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第十七話

「なァんだか取り込んでるみたいだからよ、失礼すっぜ巫女共」

「あなたの、あなたの仕組んだ

「今は鈴とのファックが大事だろうよ?お相手してやんな」

笑いを抑えられない。ここまでドンピシャだとは思わなかった。作戦通り。

「じゃあなビッチ、終わったら連絡してくれよ」

ゲートを作りチカと入る。待ちなさいと後ろから叫ばれるが無視、ゲートを閉じキョウがいる元へと戻ってきた。強く手を叩く。

「イージークレジット!大成功さ。あとはあいつらが勝手に潰し合うのを待てばミッコンだな」

「お疲れ様ですわ。追撃の必要はないんですの?」

「ここで一気に殺しても勿体無ェだろ。あいつらのうちどちらか、ま、水華が生き残るだろうが倒れりゃ御の字、ナカナオリしてもそれはそれで当初の想定通りさ」

「仲直りの可能性?あるかー?ブチ切れだったぜ鈴は」

「あら、それは是非見たかったですわ。サラさん呼びますわね」

キョウが電話を取る。

「でも、よくわかったなナギ。あそこがいがみ合ってるって」

「五年前からその節はあったぜ。昔話でもそれ臭かったからよ」

「ええ。もう帰ってきてよろしくてよ。ええ。ええ。お待ちしておりますわ」

「さァて、どう出るかどう出るか、楽しみだねェ」

わたしは短くなった煙草を消し、新しく一本咥えた。




--------------------




「楯とリセは?」

「鈴鹿ちゃん達の護衛です。夕方からわたしが担当する予定でしたが」

「じゃ、ナナ呼びなよ。戦ってるの見られて通報されるのも嫌だし」

「連絡します」

河川敷に向かい桐子の運転で車を走らせている。リセに電話。ナナを貸して欲しいとだけ伝える。

『わかった、伝えておくよ』

電話を切る。

「今呼び出しました」

「そう」

沈黙。

「あの」

「何?」

「桐子は、どうやってわたしの家に」

「それ関係ある?」

「気になってしまって」

「あんたが勝ったら何でも答えるし従う、でも負けたら関係なくなるよね?今違う話しないでよ」

「すみません」

衝動的にわたしを憎んだのならあの場で攻撃してきてもよかった。そうせず周りの状況も考えてしかしわたしと戦うつもりの桐子。正解を導き出したいところだが、十年来の友人にああ言われてまともに判断できるわけがない。どうするのが一番。一番だろう。



「桐子」

「や、ナナ。悪いんだけどフィールド作ってよ」

「いつもの戦闘での広さでお願いします」

ナナは特に質問もしてこずわかったとだけつぶやき空に飛んで空間を作った。何歩か歩きわたしに対当する桐子。

「覚悟しなよ、四季」

桐子が息を吐き両腕につけたリングを槍に形状変化させる。それが限界、と昨日言っていた。

「桐子、今のあなたでは」

「んなこと!やってみないとわかんないでしょうが!!」

わたしにダッシュし槍を突いてくる。かわすと横に払いそれもかわす。

「はっ!」

さすがの戦闘センス。二年ほど身を引いていたとは思えない動きだ。幼い頃から訓練していたという鈴鹿ちゃんに敵わないにしても他の巫女の中では飛びぬけている。息が荒いのは運動によるものではなく霊力を保つのが難しいからだろう。

「避けてるだけじゃ!」

このまま避けていても簡単には疲弊してくれないはずだ。かといって銃を向けるわけにも。

「らっ!」

「ちぃっ」

すんなり避けるだけというわけにもいかない。フェイクを織り交ぜながらわたしに刃を振ってくる桐子。今の状況だからこそ避けることが可能だった。全盛期の彼女ならわたしはこうも避けられなかっただろう。

「ナメんなっ!」

かわしきれないと判断、わたしは右手にハンドガンを出し銃身で受け止める。

「やっと出したね」

「桐子」

「攻撃して来い!四季!!」

さらにスピードが上がる。空間認識を展開しなくても彼女の動きは予測できる。十年彼女の戦うそれを見てきたんだ。彼女の強さは知っている。だからこそ。

「四季!」

突いてきた槍を強く弾いてのけぞる桐子の喉元に銃を向ける。

「お願いします。これ以上はもう」

見たくない。弱い桐子だなんて。わたしが一発も撃たずに負ける桐子だなんて。

「屈するわけ、ないでしょうよ!」

槍の刃先から針状に変化しわたしに伸びてくるが銃で横殴り銃口を戻す。

「駄目なんですよ、桐子」

限界ぎりぎりの霊力運用だというのが当初の見立てだったが、戦闘を行ううち自身が活性化され受け取る霊力が増していったのだろうか。霊力が衰退する理由も明らかになっていないので結論を出すことは難しいが。

