レベル18のトップランカー
そこにいたのは、想像とは違う爽やかな好青年でした。
だだし
『ねぇねぇ、仕事終わったら、ご飯行こうよ。美味しいイタリアンの店を見つけたんだよね。』
受付をしてくれたお姉さんを絶賛ナンパ中でした。
困ったお姉さんは、助けを求める様に隣の受付のお姉さんを見てるけど、他の人の対応に追われて助ける暇がないみたい。そんなところに依頼主の自分が現れたから、助かったと目をキラキラさせながら
『新人冒険者さまが来られました。では、あとはお願いします。』
そう言って、ニコニコと手を振っている。受付のお姉さんからしたら、厄介払いが出来たんだから、ニコニコもしたくなるってもんなんだろうね。
『君が新人冒険者??男かぁぁ。。。。』
明らかな落胆の声を上げる好青年改めてナンパ男。
振り向いての第一声がそれって、どうなんだろう?
「宮村洸と言います。入社式が終わったばかりで何も分からないので、ご指導お願いいたします。」
先輩に対してなんだから、この程度の敬語でいいと思うんだけど。とか思いつつ深々と頭を下げる。
『真面目な奴だな。そんなに硬くならなくてもいいって。あと入社したってより、冒険者になりたてって言った方がいいんだけどな。
まぁ、入りたてなら、ココは頭のイカレた奴らの集まりみたいだって思うだろうけど、すぐに分かるさ。ココは特別なんだ。』
よく分からないけど着いてこいと促されたので、後ろを歩きながら話を聞く。メモろうと思ったけどメモる様な内容でもないな。
同じ部屋の無骨なテーブルにナンパ男が座ったので、向かい側に立っていると、座れと合図をしながら片手を上げる。
『俺はビールと枝豆、えっと。。。コウだっけ?何飲む?』
とメニューを渡されたのでコーヒーを頼む。
『何だよ。遠慮しなくてもいいんだぞ。ここはタダだしな。』
そう言って笑っている。金額の問題じゃなく職務中に飲むことが問題だと思う。そんな自分の考えをよそにビールが運ばれてくるとグビグビと飲む。本気飲みだし。
『今のウェートレスは、止めとけよ。彼女は既婚者で相手は、ここの重役のバカ息子だ。さすがに冒険者ギルドでも面倒事は抱えたくないしな。』
ニヤニヤとウェートレスの後ろ姿。。。と言うよりスカートから出た脚を見ている。
本当にこの人でいいんだろうか?頭が痛くなってきた。
『さっきから俺ばっか喋ってるな。大人しいんだな。
まぁ、いいや。俺は、リョウだ。レベル18。トップランカーだから、まぁまぁ名前は知られてるはずだ。
んで、新人冒険者だし、色々と知りたいだろ?
時間も勿体ない。要点だけ言うぞ。難しく考えなくていいから、よく聞けよ。』
この人もロープレ廻す厨二病と言う不治の病を患っているのだろう。可哀想な人だ。
『お前、可哀想な人だと思っただろ?すぐに分かる。
部屋を貰っただろ?あれはお前の部屋だから好きに使え。大半の奴は、そこで生活するな。まぁ、寮みたいなもんだ。
食事は、ここでも上のフロアでも喰える。冒険者カードを見せろ。それでタダ飯にありつける。
本題の仕事だが、冒険者になったんだから、冒険が仕事だ。
部屋にデカい玉があっただろう。それに入れ。
カードをかざすと玉の上が開くから、そこから入ればいい。
よしっ、説明は終わりだ。さっさと部屋に行って言われた通りにしろ。
あと、言われたところまでしたら、あとは待て。すぐに行く。』
言いたい事だけ言うと席を立ち、部屋を出ていくリョウ先輩。何もかもが分からない。余計に分からなくなってきた。
それでも先輩の指示に従うしかない。アレでも先輩なんだから。
でもレベル18とかトップランカーって、何の事だ?本当にゲームするのが仕事なのか?
自分もあの人たちの様に厨二病と呼ばれる不治の病に犯されてしまうのだろうか?不安しかないし。
とか色々と考えながらでも、何とか自分がの部屋に辿り着いた。
「はぁ。。。。」
デカい会社に入社出来たし、こんな高層階に個室までもらったのに、なんでこんな溜息がでたのだろう。。。。
先が思いやられる。