↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/4

コミックマーケット89で頒布を予定しているライトノベル合同誌の寄稿作品です。

頒布支援も兼ねてご許可を頂き掲載いたします。

 確か眠りについていたはずの俺が、夢の中で不思議な体験をした。

 あるはずのない四肢の感覚、五感の全てが冴えわたる様に爪先にも髪の毛の触れる頬にも、確かな感覚がある。

 双眸を開いて瞼をひとこすりしたところで、ここがまるで現実の世界の様に感じたのだ。

 けれどもここは明らかに、俺の知っている世界ではない。

 周囲は暗くそして豪奢な神殿の様に荘厳な雰囲気だった。

 いくつも天井に向けて伸び上がっている支柱には、それぞれ蝋燭の炎が震えていた。

 足元は、足元はどうなっているんだ?

 そこには俺を中心に大きな多重の円陣が刻まれており、見たこともない文字列がそこを走り抜けていた。

 もしかすると上位古代文字というやつかもしれない、見たことはないが、俺はそれを知っている様な気がした。

 この不思議な感覚。

 夢の中にしては妙にリアルな実感が俺の厨二病的感覚を満足させた。

 そして俺の目の前に、ひとつの玉座がある。

 安楽椅子のひじ掛けに体重を乗せて、とても不機嫌そうに頬杖を付いたその存在こそが、夢の中のリアル、リアルの中の夢に心地よく浸っていた俺に、大いなる冷や水を浴びせかけてきたのだった。

「お兄ちゃん!」


 俺の名は忘れられたひとつのファンタジー世界を紡ぎあげた創造神にして現実世界の大学生、天野照人である。


「お兄ちゃん! お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん、お兄ちゃん!」

「おっ応っ」

「いったいいつになったら、WEB小説の続き書いてくれるの?! お兄ちゃんがいつまでたっても続きを更新してくれないから、あたし世界を征服できないんだよ!」

 そして目の前で俺をひどく不機嫌そうに睨み付けている愛らしい顔の赤髪少女こそ、俺の妄想上にだけ存在している愛すべき妹、クフィルちゃんだった。

 そう、彼女こそ……

 誰にも教えていない、高校生時代にとある小説投稿サイトにこっそりと投稿し続けていたライトノベル風異世界ファンタジーに登場する魔王だったのである!

次回投稿21時です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。