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絶対契約  作者: 水蘭
4/10

4話

昨日起こった出来事の衝撃は、もちろん今日の朝にも影響してくる。

今日は朝から不機嫌なのだ。

「ヌルヌル取れねえ...」

昨日のイカのようなキモイ生物の、触手のヌルヌルが未だに取れないのだ。

服を着ていたため、ヌルヌルが着いたのは手だけだったのが幸いだが。

しかし取れそうになかったので、これ以上は考えないことにした。

「おはよう、明人君」

いつものように彼女と登校する。

「どうしたの?疲れてる?」

「なんでわかる?」

「顔に出てる」

「そうか...まあちょっといろいろ」

彼女に言ったら余計な心配をさせてしまうだろう。

それに彼女以外の女の人と関係を持っていることになるので、誤解を招きかねない。

「ふーん...何事も程ほどにね」

彼女なりに理解してくれているのだろうか...

僕の心は何故か、少し申し訳ない気持ちになった。


「おはよう、明人君」

うん、今日も笑顔ですね黒道さん。ずっとその笑顔でいてください。

やっぱり彼女には真剣な顔じゃなくて笑顔が似合ってる思う。

って何分析してんだ僕は...

ちょうど近くに彼女の由理がいなかったので、とりあえず昨日のことについて話してみる。

「昨日は疲れた?」

「あんまり疲れなかったけど」

さすが、と言うべきなのだろうか。

というかこいつの父親は何者なんだろう。

昨日ソレ関係と言っていたが、親がいるからこいつがいるんだよな...

となると、もしかして黒道って結構エリートなんじゃないか?

「なあ黒道、お前の父さんって何やってんだ?」

「んーと、神の遊びの調査...かな。研究してるって言ってもいいよ」

神の遊びの調査...

つまり科学的に研究してる人ってことか。

父がそういう仕事ならそういう事も詳しそうだしな。

「ちなみに国からの援助もあってなかなか給料は高いらしい...ハッハッハ」

黒道がいやらしい顔で笑っている。

本当に面白いやつだな、こいつは。

「んで、明人君の親は何やってるの?」

「2人とも絶賛海外出張中だ」

「へー、それじゃ一人暮らし?」

「そうなるな」

やっぱり羨ましいとか思うんだろうか。

なかなか大変なんだけどな。

「今度泊まっていい?」

...おいおい、なんてこと聞いてくるのこの人。

「ダメに決まってるだろ!」

「よっ童貞」

「誰がだ!!」

痛いところをつくな!

そもそも俺はかなりモテるんだ!

そんな...例のそれだって捨てようと思えば捨てれんだよ!

彼女もいるしな!

まあ僕そういうのにあんま興味ないし!?だから別に今はいいかなって思ってるだけだし!?

「...動揺しすぎだし声漏れてるし」

「えっマジで!?」

...油断したな。


授業の内容は、前よりは入ってくるようになった。

普通に集中できるし、あまり黒道の事も気にならなくなった。

まあこれは彼女と親しくなったのが原因だし、良いことだと思う。

ということで僕の問題はほとんど解決したのだが...

「.........はぁ」

問題はパートナーの黒道だ。

こいつ授業を真面目に受ける気がない!

一度しっかり授業を受けろとは言ったのだが、全く聞く気がないらしい。

これで本当にテスト大丈夫なのか...?

「......!」

彼女がいきなり驚いた。なんだ?

携帯の画面を見つめ、そして

「今日、また神の遊びが来るって」

「...マジかよ?」

まあ仕方がない、星を守るためだしな...

しかし前回のこともあるせいか、たまらずため息が出てしまった。

「どうしたよ、珍しくため息なんてついて」

前の席のやつが僕の方を向いてきた。

こいつは親友の悠人だ。

「まぁな、色々疲れてんだよ」

「そうか...あまり由理に迷惑かけんなよ。お前の彼女なんだから」

「......わかってるよ」

そんなことわかってる。彼女が心配してくれてんのも、お前らが最近僕を心配してることも。

だけど僕は、お前らを救うために戦うんだ。

感謝してくれとは言わないけど、事実を知ってから心配して欲しい。

だけどその事実は、言えない。

言ったらみんながどうなるのか、僕には想像がつかないからだ。

だから自分のためにもみんなのためにも、知れ渡ってはならない。

知れ渡ってはいけないのだ。この平和な世界を維持するためには...

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