動すると、50mほど先に何かが群れていた。目を凝らしみてみると、みつけたのは黄色と黒毛をした獰猛なトラだ。死骸に群がって喧嘩しながら取り合っている、集団で行動しているわりに全く協調性はない。
狩りの時は協力するのかな?みてみたい。
それにしても一匹やけにテンション高いやつがいる。
「ひゃぁは~肉肉野菜肉野菜肉、野菜は雑草で補う~にゃはぁ~」
変な奴だ、それをしりめにほかの奴は肉を取り合っていた。
「に~く、に~く、、野菜」
まだやってる陽気な奴だ(笑)
死骸を食べる、黄色と黒の模様、狩りの時は協力しない?名前の由来は命をかりとられるからトラに違いない。
ちょうど特徴を書き終えた頃、満足したのか奴らは去っていった。
周りを見渡し見に行くと食べていたのはシマウマだ。
シマシマは餌になりやすい、走るのは速く、視野は広いがなぜか捕まる、名前の由来はしましま柄の旨い肉でシマウマで間違いない。
トラ達の食べ方の観察もした、骨、少しの肉と内臓がたべ残されていた。さすがのトラも骨は食べれないようだ。
リラは食べ残した物の中で、何でも使える骨と肉、内臓は 念の為に持ち帰ることにした。
次は自分の食料をついでに確保することにした。向かうのはなんでも揃う野菜畑、私みたいな弱者がたべる食料だ、それを知ってる強者がたまにそれを狙って待ってるときもある。危険と隣合わせの高級食材だ。
リラは草木をわけ、野菜畑の様子をうかがった、私の好きな人参様はあそこか?
誰もいなさそうだし、頂戴いたしますかね。軽やかな足取りで人参をとりにいくと空から何かが襲ってきた。
空飛ぶものだ、名前はわからないが、今はそんな余裕はない。
リラは慌てて、走り出し、森の中につっきった、その時背中に何かがかすめた。
空飛ぶものの爪がかばんから肉だけを奪っていったのだ。
あぶなかった…肉がなければ今頃私があれか…
空飛ぶものはまだ狙っている。
試しに内臓を投げてみた、すごい早さで内蔵目掛けて飛んでくる。
奴は鋭い爪で内臓を取り、空高く飛んでいった。
まさか空からくるとは、人参を目の前にして油断しちゃったか。今日は諦めるか…
リラは落胆の表情を浮かべたが、気持ちを切り替えて図鑑のことを考えた。
空飛ぶもの、肉食、野菜畑にいる、かばんから肉をとった、人参、人参、今度こそは人参取る。
リラは大好物の人参が食べれずまだご立腹だった。
空飛ぶものの名前はわからずリラが決めた。リラの気持ちを表した名前だ。
今度はこそは人参取る、略してコンドル、次は負けないぞ~コンドル~
無事巣穴に帰ってきたリラはコンドルの絵を描いた、もちろん内臓をとる瞬間の絵だ。
これが肉食、危ないけど興味をそそる。
リラは恐怖より好奇心が上回り、危険な夜の森にいくことにした。
夜の森は視界が悪く、昼とは違う雰囲気だ、こわいこわい、恐怖にかられながらもリラは進む決心をした。
その時後ろから物音がした、振り向くと友達のモッグンがいた。
「こんな夜にどこにいくの?」
「生態調査だよ、モッグンもくるかい?」
モッグンは激しく首を横にふり断った。
「危険だからやめておいた方がいいよ。 」
「大丈夫だよ、朝のへまはしないさ。」
「朝?」
「朝野菜畑で襲われたんだ、なんとか逃げれたけどね。 」
「そうなんだ、無理はだめだよ。」
というとモッグンは巣穴に帰っていった。
モッグンはこんな時のリラは何を言っても聞かないのは分かっていた。だから、巣穴で待つことにした。もしもの時に備え…
リラはモッグンにさよならを告げると進み始めた。恐怖もあるが、このドキドキはやみつきになりそうだ。
