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第十四話

五年前の夢。また五年前。


わたしにとっての五年前。


五年前の戦い。


五年前の仲間。


五年前の仲間は今も仲間だ。


五年前のわたし達の周りにいた誰か。


ぼんやりして“見えない”。


“見えない”誰かは。


敵か。味方か。




--------------------




また夢。悩みがやはりあるのだろうか。電話が鳴っているのに気付く。鈴鹿ちゃんだった。通話。

「もしもし」

『四季さんおはようございます。あれ寝てました?』

時計を見る。10時を過ぎていた。寝すぎた。

「大丈夫ですよ。どうしました?」

リセは朝から実家に帰ると言っていた。だからと言って寝すぎだわたしは。

『お昼行きません?あっ、二人で』

リセに起こされているわけでもないのに。心のスイッチを切っていたのだろうか。目覚ましが無くてもわたしは起きる人間だが。

「はい、行きましょうか。迎えに行きますよ」

『あっすみません。いや実はね、私なりにちょいちょいと悩んでいるわけですよ。“席”についてね』

ちょいちょいと軽いトーンで言っていたが正面から向き合いきちりと考えていたのだろう。真面目で良い子だ。

「静かなところ、何か食べたいものありますか?」

『んー特に無いかなあ』

「たまに行く和食のお店に行きましょうか。カニ好きですか?」

『マジ?おごってもらう感じ?いいんかな私だけ』

「今度皆さんとも一緒に行きましょう。お昼ごろ迎えに行きますね」

『すみません、おねしゃーす』

電話を切る。寝汗はかいていない。お風呂に入ろう。



「わっ、なんか良いトコじゃない?」

車を降り鈴鹿ちゃんが寄りながら一言。この軽い感じは人として魅力的なんだろう。男性も女性もひきつける魅力。

「お腹すいてます?」

「普通。ごめんなさいね四季さん。付き合ってもらっちゃって」

ナナは昨日からアリスちゃんの髪で過ごしているらしい。

「ちなみに、今日木曜日ですけど」

「サボっちゃった。答え、見つかんなくてさ」

店内に入る。二名、禁煙席に通され水が出てくる。昼前だがお客さんはまばらだ。

「鈴鹿ちゃんがいいなら大丈夫なんですが」

「基本私いい子ちゃんだから、気にしないでオッケー」

「そうですか」

メニュー表を開く鈴鹿ちゃん。おーとうなっている。

「いやぶっちゃけね。寝られなかったんですよ。私なりに、電話で言ったけど色々考えててさ。自分含めた私らのチームのリーダーとして引っ張っていくって言うのは今まで通りなんだけどさ。やっぱりそこには四季さん達が上にいてくれたって安心感があったわけよ」

