評価をしても意味がない?
まず、私がなぜ評価を付けることに積極的になれないかですが、これはひとえに、評価という行為に対する見返りが感じにくいからです。
例えば、自分が読んで筆舌尽くしがたいほど感動した作品に出合ったとします。文章評価五点、ストーリー評価五点の満点間違いなし。それぞれチェックを入れて、評価するボタンを押したとします。
結果どうなるでしょうか。
これが人気ジャンルの、ランキングにすでに乗っているような作品であれば、既に獲得しているであろう膨大な総合評価ポイントに一パーセントにも満たないような増加が起こるだけ。実際に数字にしてみると例えば、二五四七三ポイントが二五四八三ポイントに変わるだけです。気分としては、膨大な数の空き缶の隣に新しく缶を置いて「私もリサイクルに貢献したぞ」と言っている様な気分です。
これが人気ジャンルの、まだあまりポイントの付いていない作品であれば、自分が評価した瞬間に総合評価が跳ね上がるわけですから、評価する楽しみは多少大きいかもしれません。ですが、比べられるのはあくまでランキングの上であり、比較対象は数千数万ポイントの総合評価を持つ作品です。私の評価が結果として現れることはありません。
では次に、自分が読んで筆舌尽くしがたいほどの駄作に出合ったらどうでしょうか。このような作品が評価されるなんて信じられないと、どうせ相互評価している集団がいるに決まっていると、世の中の政治が悪いと、そう思う人もいるかもしれません。まぁどう思ったかはさておき、低い評価を付けたい作品があるとします。間違いなく文章評価一点でストーリー評価も一点。それぞれチェックを入れて、評価するボタンを押します。
押しますか?
私なら絶対に押しません。
理由は簡単で、現在のランキングシステム、総合評価システムにおいて、最低点の評価を付けることは必ずしもマイナスにならないからです。最高点を入れても最低点を入れても、総合評価ポイントは同じベクトルに変化します。
つまり、現在のなろうのシステムにおける最低評価は、最低点を入れる事ですらなく、評価をしないことなのです。評価と名のついたシステムでこれは致命的な気もします。
「評価で点数を増やしてあげたい作品なら五、五で評価、つまらない作品はそのままスルー」
全員が評価を付けている時に満点にしているとは思いませんが、それが私が受ける印象です。そんな中で、「この作品展開は素晴らしいけど誤字が多いから評価は四、二だな」とか考える気力はわきません。さらに言えば、「評価するかしないかの二択なら、ブックマークでよくね」となります。
マイナーなジャンルであれば、また違った効果もあるかもしれません。ただ、メジャーなジャンルだとこれが現状なのでは無いでしょうか。