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絶対契約  作者: 水蘭
9/10

9話

「ねえ早く入れてよバカ野郎」

案の定こいつは夕方にやってきた。

なんだよバカ野郎って...

「お前を泊めるつもりはないって」

「今日は一人で寝たくないんです!」

「じゃあお前の父さんと寝ればいいじゃねえか!」

「なんであんなジジイと!」

「......聞いたら泣くぞ」

僕だったら泣くな、うん。

「とにかく」

僕が言いかけた途端、電話がかかってきた。

かけて来た相手は、由理だった。

「もしもし」

「...明人君?」

「どうしたんだ?」

「聞いたよ...あなた達がやってること」

教頭から説明を受けたことだろうか。

「ああ、それなら――」

「やめて」

...ん?

「なんだ?」

「やめてって言ってるの」

「......どうして?」

「明人君が死ぬかもしれないの!」

由理が突然大声を上げた。

「大丈夫だって、あいつらアホばっかりだし、それに俺たちがやんないと」

「違う!違うの!今日学校に来たのは変化が起こる前触れ...変化が起こったら、本当に手がつけられなくなっちゃうみたいなの!」

そうだったのか...

正直、そんな予感はしていた。

あんなヘンテコな生物で世界征服できるわけがないからな。

だが、それでも...

「僕は、死ぬ覚悟は出来てるとは言わねえよ」

「やっぱり」

「僕はまだ人生でやり遂げたいことがたくさんあるんだ。お前ともいろんなことがしたい。だから、俺も出来るだけ危険なことはやりたくない」

「じゃあ、やっぱりやめてよ!」

由理の叫び声は、悲鳴のようだった。

「だが、それは無理だ」

「なんで」

「僕は、黒道のパートナーだからな」

「...何それ」

「絶対契約だ。絶対、契約してなければいけないんだ」

「私と別れるってこと?」

「そういう意味じゃない...彼女はお前だけだ」

そんな彼女を不安な気持ちにさせている僕は、ダメなんだろうな。

だけど。

「僕はやっぱり、みんなを守りたい」

「......危険なんだよ?」

「安心しろ、俺はもう少しだけこの優越感に浸ってたいんだ」

由理はそれでも納得のいかないようだったが...

「わかった...それと、黒道さんにごめんって言っておいて」

由理は、少々強引そうに電話を切った。

「......話したいことがある、入ってこい」

僕は、突っ立ってる黒道を家に入れた。


「何話してたの?」

「これから神の遊びが...危険になるらしい」

「そうなんだ...お父さんもそれっぽいこと言ってたから」

「だから、気をつけないとな」

今までは本当にふざけてるようにやってきた。

それでいいのか悪いのか、まだ今の俺には良くわからないが...

「それと、由理がお前にごめんだってよ」

「......そっか」

「許してやってくれ...お前も言ってたように、おかしくなってたところもあったと思う」

「うん...わかってる、わかってるけどね」

黒道...なんだ?

「やっぱりまだ許せそうにないや」

......お前

「本人も反省してるんだしさ」

「わかってるって」

「お前は由理に何をして欲しいんだ?」

「それがわからないから許せないの!」

黒道が大きな声をあげた。

「す...すまん」

「......明人君はまだ知らないだけだよ」

「何を?」

「......本当に許せないことは許せないの」


さすがにその夜に黒道が布団に入ってくることは、無いと思ってたのだが...

「入れて」

......こいつは

「今日は絶対一緒に寝ないからな」

「じゃあ、寝なきゃいいじゃない」

徹夜するつもりか...

「おい黒道...それは僕にゲームで勝負することを挑んだってことだよな!?」

「いやそうは言ってないけど」

「ようしさっそくゲームだ!僕が負けなしで朝まで連勝してやる!」

僕も、今日はなんとなく寝たくなかった。


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