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絶対契約  作者: 水蘭
8/10

8話

やっと退治に成功し、今は教室に向かっている。

なぜか誰も教室から出てきていないが、授業中だからだろうか。

それよりもみんな、僕たちのこと見てたんだよな。

どう思ったんだろうな、みんな。

これで僕の周りは変化してしまうのだろうか...

それでも...僕は構わない、なんて言えるはずがないだろう。

そう言っているうちに、教室に着いた。

僕たちが、教室に入った。

「おい明人...」

男子が話しかけてくる。

こういう時なんて反応すればいいんだろうか、と考えていたら。

「お前何者なんだよ!?」

急に大声をだしてそいつが訴えてきた。

そしてそれが何かの合図のように、周りが一斉にざわつく。

おい...なんだよこの空気

みんなが、僕と黒道を見てひそひそ何かを話している。

こういうのは...本当に...本当に好きじゃあないんだけどなぁ!

「ねえ、明人君」

彼女の由理が話しかけてきた。

「ねえってば」

「なんだよ」

「その人...黒道さんから離れたほうがいいよ」

な...なにを言ってるんだこいつは!

「早く!その女から――」

腕を強く掴んできた。本当に、全く...

「離せよ!!」

あまりの苛立ちに、突き飛ばしてしまった。

「あ、明人君...」

「......悪い」

「本当に!あなたはわかってないだけ!」

「何をだ!」

「背中から翼が生えるなんて...それにあの怪物は何!?」

「そ、それは...」


「ば、化物だ!こいつら、化物だ!」

誰かがそう叫ぶ。

それによって、みんなが僕たちをそういう目で見る。

「や、やめろよ...僕らは化物なんかじゃない」

「どこにそんな証拠が――いや、お前はいい、明人...問題は黒道、お前だ」

クラスの委員長が黒道を指差す。

「お前、明日からもう学校来るな...怪しいやつは来て欲しくないんだ」

「ど、どうして...」

黒道も泣きそうになっている...

なんでこんなことに...

「お前ら小学生か!!」

「あ?」

「ここにいる奴ら全員、まともなやつが一人もいないって言ってんだ!」

クラスの中が静まり返る。

「僕と黒道だってな...化物呼ばわりされるためにこんなことやってるんじゃないんだ!

黒道はな...こいつは本当はとってもいいやつなんだよ!

それなのに何も知らないお前らはあることないこと、まるで人をゲームのようにして楽しんでやがる!

さっき化物とか言われたけどなぁ...僕にとっちゃ、まともな判断出来ないお前らが化物なんだよ!!」

「明人君...もうそいつの味方になるのは」

なあ由理、お前そんなやつだったのか?

「...黒道を悪くいうのはやめてくれよ」

「なあ...お前、由理より黒道の方が好きなのか?」

「そんなわけないだろ!そういう話じゃなくて」

「もういいよ明人君」

黒道が、僕にそう言ってきた...

「黒道?」

「私をかばってくれてありがとう」

「...おい!」

黒道はそのまま、教室から出て行った。

みんなが安心するようにため息をついた。

俺は、それが許せなかった。

「最悪だ」

つい、言葉が出てしまった。

自分でも何故その言葉を言ったのか、正直よくわからない。

だけど、この状況は、本当に――

「みんな、静まりなさい」

突然入ってきたのは、教頭先生だった。

「今から貴方達には図書室で説明を受けてもらいます」

またみんながざわついた。

説明ってのは、神の遊びのことだろう。

これで僕たちの疑いが晴れるのか。

だけど僕はこれで全てが終わったとは思わない。

そもそも疑われる事自体が間違いたと思ってるからな。

「それから今後一切、明人さんと海莉さんへの暴言、誹謗中傷を禁じます」

おいおい、そんなことしても変わらないだろ。

さっきの態度見たあとだと、そんなこと意味の無いようにしか見えない。

「明人さん、あなたは帰宅しなさい」

追い出しかよ...

「わかりました」

俺は、帰る支度を始めた。


「黒道の事、心配だな...」

あいつは教室から出て行ったあと、どうしたのだろうか。

一応あいつの荷物も持って来てやったのだが。

後で電話してやるか...って

どうやらその心配はいらないらしい。

「なに人の家の前でつっ立ってんだよ...」

「明人君に謝りたくて...」

「言ったろ、僕はどうなっても構わないって。

それにあいつらがクズだってわかったしな」

「みんな悪くないよ」

黒道が珍しく、俺の意見に反論してくる。

「何故そう思う?」

「だってみんな、翼とか得体の知れない生物とか見たら、混乱しちゃうでしょ?」

...言われてみればそうかもしれない。

「ああ...僕も少し冷静になったほうがいいな」

「それに由理ちゃんのことはどうするの?」

「う...やべえ」

全然覚えてなかった...

どうなるんだろうな、由理との関係は。

っていうか今日、月曜日だよな。

月曜日からこんな目に合うなんて...

「あ、電話だ」

学校から電話がかかってきた。

「はい、もしもし」

『あ、明人君かい?』

教頭先生のようだった。

「はい、そうですが」

『実は今、学校が非常に混乱してしまっている状態で...

君たちは来ない方がいいかもしれない』

「はあ」

『君たちもあんなことがあったら行きにくいだろうし、少し停学にさせてもらうよ』

「...期間は?」

『一週間だ。次の月曜日、登校しなさい』

電話が切れた。

「なんの電話だった?」

「僕ら、一週間登校しないって」

「本当に?」

「ああ、色々問題があるらしくてな」

「そっか...」

やっぱり黒道は少し不安そうだった。

「なあ黒道、俺らは何にも悪いことしてないんだ。もっと堂々としてようぜ」

「でもやっぱり...今日は泊まる」

「帰れ」

「一回帰ってからまた来いって事?」

...本当にこいつは

「そんな事言ってないだろ」

「今日は甘えたいんだけど」

「そうかわかったそれじゃ帰れ」

「また後で来るから」

...なーんか黒道って、不安な事があると一人でいれないのかな。

それとも話したいことがあるとか?

なんにせよ、今日今からはあまり物事考えたくないんだが。



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