『小さくて可愛いは褒め言葉では無い』
『小さくて』
「うーん…これかな。」
ギルドの掲示板前にて、只今依頼を選択中です。少々お待ち下さい。
「(あ、でも確か、こっちの薬草とこっちの木の実は同じ場所に生息してるはずだから…)」
見たところ、やっぱり簡単な採取は報酬金額が安いみたい。一回につき平均で200~300リトだから、一般的にお店でのランチが500~700リトとして、一体何回クエスト受ければいいのさ!
やっぱり現実は甘くなかったです。いくつか一緒に受けれそうなのは受けないと、いつになってもお金が貯まりません。
ランクDの、ゴブリン10体討伐1000リトを受けたい…。ランク外で無理だけど。
倒す事が出来るのかという問題もあるし、今のレベルが2だから、もう少し慣れてからの挑戦かなと思っています。
殺すことはできそうです、はい。というのも、この世界、肉類は生きたまま売っています。
流石に、一月おばさんの手伝いで台所に立っていたので慣れました。最初の頃は、折角捌けてもあまり食べられなかったりしたのですが、人間て強い。向こうの世界で切られてパック売りされていたのを思うと、便利な世の中に染まりきっていたようです。
それはさて置き、まあ今回は初めてだし、この二つにしておこう。
私は背伸びをしつつ、なんとか下の方に有った二枚紙を剥がした。
下の方で背伸びしないと届かないって、掲示板高すぎる!とも思ったのですが、よくよく考えてみればこっちの人達って大柄なのです。私は日本女性としては平均的な150cm半ば(誰が何と言おうと半ばです!)なのですが、女性相手でも見上げる形になります。
まわりの微笑ましげな視線を気付かないふりをしつつ、カウンターへと向かう。
「すいません、この二つをお願いします。」
「はい、ではギルドカードも一緒にお預かりします。」
お姉さんは依頼の紙とカードを受け取ると、変な機械に通し始めた。
その様子をじっと見つめていた私は、ふと、お姉さんに御礼をまだ言っていないことを思い出した。
「あの、これ。ありがとうございました。」
ナイフとポーチを指しながら言う私にお姉さんはにんまりと笑った。
「防具もまだって聞いたから、きっとそういった物も持っていないだろうと思って!」
「はい、御明察です。」
「ふふふ!それは良かった。防具も大丈夫そうねっと、はい、できましたよ。それではお気を付けて。頑張ってね!」
「はいっ!」
お姉さんの声援に見送られ、私はギルドを後にした。
なんか、主人公がちゃんと冒険してしまっているのですが…。