「なるほど」

ページをめくる。

「四季さんみたいに上手くリーダーできるかしら。責任感持ってこの世界を守れるかしら。ビミョーなわけですよ」

おいしそう、と顎に手をやる鈴鹿ちゃん。ああわたしも決めないと。メニューを持ち開く。

「好きなの頼んでくださいね」

「ちょっと高いよ?」

「気にしないでください」

「そうする」

んん、と喉を鳴らす鈴鹿ちゃん。

「私にできるかな、って聞いたらきっと四季さんは大丈夫ですよって言うよね。できると判断したから託したんですって」

「そうですね、そう思っていますよ」

「先人が偉大過ぎるんだよやっぱり。継ぐからには超えたいと思ってます。あなたを。あーそっかでも、あと9年の猶予があるのか」

「ええ。今のわたしを覚えておいてください。9年後のわたしは戦えるかもわかりませんから」

そのときわたしは普通のおばさんになって結婚をしているかしていないかわからないがのんびりと暮らしていることだろう。本でも読みながら。その日も誰かが敵と戦っている。

「それは私だって同じだよ。でも、そう考えると余裕あるかも。そうだよね、あと9年あんですよね。じゃ、なんだかできそうな気がしてきたよ」

うんうんと頷く鈴鹿ちゃん。噛み締めるようにわたしの言葉を受け止めてくれていた。

「ねっ四季さん何にするの?」

「これですね」

メニューを見せ指差す。

「あっそれいいね。私もそれで。呼びますね」

鈴鹿ちゃんがボタンを押した。

「ご注文お伺いいたします」

「このランチ二つお願いします。と、飲み物でアイスティーと」

「じゃ、コーラで」

「かしこまりました。お飲み物は先にお出ししてよろしいですか?」

「お願いします」

「しまーす」

立ち去る店員さん。聞き耳を立てられる程度のBGMボリュームだったが他のお客さんは自分達の話に夢中のようだ。

「私の内側の話していいかな?」

水を飲みながら鈴鹿ちゃん。

「どうぞ」

「他言、いや皆さんには別にいいか。私には弟がいるんだ」

「はい」

「今7歳なんだけどね。ちょっとした家庭の事情で男の子が欲しかったんだ、ウチ。私が女の子だってわかってから約10年。待ち望まれた待望の男の子。父さんも母さんもその両親も、勿論私もとても喜んだ。私自身弟のおかげで降りかかる荷が下りたの。だから弟には感謝がある。それが無かったとしても愛してる。私が死んであの子が一日長く生きられるならそうする」

「いいお姉さんですね」

「溺愛しちゃってんですよねえ。本当に可愛いんですよ。写真見る?」

わたしの返事を待たずに鈴鹿ちゃんは携帯を取り出しいじりはじめた。

「これ」

携帯を受け取る。画面には鈴鹿ちゃんと一緒に可愛らしい男の子が写っていた。鈴鹿ちゃんに似ていて、なるほど溺愛するのもわかる。

「この子だけは、守りたいんだよね。この子が被害に合うかもしれない事象があって、わたしにはそれと戦う力がある。結果この国を救うことがあってもなくても」

「お待たせいたしました。コーラと、アイスティーですね」

「すみませんどうもー」

「ありがとうございます」

「それはついででいい。弟が笑って暮らせる世界なら。ってね。だけどさ、そんな自分勝手な理由で戦う私が後釜なんて。背負う覚悟が違いますよ。私は四季さんみたいになれない」

コーラをすすっている。鈴鹿ちゃんはわたしから受け取った携帯の画面を優しい顔で撫で、ポケットに入れた。

「そんな、そんなんじゃありませんよ」

「そうなの?」

「わたしも自分の理由のために戦っています。自分にその力が備わった、というのはありますが、鈴鹿ちゃんと変わりません。大切な人を守るために戦っているだけです」

「リセさんの?」

わたしはぽかんとしていた。返事にたっぷり時間を使いながらガムシロップとミルクを入れる。

「そうですね。リセ、だけじゃないですが、リセのために」

「二人って付き合ってんの?」

わたしはまたぽかんとしていた。

「やっぱりそう見えます?」

「嫌な質問でごめんね。一緒に住んでるし。もしかしたらそうかなって。そうだったとしても気にはしないよ?私そういう知り合いいるし」

「リセとは幼馴染で、一番の親友です。中学くらいから噂されてたので慣れていますよ。あの二人そうなんじゃないって。でも、違うんですよ。愛はありますがそういうベクトルではありません」

