15話 ジュース
「大食漢ってのはこういうことか……。でも動きは鈍くなるんじゃないか? ファイアボールは前より当たるだろうし、それに……」
「我が何もせず、ただ見ているだけわけがないだろ? 化け猫よ!!」
ネコマタの巨大な体よりも高い場所から響く声。
その主であるインドラは再び身体を金色に光らせると、電磁浮遊を用いて超高速で踵落としを決めにかかる。
――にゅる。
「な!? まさかさっきので触手が回復したというのか? 250レベル……我に近しいレベルなだけはあるな」
しかし、再生していた触手が、白尾っぽがその体に絡みついて……胸とか股の辺りを撫でる。撫でまくる。
子供には見せらんないよこんなの!!
「あ、ああっ!! 旦那様ぁあ!!」
「その艶めかしいの……絶対わざとだろ!!」
俺に視線を向けながら、インドラはピンチな状況のはずなのにちょっとだけ笑いながらエッッッッッロい声を出した。
ふざけてるのが分かってるから助けるのはやめようと思ったけど、それでも万が一があると思って俺はファイアボールを放った。
こうすれば白尾っぽがガードしに来るのは分かってるん――
「にゃあ……」
――ドンドンドンドンドンッ!!!
「な、なんだ!!」
「旦那様!」
ネコマタに当たるよりも、白尾っぽに当たるよりも早く俺のファイアボールは何かにぶつかって爆ぜた。
煙が立ち上ってすぐには確認できないけど、何かがやってきたのは上から。
それだけでその正体が何なのか何となく予想ができる。
多分俺が嫌いな、あの気持ち悪いモンスターだろこれ……。
「ジュウぅぅぅ……」
「やっぱり……」
ファイアボールによって肉片になった個体、焦げてその場に倒れる個体、衝撃波を受けて気絶してしまった個体、いろいろいるがこいつらはあの電気アンマウス。
鳴いてからこいつらが落ちてきたってことは、ネコマタは洗脳系のスキルを持っている可能性がありそうだ。
これを使ってモンスターらしからぬ鍛錬や協調性が必要な生活の場を作り、強い……もとい、『うまい』個体、『うまい物』を作るためのを作っていたんだろうな。
その証拠にさっきからネコマタの奴、敵である俺やインドラを直接攻撃するそぶりを見せないで、必死に何かをいじってる。
で、その何かってのは……。
――うぃぃぃぃいいいぃぃぃぃぃいん。
「にゃはは!!」
「ミキサー……。こんなものを作るスキルまで存在するのかよ」
ネコマタは既に血や内臓が半分くらいまで入っているミキサーに、床で転がっている追加の電気アンマウスの肉をぶち込み、電源を入れた。
どうやら電気の供給も電気アンマウスを使って行っているらしく、よく見るとミキサーから電気アンマスらしき尻尾が繋がっている。
電気アンマウスを呼び込み肉壁にして、ミキサーで血肉ジュースを作って回復。
白尾っぽを無限に再生できて、自身の強化まで可能な極悪コンボってわけだ。
害悪過ぎて普通ならため息が出そうだけど……。
「多分こっちはこっちで無限経験値ストラックアウトができるんじゃないか? 襲ってくる気配もないし……インドラには悪いけど、しばらく投球練タイムとさせてもらうか」




