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第十八話

「桃桜がガキ共の学校前に待機したぜ」

「ああ」

「どーすんだ?」

「どうもこうもねェさ。これはこれで手筈通り。記憶保護に辿り着いている水華だ、わたしらとの過去に気づかんわけがあるめェ。となるとだ」

「どうなるんですの?」

「姫巫女とワン公がわたしらのことをクソ正直に話すわけあるか?捏造カマしてるはずだ。それに気付かない水華じゃねェ。違和感にピクつく」

「なるほどですわ」

「バチバチになるはずさ。姫巫女が水華達をどう思っているか、どう処理するかにもよるが。もう一粒の種もある。それを咲かすさ」

「あんのかー?まだ何か」

「ああ。その為に奴らが姫巫女のところに、まァすぐ行くだろうがよ、その時は皆揃ってピクニックだ」

「いつですの?それは」

「さァな。ひょっとすると今日かもな」

ミルクコーヒーを飲み煙草をふかす。

「にしても、やはり6対4になると中々の拮抗でございますわね。お子様方はまだ全快ではなさそうですが」

水華組の四人に加えて四人いたガキ共のうち二人日本刀を振り回す"すずか”と氷を操る“ありす”の二人は戦線に復帰、わたし達と刃を交えている。水華の判断か本人の申し出か、残りの二人はバトルに介入してこない。

「鈴に関してはあいつ初心者の霊力量だぜ?んだよーあの強さ」

何度かゲリラ戦をけしかけたが決定打には至らず。わたしらが楽しいからやっているだけだが。

「サラはもう待機したか?」

「おう。ガキ共の学校近くにいるってよ」

「そうか」

水華が解除し鈴がパーティーを離脱した場面からの予測。さすがに和解まで読んだと言ったらこいつらは大なり小なり不安を覚えるだろう。それでも、わたしの頭で描いた通り。水華がわたしの手で転がっているとは思わないが。

「ですが、どうやって冥界に行ったと判断するんですの?家に隠れるわけにもいきませんわよ」

「んな自殺行為しねェよ。わたしがやるさ、“空間認識”をな」




--------------------





「すみません楯、それではよろしくお願いします」

『わかったよー!鈴鹿ちゃんから連絡きたらタクシーするね!』

「はい、待っていますね」

電話を切る。家にはわたしとリセと桐子が冥界へ行くため集まっていた。

「二人とも、ビン、持っていますか」

「え?あ、うん、一応あるけど」

桐子が二つ取り出す。

「どうしたの?」

「ひょっとしたら、使うかもしれませんので、一応それを」

「使う?ナギ、達が来るかもってこと?」

眼帯を触る。リセは言った、ナギ達が来るかも、と。

「そうですね、その可能性が」

言わなくても、いいだろう。その時が来たら体が動く。死ぬわけにはいかないのだから。

「でも、冥界だよ?ナナがゲートを空けないと入れないのに」

「彼女達も行った可能性があるんですよ。仲間だった頃に。加えて彼女達は自らゲートを開くことができるようです。いつ現れても、戦いを仕掛けてきてもおかしくないです」

「……ナギ達は、記憶、あるんだよね?」

「彼女達の発言から察するに」

「苦しく、ないのかな」

リセは目線を落とし紅茶を啜った。心優しいリセだから例え記憶が無くてもかつて仲間だった、後輩だった頃のことを思うと胸が痛むのだろう。気持ちはわからないでもないがわたしも恐らく桐子も戦わなくてはという心理が強く働き、結果わたし達は毎日も刃を交わしている。

