電気マンの正体は、パパだった。
これは、電気代の高騰に魂を削られた一人の父親の、哀しき抗いの記録である。家計を守るため、男は理性を捨て、己の体を光らせた――。
「くらえ、必殺デンキショック!」
夜な夜な全身にイルミネーションライトを巻きつけ、怪しく光り輝く男――それが電気マンだ。
街の平和を守る? いや全く。彼の目的はただ一つ、「家族の節電意識を高めること」である。
深夜に電気をつけっぱなしでゲームをしていると、ぬっと部屋のドアが開き、派手なLEDを点滅させながら電気マンが現れる。「電気代が上がっとるんじゃあ!」と叫びながら主電源のブレーカーを落として去っていく、ただの恐怖の家庭内暴漢だ。
ある夜、暗闇の中でライトのコードが足に絡まり、派手に転倒した電気マンの仮面が脱げた。
「痛たた……腰が……」
光るタキシードの下から現れたのは、見慣れたハゲ頭と見覚えのあるスウェット。そう、電気マンの正体はパパだった。
「パパ……正義の味方じゃなかったの?」
呆れる私に、パパは湿布を貼りながら悲壮な顔で言った。
「正義で電気代は払えんのだよ」
【了】
『電気マン』をお読みいただきありがとうございます!
物価や電気代が上がり続ける今日この頃、家計を守るために迷走するパパの哀愁を描いてみました。深夜にLEDを光らせてブレーカーを落としに来るパパは恐怖でしかありませんが、その裏には「家族の生活を守りたい」という(明後日の方向を向いた)愛が詰まっています。
「正義で電気代は払えない」というリアルな現実に直面しつつも、今日もパパは湿布を貼りながら節電に励んでいるはずです。皆様の御家庭でも、消し忘れにはどうぞご注意ください。
また次の短編でお会いしましょう!