「そうなんだ。失礼な内容だったね。ごめんなさい」

普段の感じで聞きながらも鈴鹿ちゃんは悩みつつ聞いてきたようだ。不躾だとは思わない。現にしっかりとわたしに頭を下げている。

「気にしないでください。ちなみに、皆さんのことも愛してますよ」

「うおうマジか」

「鈴鹿ちゃんとはリーダー同士一緒にいたり個別の練習をしたりと過ごしていましたからね。特に愛情を持っています。妹のように思っていますよ」

素直でなつっこくて真面目で可愛らしい。こんな妹がいたらわたしも溺愛していたことだろう。

「四季さんがお姉さんか。プレッシャー」

「そんなの感じないでくださいよ」

「そっか、そこまで思ってくれるとは思ってなかったな。嬉しい。いや、私達もいい姉さん方だなって話はしてるよ。そっか。姉と慕う気持ちってこんなんなんだ。参考になる」

何の話かはわからないが、受け止めてくれるようだ。わたしは今少し恥ずかしい話をしていた。

「ありがとう四季さん。引退しても、お世話になるからね」

「それは是非どうぞ」

「いやー、なんか楽になったかも。ハート強いと思われてる私がね、こんなこと考えてるのもアレなんだけど。ハート強いっつーか、そういうのザッパな私が」

「肝が据わっているとは思いますが、いい加減だとは思いませんよ」

「年上で先輩にタメ口使ってて肝据わってる?」

「いえ、そういうわけではなく」

ははと笑う鈴鹿ちゃん。

「ごめん嘘。嬉しいんだよね、すっごい人な四季さんが、いや、だからこそなのかも知れないんだけど、タメ口許してくれてる。先輩後輩関係ってのもあるんだろうけどだとしてもある程度は心を許してくれてるのが心に心地いいって言うか。嬉しい。ありがとう、ございます」




「パス3!あれ?4?」

莉子ちゃんはカードを持ちながら首をかしげた。

「4やな。莉子負けや」

「はっ早いよー。あれー結構いいカード貰ったはずなのになあ」

襲来帰り、うちのリビングでトランプを楽しむ四人。四人の会話をBGMにわたしは読書、じゃんけんで負けたリセは洗い物をしている。

「莉子はパス5までOKにしてもいいわよ?」

「異論なし」

「いいのー?」

「ええよ。これくらいで丁度ええんちゃう」

「ありがとー!パス4!でも、むー。七ならべって運がほとんどだと思うんだけどなー」

「それが違うのよ莉子」

「駆け引きの要素が強いでそこそこ。例えばハートの6と2持ってるなら速めに6出しておいて2を出せる準備をしておくとかな」

「ただ速く出しすぎるとああ下持ってるなって勘付かれるわけさ。中盤あたりでもうコレしか出せるカードないやみたいな顔して出してもいいし」

「勿論駆け引きできないレベルの酷い手札の場合は困るわね」

「私がしってる七ならべと違う!むーパスだよー!」

「悲しいわ莉子。パス1」

「せやなあ。パス1」

「涙涙だよ。パス2」

「あれっ変わってない!もー負けちゃったよー!」

カードを置いていく莉子ちゃん。莉子ちゃんは歳相応としても鈴鹿ちゃんアリスちゃん藍ちゃんの三人は大人びている。頭も回る。トップ3の戦いはアリスちゃん藍ちゃん鈴鹿ちゃんの順番で決着がついた。

「四季さん、良かったら一緒にどうですか?」

顔を本から離す。

「ありがとうございます。戻ったリセと一緒に参加しますね」

「四季さん強そうだよね。あれちょっと待って空間認識使われたら最強じゃない?」

「どういうこと?あっ、カード透けて見えるようなもんやんか勝てへんってそれ」

「さすがに遊びでずるはしませんよ」

鈴鹿ちゃんの言うとおり裏返していようがすべてのカードの認識は可能だ。五年前目を失って以来神楽を解いていないわたしは無意識を意識した時点でカードも認識してしまうことだろう。