「仲間だった上で攻撃する理由は、本人に聞かないとわかりませんが」

「そうだね、うん。桐ちゃん、体調は大丈夫?」

「ん、うん。大丈夫。最近は体動かしてるおかげか良いくらいなんだよね」

桐子の言葉にわたしは苦笑いを作り、それから震えた携帯を開いた。

「楯、合流したそうです。このままここに来るみたいですね」

「お茶準備してくるね」

「すぐに出発しない?」

あそっか、と立ち上がって止まるリセ。

「ゲート開くのに時間がかかるので、お茶を飲む時間くらいはあると思いますよ」

「わーい、じゃ、やってくるー」

ぱたぱた台所に向かって行った。顔を合わせ笑うわたしと桐子。

「なんであの子は嬉しそうなのよ」

「世話好きですからねぇ」




--------------------




「ゲート作り出したな。ガキ共も一緒だ」

ナナによる異空間ゲートの反応を確認する。本当に今日だとは。おそらく鈴とのケンカ後に和解、それからナナと会話で今日に至ったのだろう。

「サラ、座標調べてくれ」

「……うん」

見張りから戻ったサラが座標観測を開始。

「冥界、入れんのか、あたしらが」

「冥界の中の中なら無理だろうがな。前行ったあの位置なら大丈夫だと思うぜ」

「あれが最深部ではなかったんですの?」

「違うはずだ」

冥界に雑魚はいない。一番弱くてガキ。

「あのよーナギ」

「ん?」

「水華達はまだいい。姫巫女に勝てんのか?」

「カードを切る。奴が対当してきたらの話だがな」

「そろそろ教えてくださいませんの?そのカードとやら」

「一枚目はこちらが持っている情報。あちらも掴みかけているはずだが、姫巫女と水華達で違いがあるだろうよ。姫巫女側としてはそれを知られたくねェはずだ」

「むやみに攻撃してこないってことですわね」

「いや、むしろ口封じの為に即潰してくるんじゃねーの?」

「そのための二枚目と三枚目だ。二枚目がゴリと雑魚。純粋な幹部がこちらにはまだ控えている。水華達相手には勝てねェだろうがガキ共にあてがえる。雑魚兵まで対処はできねェ。こいつが二枚目。三枚目は、こいつはあちらも持っているがウチの総大将様さ。オオトウ様が姫巫女とファックしている間姫巫女はストップする」

「姫巫女が止まり、ガキ共はゴリが対応、あたしらが水華達を止めりゃ、雑魚兵がいる分こちらの有利ってことか」

「なるほど、勝ち勝ちですわ」

「こっちにゃ最後の切り札もある。古くから使われた手だが、有効だ。が、これはあくまで最終手段。お前らのテンションもガン上がりになるぜ」

「お祭り騒ぎですわね!」

キョウが楽しそうに紙パックの紅茶をかかげた。

「座標確定からゲート開くまで時間もかかる。それまで戦闘準備してろよ」

「言われなくてもだぜ」

「ですわ!」




--------------------






リビングの人数が多かったので自分の部屋で待機していると鈴鹿ちゃんが入ってきてそんな会話からはじまった。

「改めてなんだけど、ありがとうございました。あの、ナギ、達がはじめて来たとき」

「大丈夫ですよ。鈴鹿ちゃん達ももう体は大丈夫のようで」

「なんだか護衛までつけてもらっちゃって。助かる」

「あれには、不意打ちだったとしても勝てませんから」

「うん。イレギュラーだったけど、私達だけだったらやられてた。ありがとね」

「皆さんが無事ならいいんですよ」

椅子の肘掛けを撫で、それから髪を触ってからそっかと鈴鹿ちゃんはつぶやいた。

「あの人たちは、何なのかな?幹部?」

「そのことについての話し合いも後で、姫巫女様のところで行いましょう。安心してください、皆さんはわたし達が守ります」

「あれには、勝てないよ」

指を組む鈴鹿ちゃん。

「不意打ちの一発目以外はある程度は戦えていると思う。けれどここ最近ね、肌で感じてた。とんでもない霊力。前戦った幹部もあんな感じ。あんなのを従えてる総大将だなんて」

「鈴鹿ちゃん。あれは本当にイレギュラーなんですよ。負けたことも、気にしないでください。あれは、わたし達が担当します」

「担当ったって」

「解決しますから。ね?」

「いや、四季さんが言うならいいんだけどさ。アリスあたりがちょっと心配してるから、どうかなって。でも、やっぱり先輩達がいてよかった。ありがとう。助かった。命の恩人だよ」

