【SS】キミヲムカエニ…
僕はここで死ぬの…?
そんなの嫌だ。
だって君と約束した。
絶対に死なないと…
なのに体が動かない。
視界がぼやけていく。
『馬鹿だな。俺のことなんて放っておけば良かったんだ。』
気のせいだろうか……君の声が聞こえた。
『本当に馬鹿……』
君は泣いているの?
僕はまだ死ねない。
君との約束を守らないと……
もう痛みなんて感じない。
使い物にならない体を無理やり起こす。
『馬鹿…』
僕もそう思う。
僕は苦笑いした。
辺りを見渡すと数え切れない程の銃口が僕に向いている。
ねぇ、僕の思いが届いているなら力を貸して?
今の君ならできるんでしょ?
『…そんなことしたら、お前は人間じゃなくなる。』
大丈夫。
例え人間じゃなくなっても、君が僕だとわかってくれれば僕でいられる。
だから……君を迎えに行ける、力を貸して。
『どうしようもない馬鹿だな………必ず、迎えに来い。だから、生きろ。』
先程までが嘘のように体が軽くなる。
そして周囲が一瞬にして血の海となった。
君の声はもう聞こえない。
それでも必ず生きて迎えに行く。
この、赤に染まった手で君を……