「霊力使ってトランプで何かできるかな?えーと」

山を掴み一枚引く。クローバーの2。

「戻してー、で」

もう一度引く。ダイヤの11。

「あれっ?」

「一般の人は騙されるな、それ」

「莉子、霊力よ」

「霊力……あっ張り付いてるよ!」

「ふふーん。霊力変換:摩擦係数ー。それとは別に一枚だけカードに霊力貼り付けといて指定のカードを見つけるとか」

「色々できそうやな。しかしわたしは駄目やわ。カード氷付けはマジックでも何でもあらへん」

「あら、武器出すよりなんぼかマシよ」

「見てみてー!カードが浮くよー!」

「おいおい可愛すぎだろウチの莉子ちゃんは」

鈴鹿ちゃんが口を押さえる気持ちもわかる。自慢げにカードを浮遊させる莉子ちゃんはとても可愛らしかった。楯にも似た感じがあるが。

「天真爛漫は生まれ持った武器やな」

「私達には似合わないわ」

「何事も挑戦だよクールちゃん達。んん、見てみてー!本当は二枚あるけど強力な摩擦係数でくっついてるんだよー!」

「鈴鹿にも苦手なことってあったのね。赤点よそれ」

「……あかんわ」

「涙」

「そんなことないよっ可愛かったよっ!」

「ありがとう莉子ー」

「あれっ、抱き合ってる」

「ありがとうございますリセ。フォローする莉子ちゃんが可愛かったみたいですよ」

わたしの横に座るリセ。

「本当は藍もアリスも抱きしめたいんですけどねえ。怒られるんだよね」

「あら私は嫌がらないわよ。次の日からちょっと付き合い方が変わるってだけよ今川さん」

「せやな。ちょっとだけやで今川さん」

「莉子っ助けて!東横さんと有末さんがいじめる!」

「あら、同じクラスの今川さん、だったわよね?東横藍よ。よろしくね今川さん」

「有末歳緒や。友達からはアリスって呼ばれとる。有末でええわ、よろしくな」

このあたりの掛け合いは大人だ。

「莉子です!よろしくね」

「リーダーとしての自信がなくなります」

「ふふっ」

笑顔を見せるリセ。わたし達には無い仲良しっぷりだからだろう。

「さて、トランプ、いやボードゲームやります?お二人も一緒に」




--------------------




敵がそこにはいた。


わたしが憎むべき、明確な敵。


わたしの目を奪った、わたしの敵。


わたしの仲間を攻撃した、わたしの敵。


わたしは敵に武器を向ける。


敵はぼんやりとしか見えない。


わたしは敵に目を奪われた。


奪った敵?


目の前にいるのは敵だ。


わたし達の敵。


だがぼんやりとしている。


奪った敵?


奪った敵?


わたしの“目”を、奪った敵?


違う。




--------------------




「はぁっ!はー、はー、はー、はー」

布団から飛び上がる。

「はあ」

ここのところいつもこうだ。嫌な夢で目覚める。どんな夢かは覚えていない。ただ漠然と、嫌な夢だということだけわかる。

「汗」

今日はとびきり嫌な夢だった。汗の量がそう示している。

「リセには」

あまりにも大きな声を出していなければ大丈夫だろう。わたしの部屋で、ドアも閉まっている。

「五時半。速く起きすぎましたね」

のそり起き上がる。安眠剤、は関係ないのか。眠るのは問題ない。起きる方だ。気持ちよく目覚めたい。一度本当に病院に行った方がいいのだろうか。

「二度寝、って言うのも。シャワー浴びますか」

のんびり浴びて、気を紛らわそう。




「ん。おいしい」

「ありがとうございます」

「そんなに早起きしたの?朝ごはんの量じゃないよ?」

「楽しくなってしまって」

朝食をリセと囲む。一緒に住み始めてから6年、作るのが好きなんだという言葉に甘えて7割くらいは作ってもらっているがたまにこうやって恩返ししている。実際リセの方が料理は上手なのでわたしが作るより二人が幸せになれる。

「もう気分、いいんだよね?」

バレていた。

「ええ。特殊なわけじゃないと思います。ただ嫌な夢を見るというだけですので」

「心配だよ」

「すみません」

「謝る必要はないよ。心配なだけ」

リセは優しい。わたしは心を撫でられる。

「大丈夫だと思いますよ」

「それならいいんだ」

「ネガティブな感情で悪夢を見ることがあるらしいです。少し調べてみたんですが。生活改善でそこそこ治るらしいんですが、わたしは元々健康的な食事、適度な運動、友人との会話とストレスが溜まるとは思えません。お医者さんになんていうべきでしょうか」

