6話
「...明人君!明人君!」
ん?
黒道が僕を呼んでる...
夢か?いや確か昨日は...
抱いたまま寝ちまったじゃねえかよ!!
「あ、うんおはよう」
黒道の顔は僕の胸辺りにあった。
ねえ、俺女の人と添い寝したの初めてなんですけど。
彼女がいるのに別の女としかも抱いたまま寝るとか、ねえこれなんて昼ドラ?
「お、おはようはいいんだけど、離してほしいな」
「あっ、悪い!」
うっかり離し忘れてた。
個人的にはずっと抱いてたいんですけどね!!
「...声、漏れてるけど」
なんでこう都合の悪い時にだけ声が漏れるんだよ!!
ってか発してる感覚ないよ!無意識かよ!
まあ久しぶりに照れる黒道を見れたので良しとしようか。
...いや全然良くないぞ、まずいぞこれ
「な、なあこれもし由理にバレたとしたらどうなると思う...?」
彼女である由理に、こんなことバレたら...
うん、速攻殴られて別れを告げられるだろう。
「速攻殴られて別れを告げられるでしょ」
「...うん、僕と同じ考えだ」
「大丈夫だよ、言わないから」
「それでもなんか昼ドラみたいになっちゃうけどな」
いや逆に考えるんだ。
僕はただ抱いて寝ただけ...そう別に抱いて寝ただけで別に何もしていない!
「抱いて寝ただけって言えばいいんじゃね?」
「それだと別の意味の抱くに...」
「あ、僕死ぬじゃん」
「それに私が気まづくなったら困るから」
あー、そうか。そういう問題もあるな。
由理は結構女の友達多いし(僕の自慢ばっかしてるらしいが)悪い噂でも立てられたらそれで終わりだからな。
まあ黒道のそんな噂立てた時点で由理と僕の関係も終わらせるが。
「それより...月曜日の事の方がよっぽど重要だと思うんだけど」
月曜日...やべえ!忘れてた!
昼間に神の遊びが、しかもグラウンドに来るって話だよな!?
これすごいやばいじゃん!
「ど、どどどどうします!?」
「明人君はみんなにバレてもいいんだよね?」
黒道が少し恥ずかしそうに聞いてくる。
...あー、昨日はアレだったしな。
僕が言ったことなのに、振り返ってみると自分でも恥ずかしい。
「もちろんだ。そんなことでグダグダ言ってる場合じゃないからな」
「じゃあいっそ、派手に終わらせよう」
「派手に?」
「うん、それでいて出来るだけ短く、みんなの迷惑にならないように」
...確かにいい考えだ。
「それがいいな、どうせバレんだから」
あまり長引かせるのは負傷者が出るかもしれないしな。
「そもそも本当に出るのかすら怪しいからね」
「どれぐらいの確率って言ってたんだ?」
「20%だって」
「...微妙だな。安心するかしないか」
もっと研究が進めばいいのだが。
「まあ気を楽にして待ってるか...」
「それじゃ、またね」
「ああ」
黒道が帰っていった。
もうあいつを泊めるのは勘弁して欲しい...
また昨日みたいになったら困るからな。
それにしても、本当に来るのだろうか。
気になって仕方がない。
気を楽にして待つとは言ったけどな...
そんな感じで、今は月曜の朝。
昨日はなにもする気が起きなくて、一日中家でボーっとしていた。
だけどもう、月曜日だ。
今日の一日で僕の人生が変わるかもしれない...
「おはよう、明人君」
「ああ、おはよう」
彼女の由理が来た。正直、今は会いたくなかったんだけどな...
黒道と寝たこともそうだし、今日の神の遊びのことにしても、不安だし。
「またなにかあったの?」
「いや、別に大丈夫だよ。月曜だからだるいなーって思ってただけ」
「確かにだるいね...でも明人君に会えるから私はいいかな」
なんて可愛いんだ...
こんな天使のような彼女がいるのに、僕は別の女と添い寝してたのか。
まあその別の女っていうのは大天使黒道ちゃんなんですけどね!グヘヘヘ!
「何笑ってるの?」
「ん...?いや、幸せなだと思って」
だって添い寝したんですもの!
「そんなに嬉しかったの?」
「ああ、最高だ!」
「明人君...」
あれ?由理が何故か顔を赤らめてるけど、僕何かしたっけ...
ま、いいか。