気にする必要はない。鈴鹿ちゃん達に解除はまだ無理だろうし、これはわたし達と彼女達の問題だ。ナナ曰くこちらを裏切った理由はわからないが、おそらく。

「四季、ナナが準備が出来たって」

「わかりました。行きましょう、鈴鹿ちゃん」

「うん」



「良く来たの、巫女らよ」

鈴鹿ちゃん達は姫巫女様と会うのは二度目になる。驚くこともたじろぐこともなく椅子に座っている。

「姫巫女様、先日の襲来についてなのですが」

「妾の子から報告は聞いておるよ。どうにも不可解な敵が現れたとか」

「順を追って説明させていただきます。一週間ほど前、通常通り敵一般兵の襲来を退けた直後、発生した空間にこちらの、巫女の四人が閉じ込められました。不意打ちではありましたがそこで四人は倒れ、空間が消失し四人の女性が我々に敵対行動を取ってきました。ある程度の戦闘をこなしたあと四人のうちの一人が再生の欠片を口にし“解除”、こちらも同じ手口で対応、一時的な撃退に成功しました。これが一週間ほど前です」

「解除、かえ」

「はい」

「話を止めてしまうがの、今まで解除にまで至った巫女はそう多くはなかったよ。解除そのものが可能だった巫女は多かったがの」

「可能なものなのですね」

「先人の巫女が開発したものでの。詳しい話は、何じゃったか、すまぬの、年寄りじゃて忘れてしまったが、とかく爆発的な霊力と己が素質のいわば覚醒を得ることができるものじゃ。確か記述が残っていると思うが、必要かえ?」

「お願いしたいです」

持ってこさせるよ、とナナに似た妖精を呼び出した。

「説明に戻ります。戦闘の翌日、昨日わたしが自分の家に帰ると四人のうちの一人が侵入していました。結果戦闘には至りませんでしたが我々の仲違いを狙っていました。それから数日に渡る突発的な戦闘。それまでの言動や我々の戦い方を知っている節から考えて、我々の後輩ではなかったのか、という仮説に至りました」

「ん?どういうこと?」

姫巫女様の返事を待たずに鈴鹿ちゃんが言葉を飛ばす。記憶保護に関することを伝えるべきだろうか。

「お主ら小さい巫女は関わっていない話じゃがの、戦闘というおよそ日常からかけ離れた行為に携わる巫女は、不慮の事態に陥ってもそれをなるたけ影響とならずに続けられるように記憶保護と銘打ちそれに関する記憶を調整しとるわけじゃよ」

「記憶改竄、って、こと……ですか?」

ザワつく鈴鹿ちゃん達。リセは当時から、桐子にはあの日、楯にはその後で伝えたため平常どおりだった。

「と、言うと大げさじゃの。妾が必要だと判断し五年前行った。密としていたのも妾の判断じゃ。悪かったのう、お主らのことを思ってのことじゃ、許してたも」

「あ、いえ、大丈夫、ですが。……四季さん」

「わたし達も仮説でしたがそれに辿り着いていました。黙っていてすみません」

「なんていうか、うまくまだ飲み込めませんけど。気にかけて、くれたんだよね?」

「ええ」

「ちなみに姫巫女さん。私ら四人にはかかってんですか?」

「小さい巫女らはそういう状況にぶつかってないのでな。使ってはおらぬよ」

「そっか、なんか良かった」

「せやな。て、先輩方はかかってるんやろ?良かった言うんは微妙ちゃうか?」

「あそっか。えーと、先輩達は、かかってるんですよね?」

質問をしつつ鈴鹿ちゃんアリスちゃん藍ちゃんは記憶保護について考えをめぐらせたりわたし達の心境になっているようだった。莉子ちゃんだけはまだ飲み込めていないようだが。