「だからナメんなって、言ってんでしょう!」

槍の形状変化をフェイクとしてとび蹴りをしてくる。かわしたところで槍の追撃があったが銃で防いだ。

「はー、はー」

「桐子、苦しいはずです。お願いですから」

「ハイわかりましたって納得できることじゃないって、わかんないかな!」

「わたしの意見も、わかって欲しいです!」

「十年も表向きは納得してたつもりだけど!!」

とっくに限界のはずなのに。素手格闘ならともかく霊力をフルパワーで使用しているはずなのに。

「はぁっ!」

ステップからの連続攻撃からバランスを崩し尻餅をつく桐子。

「桐子」

槍に銃を向ける。睨まれる。

「もうやめましょう」

痛い。一撃も食らっていないのに。

「争っている場合ではありません」

「ああ、あいつらが襲ってくるかもって。悪いけどそんなのよりもっと大事なのが今なんだよ」

「リーダーはあなたが引き継いでください。わたしの負けていいです。ですから、もう」

「何で?」

「あなたならできることですし、それでこの戦いが終わるなら」

沈黙。わたしを睨む目は治まらない。

「終わる?この戦いが?終わらせるためにはリーダーを降りてもいいんだ?」

「それであなたが傷つかなくて済むのなら」

「……どこまで人を!!」

槍を二つに分割しナイフへと変化させる。かわしきれない、いや、捌ききれない。

「くっ」

左手のナイフを小さな盾に変化させ後ずさりつつわたしの一発を防ぐ桐子。撃ってしまった。

「やっと撃ったね。四季。はー」

盾をまたナイフに戻す。目算で二割に満たなかった全盛期との比較だったが三割半程度にまで戻っている。やはり活性化か。

「あんたが戦わないのなら、リセを殺す」

その言葉の終わりとともにわたしは桐子の顔に銃を向けていた。

「やる気んなった?」

「正気で言ってるんですか」

「別にリセを殺したいわけじゃないよ。私にとっては仲間だし。でも、そうでもしなきゃあんた戦わないでしょ?」

「どうして、どうしてそこまで!」

「ケジメをつけたいんだよ!あんたと!!私自身にさあ!!」

再度突っ込んでくる桐子を撃退。ナイフを銃で弾き肩の辺りを蹴り飛ばす。倒れる桐子。

「がっ!」

「リセを殺させません」

「戦う?」

「あなたを傷つけたくありません」

「我侭だよそれは」

「あなたと、あなたの子供を傷つけるなんて」

「今それは関係ない!!」

「それを割り切ることなんて、できるわけないじゃないですか」

「それを了承すると、思うかあ!!」

ナイフを繋ぎ棒状にしてわたしに伸ばしてくる。後ろにかわす。起き上がる桐子。

「やっぱり強いね、四季」

伸びた棒を手首のリングに戻す。

「なんだか必死で戦えてるけど、まだまだ力がみなぎってくるってほどじゃない」

やはりここまできた。わたしの能力が拘束に向いているものならこうなるのも防げただろう。しかし。

「足りない。あんたと戦うには、まだまだ」

ポケットに手を入れ小瓶を取り出す。何かあったときのために常に持ち歩くように、と皆に言ったのは一度目の戦いが終わってすぐのことだ。

「ついてきな」

キャップを外し喉に流す桐子。あふれ出る霊力。

「これを使うのは初めてだけど、なるほど、これは凄いね」

「桐子」

結んで開く手が小刻みに震えている。霊力が飽和状態になると起こる現象だ。今の桐子には。

「いけません桐子!あなたの体がもたな

「遅い!」

ギリギリ反応し防ぐ。片手から伸びた針をわたしに仕掛けながら桐子は微笑を見せた。

「今なら飲んでいいよ?あんたの本気とやりたいし」

「これほどの霊力が母体に影響すると考えるべきです!これ以上は」

「人の心配を!!」

跳躍し剣に変化させわたしに切りつける。左手にも銃を出し両手で防いだ。がちがちと音がする。

「してる場合?死ぬよ?」

「やめてください」

「止めなよ、力で」

「あなたを傷付けたくありません」