しばらく進むと声が聞こえてきた、聞き覚えのある特徴的な声とテンションだ。
私はウキウキになった、狩りがみれるかもしれない。
トラ達から50mほど離れた位置で止まり、様子を窺った。
相変わらず変なテンションだ、夜だと思わせないほどの陽気さがある。
もう少し近づいてみるか、時間をかけ近づくとトラ達は一斉に散らばった。
やばい気づかれた?リラは焦ったが
やつらはシマウマ親子に全方位から飛びかかって襲いかかった。
シマウマ親子は何とかにげていたが、すでに逃げ場はなかった、前に見たときとは違う、狩りになると協力していた。
先をよんだように、シマウマ親子が逃げるところにさきまわりしていた。
あの変なテンションの奴は今は怖いくらい神妙な顔つきだ。
これが奴らの狩り、すごい。あっという間だった。
奴らはシマウマ親子の首にかみつき、地面に押し倒した、シマウマ親子は何もできず、痙攣し息絶えた。
変なハイテンションはシマウマ親子に近づくと他のトラ達はどき、子供に噛みついた。
「うんま~ぁ、やはり子供の肉は最高だぜ~血肉血肉、これだこれだ。これじゃないとだめだ。」
またあのテンションに戻っていた、 食べおえると他のトラ達も親をたべはじめた。その間奴は踊っていた、一心不乱に雄叫びをあげ。
「ふぉーふぉー食後の運動。のどが渇いたら血をすすれ~踊れ騒げたべつくせ。俺は陽気な~命をかりとるトラのタイガ様だ。」
まるで、自己紹介をしているような、リラは汗がでた…知るはずのないことをやつは知っている。こちらの存在にも気付いている
なんで?リラは思考が停止しそうだったが、すぐにわかった。
私の心がよまれてる。
『あ~た~り~』ときこえだが、まだ場所までは特定できてないようだ。
今すぐ逃げるが勝ちだ、得体のしれない事が起きた、しかし現実だ、生き残る為に、最善をつくせ。
リラは心でつぶやいた。
すると奴はハイテンションでいった。
「腹いっぱいでもう食べれません。
ちっくしょ~」
食べ終えたトラ達も満足したのか笑いながらたべすぎだ、デブだ、なんやかんやがやをとばした。
助かったのか…リラは戸惑った。
とりあえずこの場から離れたい一心でリラは走って走って巣穴の近くまできた。
今日は二度もあぶないめをみた、三度は…さすがにないな。
リラは息を切らしながら、後少しで帰れる、疲れたよとつぶやき、少し休憩をとり歩き始めた。
だが、後ろから草木をわけて、凄い速さでこちらに向かってくる奴がきた。
まさかトラ達に遊ばれたか?リラは思ったが、迫り来るものの大きさが違った。
長いさがたった髪に隆々した筋肉、鋭い牙に爪、肉大すき、毎日たべてますといわんばかりの姿だ。
ここからなら先に巣穴に逃げれるはず。
走れ走れ、後少し、だか、奴ははやい距離が少しずつ縮んできた、
10m、8m、5m、巣穴までもう目前、リラは息がきれもう限界に近い。
私の勝ちだ。
リラは巣穴に飛び込び転げ落ちながら巣穴に入り込んだ。
「いたっ」
リラの背中に激痛が走り、血がかなりでていた。
奴にやられたのか?まだ距離はあった。
届くはずがないのに背中から血が…
その時、地上からは奴の悔しそうな雄叫びが聞こえた。
ここにいてはだめだ、離れなきゃ、何が起きるかわからない、頭がくらくらする、血のですぎで歩けない。
私もう死ぬかもしれない…
その時、奥の方からモッグンが走ってきた。
「リラっ大丈夫?」
凄い音がしたから急いで走ってきたようだ。
「背中がいたい、すごい血なんだ。」
モッグンは恐る恐る背中をみた 、背中には爪で引き裂かれたような傷があった。
とりあえず医者のところにいこう。
モッグンはリラを背負うと巣穴を走り出した。
