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12話 しょ、触手!?

「うあああああああああああああああああ」

「あははははははははははははははははは」


 いきなりの落下で響き渡る俺の絶叫と、敏感ちゃんなインドラの笑い声。


 イレギュラー中のイレギュラーが起きてるってのに、リアクションに差がありすぎてもうコント。



「あははははははははははははははははは」

「うあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」



 なんだか大声と一緒に緊張感もどっか行き始めて、叫んでたのが恥ずかしくなってきた。



「て、なわけで……よし、リアクションノルマ達成。それでこれどうなってんのかな」

「ふ、ふぅ……。よ、良かった。落ち着いたか旦那様。それで、これについてなのだが……。さ、流石に我も驚いた。まさかこの短時間でこのような仕掛けを構築してしまうとはな……。だが……これはあまりにも規模が大きい。もしかすると……」

「すると?」

「いや、きっと我の気にしすぎだろう。わざわざそんな面倒なことをするのであれば、あんな不細工が生まれるようにはしないはずだ」



 なんのことか良く分からないままインドラの視線の先を追った。


 ……暗い。


 こんなのでもこいつは視界良好って……これも生き物としての格の差なのかね?


 まぁ俺にはその不細工の全容は分からないが、なんとなくこの道というか、落とし穴というか……とにかく、だ。これによって俺たちは階層を移動しているってことだけは分かる。



 というのもさっきから景色が大幅な変化を繰り返していて、モンスターのいる層と何もない層で切り替わっているから。



 で、こんなに長くて、しかも下がまだ暗くて見えないってことは……。



「ボス部屋の10階層まで、おそらくは繋がっている。……これじゃ探索の醍醐味ってやつはなくなっちまうし、なにより……俺の気持ちの準備ができないんですが!」



 ダンジョンには多くの場合10階層ごとにボスと呼ばれるモンスターが存在する。


 なぜ誰がどのようにしてそんな決まりを作ったのかは分からないけど、探索庁が運営協力している養成所から出ている教本にでかでかと書かれているくらい当たり前の知識。


 そしてそれらボスと呼ばれるモンスターは次階層の階段を守護しており、それに伴った強さを獲得している。



 基本的に今確認されているダンジョンでは、そのボスモンスターを倒すためにS級探索者やが率先してチームを組み、深層までの道のりを速攻で作ってしまっている。


 だから俺みたいなFランクがボスと戦うことってのは普通あり得ない。



 つまり……経験が無さすぎることが、余計に俺から余裕を奪っているってこと。



 ま、まさかだけどインドラより強いとかはないよね?



「――来る!!」

「え? 俺には見えな――」



 あり得ない、最悪の場合を考え首を振ったその時……インドラは今までになく真剣な声色で声を上げて、全身を金色に光らせた。


 そして、それに照らされながら白く太い触手のようなものが現れて……俺の頬を優しく撫でた。

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