「はー。どうしてあんたが勝つ大前提なの?再生の欠片使わなきゃあんた、死ぬよ?」

肌で感じ取られたのだろう、その通り、わたしはこのままでは桐子に負ける。

「あなたの子供を、見たいんです」

「あんたより見たいね、私は」

「わかりました。飲みます。終わらせましょう」

桐子の剣を弾き下がる。ポケットから再生の欠片を。飲んだ。

「そうでなくちゃ!」

「はっ!」

三発の打撃はすんなりと捌かれてしまう。ブランクを考慮しても接近戦では良くて互角、このペースの上昇値なら負けてしまう。

「撃ち落してみな!」

12本の針がわたしを襲う。ステップしながら撃つが四本ほど間に合わない。銃身で捌きつつすべてを落とした。肩に向け一発。盾が発生し防がれる。

「そういえば、本気で戦ったことなかったっけ?」

「中学の頃練習で何度か。わたしは全力でした」

「ま、前衛後衛で違うしねっ!!」

距離をとって戦った方が有利にことを進められるがそうさせてはくれない。手加減で戦える相手ではない。かといってお腹は絶対に駄目。

「らぁっ!」

「ちぃっ」

「その手加減がムカつくんだよ!!」

桐子の前進にあわせて後退、撃つ。彼女の左肩に直撃した。

「がっ」

「止まってください!桐子!」

「ここで止まるわけないでしょう!」

「わかりました」

出力を上げ銃撃。両肩にあてるとのけぞった。わたしの二歩目と同時に傘を作り前に向ける桐子。

「動かないでくださいね」

足を止め傘を打ち抜く。傘がよろめく。

「あなたはわたしには勝てません」

銃撃を続けると傘が消失した。左肩をおさえ片膝を付き近づくわたしを睨んでいる。

「だからもうやめましょう。気に食わないなら好きなだけ殴ってください」

「んなこと、できるわけないでしょうよ」

「どうしてですか」

「まだ、負けてない!」

よろと立ち上がり服を払う。

「神楽覚醒」

この一言で止めるべきだった。

「第四号から第一号まで省略申請、素質拘束“形状変化”、解除」

立ち上った光の柱が消えると、微笑んだ桐子が立っていた。巫女服。

「私が使えないとでも思った?使えるよ。あんたの説明のおかげでね」

昨日の説明。一度解除を経験したわたしが三人に解除の仕方を伝えていた。

「再生の欠片で得た大容量の霊力を自らの内側に送り込む。魂、なんて曖昧な表現をあんたはしたけど、言いたいことわかったわ」

再生の欠片を使用したらわたしの認識にひっかかる。昨晩も今日もそれはなかった。練習はしていない。一発本番で成功させたということ。

「あとは魂に、自分自身に宣言する。解除コードだっけ?あんた命名の。私が使える器だってのは嬉しいけどね」

初めてナギと対峙した時、いやそれ以上にわたしは慄いていた。相手が桐子だから?殺されるかもしれないから?わからない。

「素質スキルの解除と霊力の底上げ。なるほど、確かに何でもできそう。撃ちなよ四季。戦わないと死んじゃうよ?」

敵意のある霊力にわたしの指が反応した。二発の銃弾が桐子に飛んだと思ったら針のように細くなり急降下、地面に突き刺さった。

「凄い、本当にこんなことできるんだ。どうしたかわかる?認識した?」

「ええ」

「答え合わせ」

「わたしの銃弾を、形状変化しましたね」

「ふふ。あたり」

わたしの銃弾に込めた霊力を上回ったのか桐子が放った形状変化神楽は遠隔発動し針へと形を変え地面に突き刺さった。

「これね、凄いよ四季。あんたの殺し方が何通りも思いつく!」

地面が崩れる。恐ろしいとは思っていたが、ここまでか。

「はっ」

跳躍、そのまま撃ち込む。

「効かない!効かないんだよ四季!!」

先ほどより出力を上げたがノーモーションで作った盾に弾かれこれまたノーモーションで二本の鞭状に変化した神楽がわたしに迫ってくる。迎撃するが撃ち落せない。わたしを飛び越したと思ったら思い切り地面に突き落とされる。銃を向、わたしは殴られていた。