「ありがとう、モッグン」
リラはそういうと痛みで意識を失った。
モッグンが向かったのはこの辺では安全地帯のふくろう先生の所だ。
彼はなんでも治せるという噂の凄腕だ。彼に任せるしかない。
でも、モッグンはふくろう先生の事が頭によぎる、あの先生はなぜか苦手だ。
だめ、今はそんなこと考えてちゃ、リラを助けなきゃ。
ふくろう先生の家が見えてきた。
ドンドン。
「先生先生いますか?」
大声で叫んだ。
ドアが開き、先生が出てきた
「なんじゃ、こんな夜中に。」
先生はリラをみるなり、すぐに招き入れた。
「君はそこで待ってるのじゃ。」
先生はリラを受け取ると、ベットに寝かした。モッグンは外で待つしかなった。
先生はリラの背中の傷をみた、鋭い爪で切り裂かれて、骨がみえていた。
「これでよく助かったもんじゃ、さて、始めるかの。」
ふくろう先生は傷をみつめると徐々に傷がふさがり始め、元の状態にもどった。
「リラこれで君の治すのも二度目じゃな」
ふくろう先生は神妙な顔でリラをみていた。
ドアの向こうで待っている友達のまえにいった。
「リラは無事じゃよ、今日は起きないだろうから帰るんじゃな。」
モッグンは元の道に向かい歩き始めた、ふと後ろを振り向くと、まだふくろう先生はこちらを背にしてたっていた。
その様子をみていた、モッグンはびっくりした、ふくろう先生の顔が突然180度回転してこっちをみたからだ
モッグンは恐怖のあまり足早にさった。
やっぱりあの先生は不気味で苦手だ。
モッグンは巣穴に帰ってねることにしたがいつまでも寝れない、朝を迎えたら様子をみに行くことにした。
太陽の光でリラは目が覚めた、
ここはどこだろ?昨日の事を思い出した、血がでて死にかけた、モッグンがきた所までは記憶にある。リラは背中をさわると痛みがないことに気付いた。
少し頭がふらふらする。
「おなかすいた、人参たべたいな。」
ふくろう先生がドアをあけ入ってきた。
「おや、もうおきておったか?」
「先生、先生が助けてくれたんですか?」
「まぁそうじゃが、君をつれてきたのは、そこから覗いている子だよ。」
リラは窓をみた。
ガラスからひょこりとモッグンの顔がみえた。
ふくろう先生が窓をあけたが、モッグンはリラが元気がなのをみて立ち去っていった。
「あれは誰じゃ?見かけぬ顔じゃな
友達のモッグンです、少し臆病なので基本土の中にいます。」
「そうなんじゃな、ほっほっほっ
ほれ、モッグンからのお土産じゃよ。」
窓の下におかれた、人参をリラに渡した。
「やった~人参、さすがモッグン。」
リラは美味しそうに頬張った。
「ごちそうさま、おなかがすきすぎてすぐ食べ終わっちゃった。」
「遅くなりましたが、先生ありがとうございます。」
「お礼はかまわんよ。」
「まさか先生のお世話になるとは…」
「ほっほっほっっでなにがあったんじゃ?」
「長い髪の筋肉ムキムキ、肉大好きみたいなやつにやられました。」
「そんな獰猛な奴もおるんじゃな。」
「ギリギリでした、逃げれたと思ったのに、いつのまにかきりさかれてました。」
「まぁ助かって何よりじゃよ 」
「先生のおかげです、どうやって治したんですか?」
そうするとふくろう先生は大きく羽を広げて、バサバサした。
こうして儂が羽を広げて風を送るとなおるんじゃよ。
「またまた、そんなんでなおるわけないよ。ご冗談がお上手なんですから」
ほほほっ~先生は笑った。
「なにより無茶はしないことじゃな」
次があるとは限らん。
ふくろう先生は怖い顔して忠告した。
リラは先生とモッグンのお陰で助かった
今のままでは生き抜けない、あの謎をとかなくては。




