やっとチュートリアル
「すげぇ。。。」
周りの景色が楽しめる位に余裕が出てきた。
杭に囲まれた集落。【ドット】村と言うらしいより、20分ほど歩いて来たのが森。
ナンパ男に森の名前を聞いたら、『森に名前なんてねぇ。』との回答。なので現在地は【ドット付近の森】。
その森の凄い事ったらありゃしない。木の天辺が、田舎町のマンションなんかより高い。そして幹が太い。巨木が至る所に生えてます。
『さっさと終わらせて帰るからな。まだ自由自在とはいかないだろ?見てろ。』
そう言って肩をグルグル回してから、腰の剣を抜く先輩。
なかなか様になっている。
剣を抜いたまま、森の奥へと進んで行くので着いていくと奥がガサガサと不自然な動きをしている。下草が動いてるね。
『結構早めに見付かったな。』
先輩の声に反応したのか、草むらから何かが飛び出す。
『よっと。なんだ、ウサギちゃんか。』
飛び掛かられても冷静にステップを踏むように避けてから剣を向ける。その剣を向けられた相手がウサギだった。
ただのウサギではなく、デカイ。大型犬くらいはありそうだし、グルグル言ってるあたり、ウサギではなく耳の長い大型犬ではないかと疑ってしまう凶悪な牙を剥いて威嚇してる。
『コイツは動きが素早い。最初からは無理だな。簡単なのは、こうやって。。。』
説明しながら、ウサギの突進を避ける先輩。
『避けてからの。。。こうっ!!』
避けながら、剣で斬り付ける。
「はいっ。」
呼ばれたから返事したら、微妙な空気が流れた。
『呼んでねぇから。』
先輩の冷たい返しに身震いする。
『そのまま行くぞ。《氷の礫!》』
凍える空気を纏った先輩の目の前にキラキラした小さな粒が現れて、ウサギに穴を開ける。
かなりグロい。血塗れウサギの出来上がり。
。。。。動かない。ただの屍のようだ。が出来上がった。
『今のが魔法。コツと言うか、特訓あるのみだな。コツが掴めれば突然出来るようになる。んで、倒した奴らは、ありがたく担いで持って帰る。町とかにあるギルドに鉱石やらモンスターやらを持ち込むと金が貰える。ここ重要な。金だぞ。給料だ。まぁ、成果給みたいなもんか。だから、励めよ。じゃあ、村まで送り届けてやる。ありがたく思え。』
ザックリした説明を受けながら、村へと戻り始める。
血塗れウサギを肩に担いで歩く先輩は鼻歌混じりだけど、かなりグロいよ。それでも気にした様子がない。慣れたもんだな。
ーーーーーーーーー
『さぁ、あとは自由だ。好きに冒険しろ。』
それだけ言い残して、先輩は消えた。
分かった様な分からなかった様な。。。。。まぁ、いいや。取り敢えず武器をゲットしなきゃな。
村の中をウロウロしてると、すぐに見付かった。
盾のマークの前に剣と銃がクロスしている絵が描いてある建物があった。この雰囲気で武器屋じゃなかったら、世界観を疑ってしまう。
「こんにちは。」
ボロい扉を開けて中に入ったけど誰もいなかったので声を掛けてみた。
。。。。。
反応がない?
『おぅ。なんだ?見慣れない顔だな。新入りか?』
声を掛けてから少ししてから出てきたのは、見るからにドワーフ。ずんぐりむっくりでひげもじゃ。でも想像よりデカイ。
身長は俺と同じくらいだから170ちょい?それで横幅があるんだから、引退した相撲レスラーかプロレスラーみたいみも見える。
『そんな所に突っ立ってないで中に入れ。武器が欲しいんだろ?見繕ってやる。』
ニヤニヤとしながら言われると色々な意味で怖い。
『コッチに来てから、どの位だ?まだ武器もないくらいなんだ。魔法も出来ないだろ?』
矢継ぎ早に話される内容に慌てて
「来たのは1時間前くらいです。魔法は試してないので分からないです。」
正直に答えたら、目を丸くして固まった。フリーズ?サーバーに負荷が掛かった?
『あぁ、すまん。そこまで自然に身体が動かせるんだから、もう2~3日はコッチにいるのかと思ったぞ。凄いな。』
何が凄いのか分からないけどドワーフは感心してるみたいだし、よしとしとこう。
ココで余談だけど、この世界に来て身体を動かすのにはコツが必要らしい。自分の身体なのに自分の思うように動かすのには、暫くの時間が必要だとドワーフが教えてくれた。ついでにドワーフのオッサンは、【ターナー】と言うらしい。
『それで武器を取りに来たと言う事は、一通りおそわったんだろろ?魔法は何回試した?』
ターナーのオッサンがお喋り過ぎる。
「試してない。と言うか、どうやればいいのか分からないです。」
とナンパ男に何も教わってないことを伝えた。先輩の指導力の無さをチクッてるみたいでイヤだけど、入社日からウソをつく様な事はしたくなくて正直に伝えた。
ナンパ男め。怒られやがれ。