『遠足の前の晩はなかなか寝付けない』
『遠足』
――で、始めに戻るわけですが。
もう昨夜は、興奮しすぎてなかなか眠れませんでした。
仕方がないので、ギルドカードを色々と弄っていて、凄い事を発見しました。
スキルの『ゲーム脳』だけど、説明としては「物事をまるでゲームをしているかのように認識」としか書かれていなかったので、試しに使ってみたところ、なんと見覚えのあるウインドウが出現しました。
ゲームでよくある、HPとかMPとかが載っているアレです。
攻撃力や防御力から、スキルについてもカードよりも詳しく載っており、ポイント振り分け機能にいたるまで付いていました。超便利!
ギルドカードには無かったレベルもこっちにはバッチリ載っていました。ちなみにレベル2です。
この状態で他の人を見たらどうなのかも気になったので、夕食時におばさんで確認してみたところ(おばさん、ごめんなさい!)、細かいところまでは分からなかったものの、名前とレベル、HPにMPと状態異常の有無くらいは見られることが判明。
これまた便利。他にも色々と使えそうなので、重宝しようと思います。
それに、これで装備も揃った事だし、念願の冒険者業の始まりですね!
まずはレベル上げをしつつ採取クエストで資金稼ぎかなぁ。
「あ、ナイフまである!」
お姉さんに貰った装備の袋を開けてみると、革製の防具の他にナイフと腰に付けられそうなポーチが入っていました。
後でお姉さんによく御礼を言って置かねば。
「あら、出かけるの?」
「うん!今日から冒険者としてクエストを受けて来ようと思って。といっても、初めは簡単なやつからだけど。」
「そう、ケガには十分気を付けるのよ。自分の限界はよーく見極めること!」
「はーい!じゃ、おばさん。いってきます!」
「いってらっしゃい。」
笑顔で見送ってくれるおばさんに手を振り、私はギルドまでの道を歩き出した。
ドキドキと胸が高鳴る。これから、どんな事が待ち受けているのだろうか。
きっと楽しい事だけではないだろう。苦しい事、辛い事、悔しい思いもするかもしれない。
けれど今の私には、それでさえも楽しみだった。