「冗談だと思われるか身体検査されるかもね。そう考えると病院もよくないのかな」

「いずれにせよもう少し落ち着いたら、のがいいですかね。引き渡して、治らないようならやはり病院に行きます。リセに心配かけたくないですしね」

「それはいいんだって」

「わたしが嫌。逆の立場だったらおんなじだよ」

敬語を使わないなんていつぶりだろう。わたしは言いながらリセと一緒に驚いていた。

「だからもう少し。引退まではこのままにしましょう」




『来たよ、左の数多め』

『わたし右の抑えとくわ。藍、アサルトライフル』

『了解よ。莉子は?』

『ハンドガンおねがーい!鈴鹿ちゃんフォローするね!』

『オーケー、じゃ、状況開始』

余裕そうに戦闘をこなしていく四人。一般兵相手では二人くらいで十分だろう。

「おー、やっぱり速い速い!あたし一対一で勝てるか微妙だよー凄いなー鈴鹿ちゃんは」

すさまじいスピードによりばさばさと斬っていく。家事が早く終わったからと来た楯も楽しそうに見ていた。

「恐ろしい強さですよ」

取りこぼした敵をハンドガンと槍で倒していく莉子ちゃん。彼女も十分素早く飛行を生かした戦いをしている。

『中央からこぼれるで、と奥から増援や』

『莉子は増援対応、藍は左翼の残りを。私が中央行く』

フォーメーションが変わる。チームとしての動きも勿論個々の戦闘力も申し分ない。わたし達の引退はもっともっと早くても良かった。過保護すぎるのだろうか。

『よし、右終わりや』

『ご苦労様、じゃ、畳み掛けるよー』

ナナへの防御申請も無い。攻撃主体のチームであるが。アリスちゃんがところどころフォローしているようだ。よく周りが見えている。

『と、また増援や。今回多い』

『中央に集めて捌くよ。三方から』

『四でいいわ。私も武器出す』

『じゃ、よろー。下がりつつ中央で』

鈴鹿ちゃん達の思惑通りよろよろとついていく敵。霊力を弱めているわたし達には襲ってこない。

「楯、夕食はどうされます?」

「あっごめん今日は約束しちゃってるんだ!お店も予約してるみたいなんだよね、ごめんね!」

「浦木君?羨ましいな」

「ごめんね!あっ、みんなも行く?予約の人数変更できると思う」

「さすがにお邪魔はできませんよ」

「プチ同窓会だよ!プチ!」

「いつものメンバーで集まったって感じだね」

「他の皆さんと会うのは成人式以来ですからね」

「わー四年前だよ成人式。なみだ」

冗談ぽく目を拭く楯。浦木君が、いや浦木君以外も惚れる理由がわかる。

『ぼちぼちかな。アリス!』

『了解や』

彼女達を中心にして円形状に氷が発生する。敵の動きが止まった。

「やっぱり凄いね」

リセのつぶやきに楯が頷く。確かにフィールド全体を氷付けにする攻撃は末恐ろしい。が、リセも同じことができるだろう。そうなると属性に限らず設置、発動できるリセの方が凄いのかもしれない。

『スパートかけるよ!』

四人がかりで動きが止まった敵を倒していく。みるみる減っていき殲滅が完了した。

『お疲れ様ー』

『増援の様子も無いかしら?』

『みたいやな』

『わーい!』

四人が集まる。笑顔を見せこちらに手を振る鈴鹿ちゃん。ナナが空間を解きわたしの髪から飛び立とうと―――空間が発生し“四人が閉じ込められた”。

「なっ」

「何!?」

駆け寄る一歩を踏み出す瞬間とてつもない霊力が迸った。発生した正方形の空間から溢れる霊力。それでもそこに向かう。

「皆さん!大丈夫ですか!?応答してください!皆さん!」

返事が無い。やはりと思ったが正方形の中には入れず空間認識も反応しない。しかしまずい状況だというそれだけはわたしもリセも楯も認識していた。

「四季!」

「わかっています」

武器を出し撃ち込む。破壊できなかった。楯のような防御壁、いやそれなら内側を認識できるはずだ。何だ、何だ。

「皆さん!皆さん!」

発生から何秒後か、その空間が消えた。目の前の霊力に後ずさるわたし達。喉が鳴る。砂埃が立ち込めている。知っている反応と知らない反応。

「後輩ちゃんよう、も少しファイトしてくれて良かったぜ?」

砂埃が消えていく。

「……弱かった」

人影が見えてくる。

「肩慣らしには十分でしてよ。本の編はここからですわ」

わたし達を見ている。

「パラダイスロストだ。“頃合い”だなァ、クソ巫女共!!」

四人の“女性”が、そこにはいた。




第十四話 ここは裏切りの楽園(ティル・ナ・ノーグ) おわり

     to be continued……


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