「がはっ!」

まだ宙に浮いたわたしはそのまま蹴り飛ばされる。霊力でガードしてこの痛み。やはりの強さだ。

「これで終わりじゃないでしょ?立とうよ四季」

針がわたしの右肩を貫く。

「がっ!!」

「使わせないけどね。解除したあんたなんて、怖くて仕方が無いし」

激痛をこらえつつわたしはひとつ動作をしてつぶやく。

「あんたが右目を犠牲にしてまで守ってくれた私にこうされるなんて、ちょっと聞い、チッまさか!」

「解除」

桐子の針が抜けるのと同時に光の柱に包まれる。巫女服。

「これで、あなたを止められます」

左手の銃を消し軽く肩を払う。痛みは消えていた。

「止める?ようやくトントンでしょ?ナメんなっ!」

地面を除く全方向から針を伸ばしてくる桐子。わたしに向かってくるが二十センチほどのところですべてが完全に止まる。

「……は?」

「あなたの形状変化が恐ろしいように、わたしのこれもまた、規格外なものなんですよ」

一歩一歩ゆっくりと桐子の方に向かう。

「桐子」

「あんたの素質……ちっ、くうか……まさか!」

桐子の針はわたしの歩行に合わせてぐにゃり短くなっていく。後方からの針は伸びるがやはりわたしには届かない。

「もういいんです。これ以上は本当にあなたの体が」

「ちぃっ、止まれ!らああああああああああああ!!!!」

突き破った一本を手で掴み受け止める。凝縮された霊力が込められていたがきっちり止まった。歩くとそれも縮んでいく。

「お願いします」

「誰が、誰が止まるか!!」

手を離し、桐子の目の前に。汗を流し歪んだ表情を見せる桐子に抱きついた。

「へ?」

「もうやめて、桐子」

霊力は消失していた。彼女のも、わたしのも。

「もう無理しないで。体がもたないよ、桐子」

「……四季?」

「桐子も、桐子の子供も死んじゃったら、悲しいよ、わたし」

「ち、ちょいあんた、敬語じゃなくなってるって」

「桐子、桐子」

もう我慢なんてできるわけがない。わたしは涙を流していた。桐子を抱く力が強くなる。

「いやだよ、桐子」

「あー……あれ?」

「いやだ、いやだよ」

「あんた、私が嫌いなんじゃないの?」

「そんなわけない、ないですよ」

「勘違い?」

「後ろめたい事象は確かにありますが、あなたを嫌うなんて。あなたの為を思ってのことでした、すみません」

「あっ治った」

「ごめんなさい。ごめんなさいごめんなさい。すべて説明します」

「ん、うん。いや、それでいいんだけどさ。あれ、混乱。わかった、とにかくわかったからさ、おちつこ?」

鼻をすすり少し離れる。桐子はたじろぎながらばつの悪い表情をして髪を触っていた。武器はもうリングに戻している。

「じゃあ、じゃあじゃあ、許してくれるんですか?」

「許すも何も、まあ、お互いのミスとか勘違いとかそういうのだったみたいだし?えーと……」

力ずくで止めるつもりだった。体の心配もある。しかしわたしは桐子を抱きしめ泣き出して、結果戦闘は終わった。

「とりあえず、吐き出すなら吐き出して、えーと。私も悪かった、ごめん」

「もう一度話す機会をいただけますか?」

「うん。そうしよう。とりあえず車、あんたん家戻ろっか。ナナー、おいでー」

空間が解かれる。戦闘の跡は消えた。

「ワタシにも話聞かせてね」

「こちらも聞きたいことがあります」

「うん」

「はは」

「桐子?」

「いや、なんか珍しい四季が見られたなって。“いやだ、いやだよ”!」

「桐子、恥ずかしいです」

「いいじゃんいいじゃん。あれは貴重だったわー」

「もう、桐子。お腹大丈夫ですか?」

「うん。あんたが手加減してくれたおかげでね。大丈夫だよ」




「なるほどね、記憶保護」

「十年も黙っていてすみません。十年前のわたしの判断でした」

頭を下げる。わたしの家に戻り桐子とナナと改めての話し合いを始めていた。ナギ達が再度侵入した形跡はない。

「いや、当時の私と楯がそれを聞いたらショックだったと思う。結果としてケンカになっちゃったけどさ、気を使ってくれてありがとう。四季は大丈夫だったの?」

「リセに負担をかけてしまいましたが、わたしはそれで保たれていました」

「いいよ、もう。当時中学生だったし、あんたの判断はただしかったんだと思うよ」

「ありがとうございます。改めて楯にもお話しますが、肩の荷が今一度下りたようです」

「うん」

同時にお茶をすする。