「あの四人に関して、保護がかかっています。あの四人は皆と同じ、わたし達の後輩です。皆さんからしたら先輩にあたりますかね」

「その元巫女らが我らを裏切りこちらを離れた。今は敵側に付きこちらと敵対しておるというわけじゃ」

「裏切ったって、え?」

ぱたんと持っていた扇子を閉じ、それから開く姫巫女様。

「話を戻す。突如としての。何年も姿を見せていなかった故どうなったかと思っておったが、本格的に対当してくるとはの」

「今後の動きと彼女達の目的が見えてない以上、こちらもどう動こうかというところなんですが」

「殺せ」

「……ですが」

そう返事するのに八秒かかった。

「あやつらはもう敵じゃ。お主らが躊躇せぬために記憶保護をしたがの。記憶保護そのものに気付いたのはさすがじゃよ、水華。お主は歴代の巫女でも飛びぬけての頭脳派じゃ」

「それは、どうも」

「現にお主らに敵対行動を取っておる。止めるには、殺すしかないのじゃ」

だから殺せ、と姫巫女様は言う。表情を変えずに。

「それでも。“例え記憶が無くても”彼女達は我々の後輩です。結果無理だったとしても、説得する機会は設けたいです」

「はい?」

正面の姫巫女様でなく右隣からその声は聞こえてきた。首を曲げると眉を上げた鈴鹿ちゃんがわたしを見ていた。

「何言ってんの?」

「鈴鹿ちゃん」

「“あれ”、私らの敵だよ?ウチのメンバーをボロクソにして世界を壊しかねない脅威だよ?話し合う?は?」

「脅威足りえるのはわかっています。ですが、あなた達と同じ後輩なんです。わたし達にとっては」

「同じ?あの敵が私らと同じだっての?ねえ四季さん、おかしいよ。大丈夫?」

ぴりぴりと霊力を感じる。鈴鹿ちゃんが殺気を、いや違う。

「四季!皆も!姫巫女様の言う通りに」

「下がっておれ妾の子よ」

「……はい」

ナナは屋敷の方に飛んでいった。

「水華よ」

右に神経を集中しつつ姫巫女様を見る。

「その子らの言う通りじゃよ。あやつらは敵。殺すべき敵なのじゃ」

「結果敵となるかもしれません。ですが」

「もう結果は出ておる。雨が必ず止むように、あやつらは何があっても敵なのよ」

「……しかし」

「もうよい。もう少し頭の良い子じゃと思ったのにのう」

姫巫女様はため息をひとつつきそれから手をぱんと叩いた。それだけでは何が起こったか誰もわからないだろうがわたしの空間認識は答えを導き出していた。

「お主らは何もせんでよい。小さい巫女よ、存分に殺せよ」

「任せてください、姫巫女様」

鈴鹿ちゃんは立ち上がり頭を下げた。三人がそれに続く。

「え?え?」

「四季、これって」

「お役目御免ですね、四季さん。ま、任せてくださいよ」

わたしは理解していく。この状況に。ここにいるすべての人物の状態に。

「扉を作ってやれ、妾の子よ。大きい巫女が帰るぞ」

「待ってくださ

「ハッロォオオオオオオオオオオオオオオウ!!!!!!!!」

強烈な霊力。連続のナギ、達がそこにはいた。

「ハトがサン・バルテルミ食ったような顔してんぜ各々方。ハッピーかァ?」

中指を立て嬉しそうな顔をするナギ。

「噂をすれば、じゃの。妾は帰る。不貞の輩は処理すると良いぞ、小さい巫女よ」

「待ーてーよークソ姫様よう。テメーにだって会いたかったんだこっち向けよ。オイぶん殴らせろよオイ」

つかつかと歩いてくる四人。姫巫女様はもうこの空間からは消えたようだ。

「姫巫女様の命で、あなた達を殺します」

武器を出し即座に抜刀する鈴鹿ちゃん。

「おーおーおっかないねェ。テメーらは以前ボコってやっただろ?隅であやとりでもしてなガキが」

「ですわね。また準備運動させてくださるんですの?」

「ナメんなよ、“鬼くずれ”」

「カッ、いい声だよ、ガキ。名前を聞いてなかったな?」

