1/21
零章
私は、彼の物語の中ではヒロインだけれど、
彼の物語の中では少女Aにすぎない――。
あなたの物語の中で、私はどんな役を与えられているのだろうか。
君にとって、私はただのエキストラになってはいないだろうか。
ヒロイン役に、別の人の名前が記されていないだろうか――。
いつから、と聞かれるとはっきりと答えられる自信はない。
けれど、私は彼に恋をした。
今はまだ、私は彼にとって「他人」に過ぎない。
これからも、どうなるかは分からない。
でも、私は望んでいる。
いつか、彼の「ヒロイン」となれる日が来ることを。
彼の物語の中で、「ヒロイン」のところに私の名前が刻まれる日が来ることを……。