「続いて、というかナナに質問なんですが」

「何かな?」

「ナギ達に関して何か知っていることはありますか?」

沈黙。

「もしわたしの想定通りなら、あなたはナギ達について、知っているはずです」

「……どうしてそう思うんだい?」

「彼女らのわたし達への対応、今までの鬼との違い、外見や素質スキル、発言から導いた想定ですが、あれらはわたし達と“知り合いだった”というものです」

「知り合いだった?そんなバカ……な……」

「気付きました?」

「記憶保護」

そう、そこにたどり着く。

「でも、誰かが死んだ時に発動するんじゃないの?」

「ナギ達に関する記憶。それが残ることがわたし達にとって精神状態をまともに保てない可能性があると姫巫女様が判断した結果発動、今のような状態になったという展開ですね」

「調べようにも私らはその記憶そのものがないからわからない」

「ナギ達は、巫女だと思うんです」

「巫女ぉ?」

二度せきをする桐子。ナナは黙ったまま机に座っていた。

「中学の頃わたし達が戦った敵と五年前から今にかけて現れている敵、別の勢力だということですがそこまでの変化はありませんよね?」

「まあ一括して鬼だね」

「勢力が違ってあの程度の差異です。それに比べてナギ達は違いの具合が大きいと思いませんか?」

「実際に会ってそれは感じたけど、ああ、戦い方も違ったんだよね」

「素質スキルなんて今までの鬼は持っていませんでした。諸々を考えて出した結論がそれなんです」

「巫女……」

「桐子、わたしの名前を言えますか?フルネームで」

「なにそれ?水華四季子でしょ」

「そうです。子が付くんです。皆さんは四季と呼んでくれますが、四季子なんですよね、本名は。そして」

「そして?」

「ナギはわたしを苗字から呼ぶ際、水華四季と呼んだんです。二回。子を付けていない理由は」

「四季と呼んでいた」

「もし観測しかしていない場合水華含めわたし達の苗字に辿り着かない可能性が、住民票か何かで調べた場合子を付ける可能性があるんです。どらにもならず水華四季と呼ぶ理由。わたし達と共に戦っていた巫女だったというものです」

「私達と……同じ」

「それが何かしらの理由でわたし達と離れ、結果として記憶保護に至り、五年後敵として再び現れた。理由としては彼女達の裏切り、いえ他にも考えられますが。ナナ、わたしの想定はこうです。あなたの知っていること、教えてください」

ナナはため息をつき、それからちょっと待ってねと目をつぶった。沈黙の空間。わたしは立ち上がり冷蔵庫からお茶を持ってきた。

「ごめんね、四季、お待たせ」

「はい」

「姫巫女様から話す許可を貰ったよ。流石だよ、四季」

「ではやはり」

「全部キミの言うとおり。ナギ達は五年前に皆と出会って、巫女として戦っていた。着実に力をつけていたナギ達だったけどある日突然ワタシ達を裏切った。今の敵勢力に寝返ったんだ。そして昨日、突然現れて皆を襲った」

ナナはそう説明した、わたしが言った“想定”通り。

「そんなことが……」

「裏切った理由は?」

「それはわからない。ワタシも勿論その場にいたけど、本当に急に裏切ったんだ。突然のことでびっくりして、君達はナギ達を可愛がってたから落ち込んで。この状態で襲われたら確実に殺されてしまうっていう判断を姫巫女様がして、記憶保護をしたんだ」

「じゃ、じゃあ、四季達は、かつての仲間と戦ったってこと……?」

「仲間というより、鈴鹿達のような後輩だね」

「そんな……」

「桐子、この話ですが」

「内緒に、するの?」

「いえ、話そうと思います。二人には。そして

「二人とも」

ナナが飛ぶ。

「姫巫女様が直接話したいって。四人に」

「わたし達もお話はしたいですが、鈴鹿ちゃん達に護衛をつけないのは少し」

「鈴鹿達も一緒に。それなら安全だよね?」

「そうですね」

「数日のうち、あの子達の学校が終わったら来て欲しいって」

「桐子、時間、作れますか?」

「あ、うん。前日とかに言ってくれれば」

「わかりました、また今度に」

わたしはナナの言葉に頭を巡らせながら、そう返事をした。



第十七話 ひとつの目で明日を見てひとつの目で昨日を見つめてる おわり

     to be continued……


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