「今川鈴鹿」

「イマガワスズカ。いい名前だ。六分は覚えておいてやんぜ」

「ナギ。少し話をしましょう」

「そうかしこまりなさんな水華。ブッ殺し合う仲じゃねェか」

「四季さん。黙っていてください」

「ちょっと、どうしたの鈴鹿ちゃん達。急にそんな」

桐子も、口にはしなかったが楯もリセも違和感を覚えていることだろう。

「なーるほど?読めたぜ?こいつらカカりやがったな?」

「何にだよナギ。って、まさか?」

「……その……まさか……」

「何?何ですの?いえ勿論わかっていますわよ?」

ナギ達はすぐにそれに辿り着いた。その結論に。

「ええ。“記憶保護”させられた可能性があります」

「なっ!」

「ええっ!?」

リセと楯が声を上げる。桐子は警戒しつつ考え込み、鈴鹿ちゃん達の耳には入っていないようだ。

「んで?何だよ話って」

「あなた達の本当を知りたいんです」

「四季さん!いい加減にしてよ!!こいつらは敵!!世界を、私の弟を殺すかもしれない敵なんだよ!!」

鈴鹿ちゃんの声が響く。刀を持つ手が軽く震えていた。

「ごめんなさいね、姫巫女様の言うことは絶対なのよ」

「うんうん!姫巫女様の敵は、悪いやつはやっつけないと!」

それぞれ武器を出す藍ちゃんと莉子ちゃん。

「ごめんなあ先輩方、一応、わたしらのリーダーの言うことやから」

「あ?待て、そこの、ガキの、ちっこいの」

「ん?私?」

莉子ちゃんが自分の顔を指差す。

「テメーの名前は」

「オイ嘘だろその顔!」

「名前ー?甲木莉子だよ?それがどうしたの?悪者さん?」

「チッ、あのクソ姫!!“やらかしやがった”!!」

ナギの言葉表情からある程度の予測は出来たがその動揺にわたしも少し心を揺らした。

「話終わった?そろそろ殺すよ?」

「やってみなイマガワ。“桶狭間”されてェんだろ?」

「あーあー、それ、“マジで私のNGワード”だわ、駄目だ。殺す」

神速の一太刀目をナギの鋼線が止める。

「鈴鹿ちゃん!」

「四季さん。あなた私を止めたいんですか?こいつを止めたいんですか?おかしいよ!何で殺さないの!姫巫女様が言ったんだよ!!」

「おうおう、宗教ってこんな感じなんだろうなァ」

「うるさい黙れ!」

「しっかたねェな。オイお前ら、ガキ共の相手してやんな」

「おーよ!」

「返り討ちしてさしあげますわ!」

「……死なない……程度に……」

「みんな、応戦!」

戦いが始まっていた。当事者であるはずだがわたし達のチームは蚊帳の外気味だった。

「皆さん!止まってください!!」

「無理言うなよ水華。姫巫女特製記憶保護の真骨頂は“自らの意思だと思わせること”だ。こいつらはただの木偶さ」

「やはりあなたは」

「オイ姫巫女よう!聞いてんだろ?あること無いこと言っただろうが、その正解を今言わせてもらうぜ?」

『お主らがこちらを裏切ったのは事実。そう伝えただけのことよ』

どこかから声がする。

「ハン、裏切った?こっちの台詞だバカタレ。テメーのせいで文字通り地獄を見たんだ。まだ巫女を食うか、姫巫女」

「やはり、そういうことですか」

『やはりお主らは信用ならなかったのう。もういらぬ。小さい巫女よ、水華達も反逆の徒じゃ、殺せ。そのための力は与えようぞ』

「了解!」

鈴鹿ちゃん達のパワーが上がる。

「皆さん、わたし達への霊力供給がなくなりました。すぐに欠片を」

「戦うの?四季」

「あの子達を止めることが最優先です」

まだ体内に霊力は残っていたがビンを取り出し飲む。三人にも指示。

「皆さん、皆さんを、止めてください。インカムがないので判断は任せます」

「ハッ、こいつァいい!お前ら、好きに戦えよ!まわりは戦う相手ばっかりだ!!イェア!!!」

「ナギ、待ってください。わたし達は」

「この状況を楽しまずにどうすんだブァーカ!わたしを抱いてくれよ、な?」

「ちぃっ、あなたは、どっちなんですか?」

「何にせよ話し合いのムードじゃねェだろ?」

「私を無視すんなあああああ!!!!」

ナギの鋼線を弾きわたし達に攻撃を行う鈴鹿ちゃん。動きを操っているのではなく、感情や記憶をコントロールしている。姫巫女、が、やったことだ。

「ま、たってもねェ水華の願いだ、ガキ片手間にオハナシしてやんよ。何からにする?」

「水華ぁ!!」

ステップからわたしを斬りつけてくるが銃身で防ぐ。ぎりぎりとわたしを睨む鈴鹿ちゃんはそのままクナイでナギに牽制するが軽く弾いていた。本気でわたし達を同時に相手するつもりらしい。

「邪魔をするな、邪魔をするな」

「鈴鹿ちゃん、大丈夫ですから」

「オイ、このガキどうしてこうなった?急に倒れたり、誰かが殺されて慄いたか?」

「いえ、急にのことでした」

わたしとナギを交互に攻撃するナギちゃん。出力が上がっていた。

「じゃあ今もあのクソ姫が自らの霊力で操ってやがんな。心を折った状態じゃねェと完璧な記憶保護は不可能だ。それに記憶保護をさせるにはそこそこの時間がかかる。さっさと倒した上で地上に持ち帰ってやんな」

「それは本当ですか?」

「マジもマジだ。対象の脳内の情報を操んだぜ?それくらいの条件化じゃねェとさすがのクソ姫様でも不可能ってわけさ。おい抜刀少女、あくびノンストップだぜ?」

「黙れ!!」

「黙らせてやるよ。永遠コースもあるぜ?」

「ナギ!」

右から飛んでくる鋼線を撃ち落とす。

「テメーともファックしたいんだ。この今川も中々美人だが、やっぱりテメーが一番だぜ水華」

「まだ思い出していません。ですが!」

右手でナギの、左手で鈴鹿ちゃんの対応。

「あなたは、わたしの妹です!」

ナギの腕が止まる。

「あ?」

「いつまで喋ってんですか!四季さんも、お前もぉ!」

「ちょいと黙ってろ」

ナギが右手の鋼線を鈴鹿ちゃんに突き刺す。両手両足に一本ずつ。

「ぐがっ!」

「わたしにその記憶はありません。ですがあなた達が後輩なら、あなたがそのリーダーなら、あなたを愛したはず。妹のようにしたはず。“わたしの認識するわたし”ならそうするんです」

「……辿り着き過ぎだ、テメーは」

「話をしましょう。その上で気に入らないならわたし達も戦います」

鈴鹿ちゃん組が姫巫女の後押しによるオーバー出力の中全力必死で、ナギ組は楽しむように、わたし達は止めるために戦闘している。ナギ組もわたし達も余力は残している。

「わたしらの目的に繋がるんなら、それでいいぜ」

「まずは、あなたをどう呼んでいたか、教えてください」

「お前ら、水華組とは一時休戦だ、ガキ共を倒す。殺してやんなよ?可哀想に、まだヴァージンなんだぜ?」

ナギがインカムを飛ばす。

「上手い茶、出せよ」

「わかっています」

「もう怒った。キレた。舐めすぎ。私を誰だと思ってやがる」

鈴鹿ちゃんが武器をしまう。

「私を今川鈴鹿と知っての事か。跪けよ頭が高ぇ。神楽覚醒、第四号から第一号まで省略申請、素質拘束“霊力変換:摩擦係数”、解除」

飛び出す光の柱。ナギが鋼線を引き抜いた。

「もう、殺す」

巫女服に姿を変えた鈴鹿ちゃん。鈴鹿ちゃん組の残りの三人も解除していた。日本刀をもう一度出し構えを取っている。構えを取る。びりびりとした霊力。これは、ナギ以上だった。

「オーバーワークだぜ、クソ姫」

「今、解放しますからね。鈴鹿ちゃん」




第十八話 華よ舞えあの天をかち割って おわり

     to be continued……


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